孤独故の力
一体どのくらいの時間が経っただろうか。少なくとも24時間以上はこのままでいる。たが、やっと、自分を取り戻してきた。
(………)
ゆっくりと、起き上がる。
「…俺には…お前がいるよな。ふふ…」
キスをする。
「さてと……ご飯、食べないとね。よっ…」
ぬいぐるみを抱えながら立ち上がる。
その時、音に気付く。
「…?なんか、遠くから音が……」
何か嫌な予感がする。恐る恐る、ドアを開けた。音の答えは
「────え?」
爆発音。音がする方を見る。遠いが、今は夜でよく見えた。クルス王国に火の手が上がっている。あんなに、嫌な光は見たことがなかった。
唖然とする。頭が上手く…いや、全く回らない。理解が追いつかない。
「いや…そんな……まだ……」
段々と理解が追いつく。実感は湧き、声が震える。アザレアとガリヤードが作戦会議していた月に1度の魔族襲撃。あれは今月は終わり、約2週間後の襲撃にゆっくりと備えるだけだった。レオが家に篭っていた間、時間感覚はほぼ無かったが、それでも2週間もああやっていないと確信を得れる。それに、これまで全て王国の外で返り討ちにしてきたのに、今回だけあそこまでやられるとは思えない。答えは1つだ。
「突然……来たのか……?」
突然の襲撃。それならば納得がいく。今回は特別…今回だけいつもより多くの魔族が襲来したとも考えられた。
「………とりあえず、早く行か───」
特に考えたりもせず、ぬいぐるみを抱えたまま行こうとした。
その時
─カチッ─
「は?」
突然、地面が大爆発した。それと同時に
「今だ‼︎やれ‼︎」
「「うおおおおおおおお‼︎」」
身を潜めていた魔族がレオに向けて矢やスキルで一斉に攻撃してきた。何千とぞろぞろ現れ、約20秒もの間大量の攻撃に晒され続けた。とてつもなく長い20秒だ。
「………や、やった……?」
攻撃を止めた。魔族はレオが弱っていることを聞いて突然の襲撃を決行した。1番脅威なのはこのレオであった。それ故に、決して手加減など許されない。だが、約20秒も敵1体に大量の攻撃で晒し続けた。
結果、油断してしまった。
「おわっ!?」
突然禍々しい黒い炎のような禍々しい柱ができる。それと同時にそこから辺り一帯まで黒い何かが放出され、霧のように前が見えない程になった。1番前にいる魔族の隊長は、なんとか前を見る。人影があった。
「ッ!?嘘……だろ……?」
人影は、何かを抱えながら、ゆっくりと立ち上がる。目の辺りに、3つの炎が左右に見えた。
「こいつを攫っておくべきだったな」
「ッ‼︎攻撃しろー‼︎」
隊長は即座に判断を下す。だが
「《災厄》」
一帯に立ち込める黒い霧が、少し紫がかって紫黒色になる。すると
「うっ…」
「あッ…が…!」
次々と魔族が倒れていく。辺りの木々も一瞬で枯れていく。
「うぐっ……く…クソ……が………」
残る隊長も次第に弱り、意識が途絶えた。
《災厄》。周りを無差別に毒殺するスキルだ。これも、死を目指すが故にできた。
「ふぅ……大丈夫か?」
霧が晴れる。レオは手元にぬいぐるみがあったおかげで、即座に攻撃に反応できた。レオにとって、このぬいぐるみの存在は大きかった。故に、護ろうとする想いが無意識に夢眸を発動させ、身を護った。今のレオは、両目から3つずつ黒い炎を放っている。大切な何かといる時だけ、とある1つの想いを除く全ての想いを使って夢眸を発動できる。いつもなら流れる黒い涙もこの状態で描く者を使えば全く出ない。ほぼ全力の状態だ。
「ここは危険だね。少しの間…一緒にいて」
そうぬいぐるみに話し、キスをする。左手で優しく、離れないように強く抱きかかえ
「行くよ」
クルス王国へ向かった。
毎回なんだけど、キスとかハグとか描く時ちょっと恥ずかしんよね




