1人の想いに、奏でるは3つの戦慄
──数日後──
「…《孤独への花束》」
ケイソレイは孤独への花束で耳で音楽を流し、向かい始めた。
「……」
見慣れたいつもの街の風景を見渡し歩く。今は、妙にくっきり見え、感じる。綺麗とか、そんな感じじゃない。街を歩く人々の笑顔で伸縮するシワ、道端に咲く花の質感、葉の繊維、家の1つ1つの汚れやヒビ、少しずつ動く雲と青い空。そして、自分の体を動かし、それで伸縮する肌やより出てくる骨の輪郭。全体的に質感が上がったとでも言うのだろうか。
妙に生きてる感覚がして、気味が悪い。
「………動かせる。寒くて少し鈍くなってる様もしっかりと感じる。足は、鈍くなってない。だけど、膝でよく肌が動いてる。あれ、皮膚だっけ?まぁいいか」
ぶつぶつと1人言を呟く。いつもは気にしていなかった事。今は、世界の全てが細部まで見える。生きてると、実感させられている。
「……どうせこれからのやつのせいだろ。酷なことしてくれんじゃん。あんま気にしたくねぇっての………ていうかあんまこういうこと気にしないようにしてるんじゃねえの戦場の人らはさ。じゃねぇと耐えれんて」
(………)
「…それでも、考えながら生きてかないとって思う俺は、なんなんだか」
自分でも、自分の思想や性格は制御できない。自分のこれまで生きてきた人生で、この思想や性格が正解だった。今も正解だと思っている。これが、俺の答えになった。
もう、嫌と言うほど凝り固まっていた。
「はぁ………さてと、行こ。この状況にしたのはお前だ。死の重さくらい分かってるだろ?………それじゃあ、行こうか」
(……)
「ああ。行って、帰るとも」
再び気持ちを切り替えて、そのまま向かった。
──数十分後──
「……なあ、本当に……来るのか…?」
「…多分来るよ。あの時の顔見たでしょ?覚悟してるのかは分からないけど、やらなきゃって感じだったよ」
「………だよな」
その時
「……ッ。2人共、来たよ」
人混みの中、右袖にクルス王国の紋章を付けた白い和服の子供が、ゆっくりと近付く。
「…孤独への花束解除」
(……来た…な)
「………時間は大丈夫?」
ケイソレイが、待ち合わせ場所に着いた。
「「うおおおおおおおお‼︎」」
英雄の到着に、周りの集まった民衆が歓声を上げる。今回はリラードだけでなく、ケイソレイも加わる英雄2人が任務に当たるのだ。当然気分は上がるだろう。
リラードは、いつも通り、優しい笑顔で迎える。
「時間はピッタリ」
「よかった」
英雄隊の衣装は袖に付いた紋章以外はバラバラで、それぞれ好きなように特注できる。ケイソレイはカッコいいからという理由で白い和服を選んだが……リラードからは、今だけは、死装束のように見えた。
「ちょうど、来たみたいだしね」
「来た…?……ああね、確かに、ちょうどだわ」
後ろを振り向くと、デルタ・クルス王とアーレルド・クルス王子が歩いてきた。今回の護衛対象だ。
「英雄隊は揃っているか?」
「問題無く」
「よし。では、皆の者‼︎行って来る‼︎」
デルタ王は簡潔に集まった国民へ挨拶を済ました。
「では、行こう」
「はい」
英雄隊と王族は、クルス王国を出て、シャード共和国へ向かった。
「………」
その様子を、1つの怒りの影が見ていた。
やっと物語が動かせそう




