また、自分自身を
(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い………‼︎)
(油断したッ‼︎クソが‼︎)
(まずは抜くか?再生が先だろ。痛みに耐えれない)
(大丈夫、大丈夫だ。このくらい治せるだろ?)
(相手は誰だ?この矢とかを考えればクルスのどっかの部隊か?)
(バルトが逃げる。あいつらどういう思考してるんだ)
飛んできた槍が心臓に刺さり、後ろへ倒れる。倒れて地面に付くまでのこの瞬間、様々な考えが同時に頭を巡る。できるだけ速く巡り回らせ、1つの答えに辿り着く。
「《心淵》………ッ‼︎」
レオは黒い渦を出し、入った。
「…ッ…‼︎……ッ…ッ…‼︎」
黒い渦の中で、痛みに耐えながら槍を抜き、速攻で夢眸の能力で傷を治した。
この黒い渦のスキルの名は心淵。どこにでもいくらでも物の出し入れができる黒い渦を出す。応用として、自身が中に入って別の場所に出入り口を出して出ればワープのようなことができる。心淵の中は世界と隔離されており、完全に安全だ。今回は安全だということにたった今気付き、死を免れた。
「…すぅー………はぁ……すぅー……はぁ……」
ゆっくり深呼吸をする。その呼吸は、震えていた。いくら描く者で思い込ませても、突然何かあれば素に戻ってしまう。
「…邪魔だな」
レオは、右袖にあるクルス王国の紋章を、引きちぎって修復し、ただの白い和服へ変えた。
「………開けてくれ………」
レオは心淵を出た。
「クソ、魔王はどこだ…?どこに………ッ‼︎」
先程消えた場所に、いつの間にかレオが現れる。
「再び現れたぞ‼︎総員‼︎はな」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」
さっき隊長に刺された槍を全力で隊長めがけて投げる。それと同時に、いくつも心淵を出してそこから黒い何かを放った。
「ッ!?避けろーッ‼︎」
隊長は数百人程の隊員へ声かけるが、遅かった。
「ぐはっ‼︎」
「うわああああああああ!?」
「来るな‼︎来るなあああ‼︎」
隊長含め、成す術もなく、蹂躙された。
「………クソが………」
レオはバルトが倒れていたところ見るが、既に逃げた後だった。
「───お前らあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」
様々な想いを込めて叫ぶ。そして、蹂躙を続ける。今度は怪我を負わせるだけじゃない。本気で、殺す為に。声が聞こえる。ただ叫ぶ声、助けをこう声、恋人や家族の名前を呼ぶ声。微かな希望を抱いて叫ぶその声達は、誰にも届かなかった。この状況で、彼らに希望は無かった。ただ、飛んでくる攻撃に体が飛ばされるだけだった。
─数分後─
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ………」
部隊の全員を、殺し終わる。スキルを全て解除する。レオは力無く、膝から崩れ落ち、俯く。地面に右手をついて、左手で左目を抑える。
「う"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」
左目から溢れる大粒の涙を抑えつつ、溜まった想いを、声にならない声にして泣き叫ぶ。初めての殺人。背負う荷が一気に増える。犯罪だからとかでは一切ない。レオは、誰よりも命の重さを理解していた。どんな理由であろうと、決して死で笑わってはいけない事。どんな偉業を果たしても、死ねば終わる事。それ故に、とても重い。この荷は、重かった。
……だが
「………」
泣き止み、ゆっくりと立ち上がる。
「《描く者》」
スキルをボソッと呟き、発動する。レオは、自身の思想を変えた。本来そうするべきだったのかもしれない思想へ。
「所詮、ゴミはゴミだな」
そう呟く。
「俺は殺されそうになったんだ。やり返して何が悪い?冗談でも死で笑ってる奴らだぞ?はっはっはっはっは…死んで当然だろ!」
やられたからやり返す。どんな事をやられても、やり返しに殺す。どれだけ些細な事でも、死へ繋がっているから。彼の思想は歪んでしまった。何かの皮肉だろうか。かの存在を嫌う人間が…ここに、魔王を君臨させてしまった。
「ふっふっふっふっはっはっはっは………はっはっはっはっはっはっはっは‼︎」
ハイになって笑い叫ぶ。荷は軽くなった。ただ…別の何かを、同時に消してしまった。彼は自覚していた。
左目から流れている透き通っていた涙は、いつの間にか黒くなってしまっていた。
アニメ化とか書籍化とか漫画化とかしたらいいなぁ〜w




