【和志倭人伝】第17.89話 日本シリーズ開幕記念:三国志ベースボール
2025年10月25日(土)、プロ野球・日本シリーズ開幕記念!
今年のプロ野球もとうとう見納め……寂しさを紛らわすために書きました。
内容は、極悪ギャグです。
時代は、ニュー・ジェネレーション!
皆様、こんにちは。
今シーズンのプロ野球も残りわずか。
三国志シリーズの季節がやって参りました。
昨年に引き続き、
中原リーグ代表「曹魏」と、
益州リーグ代表「蜀漢」の顔合わせ。
本日は、ここ五丈原ボールパークより、初戦の模様をお送りして参ります。
上空は雲一つない晴天、絶好の野球日和となりました。
解説は、三国志の解説でおなじみ、裴松之さん。
実況はわたくし、金玄基でお伝えして参ります。
裴松之さん、どうぞよろしくお願いいたします。
「はい!よろしくお願いします」
また、本日はスペシャル・ゲストとして、
前倭国代表監督・阿蘇の大巫女様にもお越し頂いております。
大巫女様、どうぞよろしくお願いいたします。
「うむ。よろしゅう……」
さあ、先攻・曹魏の選手紹介が始まります。
場内アナウンスをお聞き頂きましょう。
〜曹魏、選手をご紹介いたします。
一番、センター・張郃
二番、レフト・胡遵
三番、ファースト・郭淮
四番、キャッチャー・司馬懿
五番、指名打者・王双
六番、サード・司馬師
七番、セカンド・司馬昭
八番、ライト・夏侯威
九番、ショート・郝昭
先発ピッチャーは、曹真
監督は、司馬懿でございます。
――ワアァァァァァァァァ!
――ドン・ドドン・ドドン・ドドン!シーバイ!……
プレイングマネージャー・司馬懿監督が、ベンチ前で帽子を振っています。
いかがでしょうか?裴松之さん。
「白髪が増えましたねえ……ん?」
司馬懿監督の采配、どうご覧になりますか?
「まあ、一貫して我慢の采配ですよね。
滅多に動かないスタイルが定着した感があります」
対します、後攻め・蜀漢の選手紹介です。
〜後攻いたします蜀漢、選手をご紹介いたします。
一番、レフト・張翼。
――ワァァァァァ!
場内からも歓声が上がっております。
アナウンスとともに、各選手が走って守備についていきます。
〜二番、ショート・張嶷
三番、センター・馬忠
四番、指名打者・魏延
五番、サード・廖化
六番、セカンド・王平
七番、ファースト・馬岱
八番、ライト・陳式
九番、キャッチャー・楊儀。
さあ、注目の先発投手の発表です……。
〜ピッチャーは、馬謖。
ピッチャー馬謖、背番号……。
……(シーン)……ザワザワ……ザワザワ……
〜監督は、諸葛亮でございます。
――ゴオォォォォォォン!
――監督ぅぅぅ!
――コーメイ!ドドン・ドン・ドドン!コーメイ!……
おおかたの予想を覆し、先発のマウンドには馬謖が登場して参りました。
今季・レギュラーシーズンでの登板は……ありません。
この起用どう見ますか、裴松之さん?
「……うーん……未知の才能に期待、というところでしょうか」
その諸葛亮監督、ベンチ前で芭蕉扇を振っています。
相変わらずの人気ですね……。
蜀漢のオーダーですが、ご覧になっての感想はございますか?
「苦しいチーム事情が伝わって来ます。年々、選手が小ぶりになって……
監督の采配でなんとかもってます、はっきり言って。
特に、魏延なんていう選手は守備につこうと思えばつけるのですが……」
もうベテランの域に達しました、魏延。
昨年は、FAを宣言して話題にもなりました。結果的に残留を決めましたが……。
「人材不足の弱みに付け込んで爵位を上げた……
こういう選手は、まあ……いても役に立たないですよね」
他に、注目する選手はいますか?
「姜維というピッチャーですね。
明日の先発が予想されてますけれども……」
最近、曹魏から移籍した投手ですね?
内政を顧みないストレートが持ち味、諸葛亮監督・期待の新人です。
「そうですね、なかなかの秀才です。
まあ……彼くらいじゃないでしょうか? 今の蜀漢では……」
投球練習が終わりました。
一番の張郃がバッターボックスに向かいます。
さあ、まもなく球審のコールです……。
「――プレイボール!」
さあ、始まりました。三国志シリーズ第一戦……おや?
マウンド上の馬謖、二度、三度、首を振っています。
「サインが合わないみたいですね」
あっ、裴松之さんが札を手にされました。
「はい。勝負眼、出します。ここは大事なところですよ」
ようやくサインが決まりました。
ピッチャー馬謖、振りかぶって第一球……投げました――
――ああーーーーーーーーーーーっ!
……デッドボール!
ヘルメットを直撃! これは行けません……
――退場!!
馬謖に危険球退場が宣告されました!
馬謖、グラブを叩きつけ、球審に詰め寄ります!
「何でだ?!『高きより低きを見るは勢いすでに破竹……』って言うだろ!」
向寵ピッチングコーチがベンチから出ました!
馬謖の元に駆け寄ります!
ああ……なにか話をしています……。
いやあ……大変なことになりました、裴松之さん……。
「生兵法ですよね……ちゃんと街道沿いを締めないと……」
阿蘇の大巫女様は、いかがご覧になりますか?
「そうじゃのう……どんな投手かと思って見ておったのじゃが……
不思議と何も感じない男での」
代走・夏侯覇が告げられました……。
張郃は、まだ倒れたままです……。
大丈夫でしょうか……?
――ああっと、ここで両軍の選手がベンチを飛び出しました!
――乱闘! 乱闘です!
祁山で激闘が繰り広げられております!
蜀漢ベンチには誰もいません!
諸葛亮監督がただ一人、琴を弾いています!
一体、どういうことでしょう?!
「……『空城の計』……でしょうか?」
「……間違いない。これは孔明の罠じゃ……」
乱闘は尚も続いております!
激しくなる一方です!
「北伐は先代・劉備オーナーからの悲願ですから、ここは引けません」
「六、七年は続きそうじゃの……」
――ああーっ、しかし没収試合!
没収試合が宣告されました!!
諸葛亮監督……一人、悠然と引き上げてゆきます……。
「……放送席、放送席?」
あっ、諸葛亮監督のインタビューが入りそうです。
ナカツヒコさん、お願いします!
「はい。それでは諸葛亮監督に伺います。
お疲れ様でした。
まず、試合を振り返っての感想を、ひとこと」
「勝って去るのである。
退くとは戦いの中でのこと、去るとは作戦の行動にほかならない」
……インタビューの途中ですが……
ここで一旦、東京のスタジオにお返しします!
お読みくださりありがとうございました。
これを読んで頂けますと……感謝しかありません。
ありがとうございました。
日本シリーズ、がんばれ!どっちも!




