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【番外編】騎士の重大任務 1

第4弾は、ノーマン目線のお話です。

よろしくお願いします。


つい先日、正式に騎士団に入団したノーマンは緊張していた。

父が団長を務めていることもあり、騎士団はほぼホーム。ほとんどが顔見知りのため、すでに馴染んでいる。


ノーマンを緊張させるのは、今日の任務だ。

ヴィクトリア・ホワイト公爵令嬢のお見合いの護衛。依頼主は、貴族界の重鎮ホワイト筆頭公爵閣下。

ちなみに、公爵が言いたがらないので相手は知らない。聞けば、ヴィクトリアにも明かしていないという。


意味がわからないだろう? ノーマンだってさっぱりわからない。

苦虫を噛み潰したような顔の父から命じられて来たが、そもそも高位の貴族令嬢には家門の護衛が付いている。

わざわざ騎士団に依頼しなくとも、守りは充分。の、はずだ。


しかも、みなさんあまり知らないが、近衛騎士に鍛えられたヴィクトリアの護身術はかなりの腕だ。

幼い頃にこてんぱんにされたノーマンは知っている。

本気で手加減しないし、ものっすごい笑顔で来るからめちゃくちゃ怖い。


まあ、とはいえ公爵閣下の依頼で騎士団長の命令なら、たかが一騎士のノーマンは諾と言うしかない。

たとえ、なぜ見合いに元同級生の男をつけるのか? と思っていたとしてもだ。


少しでも変だと思ったらヤれ、とヴィクトリアそっくりの笑顔を浮かべた公爵直々に声かけされたので、もちろん喜んでお供させていただく。


「ノーマン様、今日はごめんなさいね」


「うっわあ。ヴィクトリア様、めちゃくちゃ可愛いっすね」


淡いレモン色のドレスを着たヴィクトリアを迎えたノーマンは、思わず学園時代の調子で声を上げてしまった。

慌てて口を抑えるが、そのままで、と穏やかに微笑まれる。


普段、黒や赤など強い色味のドレスが多いヴィクトリアの新鮮な姿は、かなり目を引く。

うんうん頷いたノーマンは、このお見合いへの本気度を感じた。主に家人たちの。


「ありがとう。でも、こんなに明るい色は慣れなくて……」


「いやいやいやいや。めっちゃ可愛いですよ。すっごい似合います。うわー、クロエラにも見せたい。あいつすげえ喜ぶのになあ」


「本当に? あなたがクロエラに見せたいほどなら、まあ、いいのかしらね」


謎の納得の仕方をしたヴィクトリアをエスコートしながら、ノーマンは出がけの婚約者の様子を思い出す。

童顔の眉間に深い皺を寄せ、びしっと人差し指を立てて『とにかくヴィクトリア様を守るのよ!』と、父親みたいなことを言っていた。


宰相閣下も『よく見極めるように』なんて言っていたし、王太女殿下も『概ねのことは許可する』とか無茶苦茶なことを言うし。

ルディオまで『心身の安全を最優先にな』とか言い出すし、マジョルテなんか付いて来ようとしていた。


現在は宰相室の優秀な補佐官であるヴィクトリアは、元第一王子の婚約者だったこともあり、婚約に消極的だと聞いた。

でも、周囲の様子を見ていると、周りが過保護すぎて相手が尻込みしている気もする。


────こーんな美人だもんな。男どもが放っておくわけない。


過保護になるのもわかるのだが、出会いそのものを遠ざけてはもったいない。

人間関係は、何も恋愛に限らないものもある。ノーマンとヴィクトリアのように。


幼少の頃のノーマンは、まあ今だから笑い話だが、阿呆丸出しの悪ガキだった。

勉強は大嫌いだし、好きな子は虐めるし、友にもいらん悪戯ばかり仕掛け、使用人を振り回しまくった。


ヴィクトリアのドレスに蛙を乗っけるという、今思えばしょうもない悪戯をした幼いノーマンは、いったい何を考えていたのだろう。

まあ、重いドレスをものともしない小さな少女に関節技をキメられて、彼女にだけは逆らうまいと学ぶいい機会ではあったのが。




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