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カードゲームのインチキ効果詰め合わせみたいなスキルを貰った場合、異世界に行って無双し、百合ハーレムを作ることができる。  作者: 浮脚ダツ
第一章 私が異世界に召喚・特殊召喚された場合、スキルを得て、世界から女神を装備する。
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私が異世界に召喚・特殊召喚された場合、スキルを得て、世界から女神を装備する。②

 今度は何なの!? と驚いていると、女の人の声は、頭の中でまくし立て始めた。


――探しましたよぉ〜! こんなところを歩いてたんですね! 私の部屋に呼んだはずなのに、森の中歩いてるってどういうことですか? おっかしいなぁ〜、転移の術式は……これで……あ! ここちょっと間違ってる!? あー、それでか〜。ごめんなさい。私のミスみたいでしたぁ〜――


 う、うるさい……。

 あまりの大音量に耳を塞ぐも、全く音量が変わらないから、頭がおかしくなりそうだった。騒音被害ってこんなにつらいんだなと、私は身をもって理解した。


――あ、すみません、音量も間違ってました……――


 ようやく音量にも気づいた声が謝罪した。できればその謝罪も、音量を直してからして欲しかったと、私は強く思った。


――重ね重ねすみません。もう音量は大丈夫ですか?――

「え? あ、はい……」


 誰もいない虚空に返事をする。

 あれ、というか、今、私の心読んでなかった? この声。

――あ、はい。読んでますね。神なので――

 神? あの神だろうか? 全知全能的な?

――そこまで大袈裟なものじゃないですけどね。なんというか、そう! ()()()的なユルい神です――

 なんだかメタっぽいことを言い始めた。だが、少し納得もした。だからなんか声優さんみたいな声で話すんだな、この神。具体的に言うと、東山奈央さんみたいな声で。

 うーん……。東山奈央さんの声は可愛いけれど、神の声としておくのは、何故だろう、なんだか、どことなく不安だ……。

――ご心配、ご不安をおかけして申し訳ないです。ですが、私はその東山奈央さんじゃないので、どうかご安心を――

 そういう意味ではないんだけど、まぁ、いいか。


 私は咳払いをして、虚空に言い放つ。

「それで、神様は私に何の用ですか?」

――あーはい。そうでした。ここではなんなので、ひとまず私のいる空間まで再召喚しますね――

 え、それはちょっとどういううわああああああ!!?


 ――急転直下であった。


 気が付くと、今度はメルヘンでファンシーな部屋にいた。

 今度はしっかりと気を失ってからの覚醒である。ご安心くだされ。何にだよ……と自己ツッコミをして自意識を確認した。


「あ、お目覚めですね。先ほどはすみませんでした!」

 今度は耳に聞こえる声で、東山奈央さんみたいな声が話しかけてきた。音量も普通だ。

 上体を起こして声の方に首を回す。


 どえらい美人が世界にはいるもんだと思った。

 神を自称するだけのことはあるその美貌が、柔和な笑顔でこちらを見ていた。これで声まで東山奈央さんとか、女神で間違いない。と、謎に納得してしまった。

 ぶっちゃけ、一目惚れしました。同性に恋をするのは、初めての経験だ……。

 やばい、こんなことを考えていると揶揄(からか)われてしまう……。


 …………?


 特に何も言われない。美人なんてもはや言われ慣れているから歯牙にも掛ける必要がないということだろうか?


「ええっとぉ……すみません。ここでは口頭でお願いします。念話は次元を超えてるときじゃないと使えないので……」

 首を捻って頭の上にハテナマークを浮かべていたであろう私を見て、女神様は申し訳なさそうに説明した。

 あ、なるほど。

 納得と同時に安堵した。私のさっきの女神評は、彼女には聞こえていなかったんだと。

 あれが聞かれていて、あまつさえ揶揄(からか)われでもしたら、顔から火でも吹いていたに違いない。


「あの、早速ですが、本題に入ってもよろしいですか?」

「あ、はい。女神様」

「あ! 名乗っていませんでしたね! 私は、加具土命(かぐつちのみこと)――」

「加具土命!?」

「――と、ヘファイストスの末裔、ヘスティーです。名前は似てますが、ヘスティアの子孫ではないので間違えないように」

「あ、末裔……ね。ギリシャ神話、『ヘ』で始まる名前多いもんね……」

「そうなんですよ! 私も家系図見せられたとき、多すぎて誰が誰やらってなりましたもん!」

 家系図とかあるんだ、神様。

「そういえば、ヘスティー様は、加具土命側の名前っぽさがないですけど、ヘスティーも愛称で本名じゃないのでは?」

「ぎく……」

 ぎくって言った。神様は本当に言うんだ。

 まぁそんなことより本名だよね。カード名も宣言するときは正式な名前でないといけないもん。

「教えてほしいです」

「へ、ヘスティー……ゴニョゴニョ……」

 何やらもじもじとしだした。可愛いなぁ。

 隠されていた私の嗜虐心が暴れ出すのを感じる。

「何のお願いか分からないですけど、本名も教えてもらえないなら、聞くわけにはいきませんねぇ。残念ですが……」

 チラチラとヘスティー様を見ながらニマニマと笑う、キモい自分がここにいる。

 ヘスティー様はモジモジが加速しては、顔がトマトみたいに真っ赤になっている。よほど恥ずかしい名前なのだろう。それにしても、可愛さが天元突破している。

 じっと、ヘスティー様を見る。


 そしてついに――

「わ、分かりました! 言いますぅ! わ、私の、本名は……ほん、みょう……は――ヘ、ヘスティアヌス(のみこと)です!!」


 思ったよりも普通だった。でも本人からしてみればめちゃくちゃ恥ずかしいのだろうことは、その泣きそうな顔を見ていれば充分に理解できた。

 私は人の名前を笑うような非道で外道な女ではないつもりだ。だから、この話はここでおしまいだ。

 だけど、無理に言わせた手前、何か言わなければそれはそれで失礼な気もする……。

 よし。素直な感想を述べよう。

「和洋折衷? って感じで良いと思います。私は嫌いじゃないですよ、ヘスティー様の名前」

「そ、そう、ですか? 笑いませんか?」

「むしろ笑う要素どこ? って感じですね」

「そう、ですか……。へへ……わたし……この名前で笑われなかったの初めてです……ありがとうございます……」

 クソ、可愛いな!! 名前イジった神様たち全員ドツキ回したくなってきた!


 冷静になれ私。私ごときが神様たちに勝てるわけがない。

 ここは自己紹介を返して落ち着こう。そうしよう。


「じゃあヘスティー様だけじゃ変だし、私も名乗りますよ。私は――」

「黒咲椿さんですよね。神なので知ってます!」

 あ、はい……。

 するまでもなかった。そうだよね、私、ヘスティー様に呼ばれてここに来たんだもんね。

 気を取り直そう。本題を聞こう本題を!

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