能力
6.能力
「実は、玲亜さんは霊能力があるんだ。まあ信じがたいよね。俺も初めて会ったときそう思ったもん。説明するより実際に体験したほうがこういうのは早いから。」
光はそう言って玲亜の前に立つよう空を促した。玲亜は目を閉じて空の肩に手を置いた。数秒たって、目を開き手を話すと玲亜は言った。
「・・・空君の嫌いな食べ物はピーマン。中学生にもなってピーマンが食べられないことを実は嘆いている。他には空君の部屋の机の三段目の引き出しにエロh…」
「わぁぁあああ!そこまで言わなくていいです!なんで?なんで?誰にも言ったことないのに!いや、ちょ、恥ずかしい…」
「そうなの!?空君!穢れのない純真無垢な天使だと思っていたのにエロ本を!なんということなの……おお神よ。で、どんなのが好きなの?この相原 結愛は気になるよ!」
顔が赤くなり慌てる空に興味津々に食い付く結愛。
「・・・空君の好きなジャンルはナーs…」
「そうなのね!ナースなのね!看護師ね!ほほう、もしかして空君お母さんとかそういう仕事してるのかな?いやー良いよね、白衣の天使とか。THE包容力って感じ。何なら私がナースコスをして看病したいくらい、グフフフ。いや、ここはあえて光君に医者役を空君にナース服を着させてその絡みを角の方からマジマジと見つめるというのもベスト!」
「ひぃぃいいい!恥ずかしいです!玲亜さんもうこれ以上言わないでください~!」
涙目で訴える空。嬉々とする結愛。光はそんな空の肩に手をかけて話す。
「とまあ、こんな具合に触れた人の過去や秘密、その他いろんな情報を探れるんだ。」
「勘弁してくださいよ、光さん。分かりましたよ、玲亜さんの能力は信じます。でも、その能力があったなら最初から一くんたちに何とかして使っていれば早かったんじゃないですか?」
「それもそうなんだけれど、これは一人一人にしかできないものなんだ。だから二人同時に見ることは無理。それにかなり怪しまれるでしょ?だから申し訳ないけど空君に情報収集を頼んだんだよ。こういう力はやっぱり本当に必要なときに使うべきだとも思うしね。」
「そうですね。変な質問しちゃいました、すいません。」
「いいよ、別に。思ったことを口にできるのは良いことだよ。」
「それにしても焦りました…。一体どうなってるんだろう?」
「玲亜殿の能力については僕が持論をもって説明しよう!」
人成が割り込み、説明をする。
「僕が思うに、霊体とはエネルギーの塊のようなものだと考えている。それは生きた我々人間にも流れ、溢れているものであるのだ。ほら、生き霊というものもあるしねえ。玲亜殿はそのエネルギーを見たり、感じたり、知覚することができるんだよ。よって、生きた人間に触れればそこに流れるエネルギーそのものを読み取る故、情報が自動的に玲亜殿へと流れ込むのだね。」
「へえー。そうなんですか、玲亜さん?」
「・・・大体、そんな感じ。」
僕は霊体験なんてしたことないからこういうのはあまり信じられないほうだけど、世の中にはいるもんなんだなあと感じた。
「よし、能力も理解してくれたことだし早速玲亜さんと人成は準備に取りかかってくれ。人成、頼んだぞ。」
「ラジャー!では玲亜殿行くぞ!」
「了解。」
そう言って人成と玲亜は公園を出て行った。
「あのー、上手くいきますかね?人成さんてちょっと変な感じがして…。」
「空君、それな笑」
結愛が同調する。しかし、ここで凛華にねじ伏せられている龍我が言った。
「空、心配する必要はねえよ。人成は俺みてえに力は無えけど、頭は良い。それに変装したり、駆け引きなんかは得意だ。あいつなら間違いなく成功するさ。」
「そうですか。ありがとうございます。」
「あんたの今の格好じゃ説得力無いけどね。」
「うるせえ!凛華!俺は女に手は出さねえからお前に捕まってやってんだよ!」
「はあ?」
凛華は龍我の腕を人が曲げちゃいけない方向に曲げようとしている。叫び、喚く龍我。
凛華さんと龍我さんはどうやらどっちも主張が強い性格なので衝突しやすいのかな。また、言い争ってるし。でも、ケンカするほど仲が良いとも言うもんね。
「光さん達はこれからどうするんですか?」
「そうだね、とりあえずまだまだ考えることがたくさんあるから大学の部室に戻るよ。空君も来るかい?」
「はい、ぜひ!」
「おおー空君が部室に来るとは!結愛さんは嬉しいよ。」
「散らかってるから片付けしないとね。」
「そんなことは良いからどけろ!凛華!」
「では、行きましょう!」
光たち5人は公園をあとにして大学へと向かった。