協力者
5.協力者
光との約束の日である土曜日が訪れた。空は両親には友達と遊んでくると伝えておいた。三日間で得られた情報を書いた紙や財布を小さなバッグに入れて、公園に向かった。
「よし、着いた。時間は午前10時。光さんどこだろう?まだ来てないのかな?」
空が辺りを見渡していると背後から声をかけられた。
「おはよう、空君。」
「あ!おはようございます、光さん。あの、後ろの人たちってこの間言ってた…」
「ああ、そうだよ。この5人は同じサークルの仲間で今回の復讐を手伝ってくれる協力者たちだ。」
「よ、よろしくお願いします。」
空はあわててお辞儀をした。
「いやいや、そんな固くならなくても大丈夫だよー。それにしても、やっぱり空君は可愛いね♪嗚呼、神に感謝。ショタ至高!男の娘最高!グフフフフ(^q^)」
「結愛さん、興奮しすぎです。とりあえず自己紹介をしましょう。じゃあ、まずは凛華さんからどうぞ。」
「あ、あたしからか!?まあ良いけどさ。あたしの名前は桐崎 凛華。事情は光から聞いたよ。一人でよく頑張ってたわね…。必ず力になるからね!よろしく!」
そう言って凛華さんは僕と握手をした。身長が高くて、モデルみたいに美人な女性だ。サバサバしてて姐御肌って感じの人だ。
「じゃあ、次は龍我ね。」
凛華が振った。
「オレの名前は仙石 龍我だ。突然だがオレは曲がったことが大嫌いだ!だから、話を聞いてすぐにでもそいつらぶっ飛ばしに行きたい気分だぜ!よろしくなぁ!!!」
龍我さんは僕の頭を大きな手でわしゃわしゃした。龍我さんは優希くんと同じくらい大きい。褐色な肌で髪は金髪でツンツンとした髪型だ。一目見てこの人は強そうだと感じた。
「次はおめえだ、人成。」
「自分の名は影山 人成だ。性別は男。血液型はB型。趣味はコスプレ、アニメ観賞などなど。まあ生粋のオタクだと思ってくれればいい。それはそうと、空君。君を見てると僕は今まで識別していた性の定義が崩壊しそうなんだが。世の中、分からなものだねえ…。まあ、僕はあらゆることに興味が尽きないのであるため、好奇心の塊と心得ていてほしい。まあ、つまり何を言いたいのかというと…うーん、言葉が見つからないなあ。とにかく、よろしく。」
「…は、はい。よろしくです。」
人成さんはよくしゃべる。眼鏡をかけて見た目は本当にごく普通な大学生という印象だ。だけど、変人な気もする。なんというか安定しない、ブレブレな感じ。
「最後は、玲亜殿だな。」
「・・・私は如月 玲亜。よろしく。」
「あ、はい。こちらこそ。あの…その目、綺麗ですね。」
とにかく髪が長い。前髪で左目が隠れてる。髪の隙間から見える右目は綺麗なほどに真っ青だ。身長は僕と同じくらいかな。目が青いってことはハーフかな?それとも外国人?
「……あ、ありがと…。」
玲亜さんは小さな声で言った。人見知りの性格なのか少し恥ずかしがってるようにも見える。
「さて、みんな自己紹介が終わったことですし早速そこの休憩場所で空君の話を聞きましょう。」
コの字にベンチが置かれ屋根がふいているその場所を光は指差した。
僕は3日間で得られたこと、起きたことを説明した。情報をまとめた紙や身体のアザを見せたりしてできるだけ詳しく伝えた。
「……うんうん、なるほどね。ありがとう。そして、ごめんね。そんなに大変だったらすぐに連絡してくれても良かったのに。」
「ああ、いやいや!僕が連絡はしないぞって決めてたことなんでそんな光さんが謝ることじゃないです。」
「しかし!ひどいもんだぜ!やはりすぐにぶん殴るべきだ!!ちょっと行ってくるぜ!!」
龍我がTシャツの袖をまくりダッシュで行こうとする。その肩を凛華が掴んだ。
「ちょっと待ちなよ、龍我!落ち着きなさい。その馬鹿力はここぞって時に使うもんだよ。」
呆気にとられる空を見て光が言った。
「あ、空君いつものことだから気にしないでくれ。龍我は情に厚いんだ。…とにかく空君の情報を整理すると重要なのはリーダー格の神山 一君だね。話を聞くとこの子はなかなか頭が切れそうだ。支配することが全てって感じだね。一君の親はどんな人か知ってる?」
「ええと、確か会社の社長だかなんだか…けっこう金持ちな感じはします。実際、優希くんを家族ぐるみで従えているのは事実です。何か弱味を握ってるようで…。」
「ふーむ。……空君のまとめてくれた情報によれば、一君は今日も塾だよね?」
「はい、そうです。塾が終わるのは午後7時頃ですね。」
「・・・じゃあ、一君本人に聞いちゃおうか!」
少し考えて光は笑顔で言った。
「いやいやいや!あまりにも大胆すぎますよ!」
「行くのは俺や空君じゃないよ。玲亜さん、人成、頼めるかい?」
「もちろんさ。我は偵察、隠密、変装は得意なのでむしろやりたくて仕方がないね。」
「・・・了解。」
「一体どうやって聞くんですか?そんなこと一君が話すと思いません。」
「玲亜さんならできるよ。身体に触れさえすればね。」
光は楽しそうに言った。