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十八話 mbti(2)

 ハヌルとの追撃戦終えて家に帰ってきたソラはすぐリビングのソファーに身を投げた。すると、突然横から何かが自分を推している感じがした。

 これにソラが横に顔を向けると、そこには先にソファーに座っていた莉里(りり)がソラを横に押していた。


「ソラ姉、狭いよ。ちょっと横に行って」

「あら、いたの? ごめんごめん、知らなかった」


 ソラは莉里(りり)のために横に避けってやった。ソラはソファーに楽に座ってリビングを見回した。(ゆい)の姿が見えなかった。


「そういや、(ゆい)姉さんは? 家にいないようだが、まだ退勤してないの?」

「そうみたい、電話してみようかな」

「まだ働いてるはずだから、余計に電話はやめよう」


 ソラの言葉に莉里(りり)が手に持った携帯を横に投げた。そして、またテレビの方に視線を移った。テレビにはソラが知らないドラマが出ていた。


「あのドラマは何」

「最近流行ってるドラマだよ。なかなかおもろいだよ」

「ふむ、そう? 私は初めて見るな」

「えっ、ソラ姉、本当に役者なの? ドラマに全然興味ないじゃん」


 莉里(りり)が驚いてついテレビから目を離してしまった。そのため、大事なシーンを見逃してしまった。莉里(りり)の口から「あ」と邪念そうな声が漏れた。


「ソラ姉! 姉のせいで今大事なシーンを見逃したじゃん! どうするんだよこれ」

「別に私のせいではないと思うんだけど。そして、どうせこれまた再放送するじゃん、だから後で見ても」

「わからないな。あと、お願いだから流行ってるもんに興味を持ってね。まだ二十一歳だろ、今のままじゃ人々と会話できないよ」


 莉里(りり)は完全に諦めてまたドラマに夢中になった。ソラは口を尖らせて莉里(りり)の横顔をじっと睨む。


「私も流行ってるもの結構知ってるよ。今日だって流行ってるmbtiっていうものをやってたんだ」

「mbti?」


 莉里(りり)が目を丸くしてソラを見つめた。すると、ソラは意気揚々な表情でえへんと咳払いした。


「やはり莉里(りり)も知らないんだ。どうせやったことも」

「あるよ」

「やっぱりないのか、え? ある?」


 ソラは思ったことと違う返事に面食らった。莉里(りり)が呆れてジト目でソラを見つめた。


「未だにやってない若者は多分ソラ姉しかいないはずだよ」

「まさか、私以外にもたくさんいるはずだよ」

「はいはい、そういうことにしとこう」


 莉里(りり)はため息と共に首を横に振りながら、テレビに視線を移った。


「それで莉里(りり)は何が出たの?」

「あたし? あたしは何だっけ、多分entpだったと思うよ」

「entp? 確かiが内向的だと言ったから、eは外向的な人だよね?」


 莉里(りり)は返事の代わりに首を縦に振った。ソラが「やった」と喜んだ。


「ちなみに、私はinfjだよ」

「あ〜そうなんだ。ソラ姉と似合うよ」


 莉里(りり)はテレビから目も離さずに適当に相槌を打った。今の話に全く興味がなさそうだ。

 空気を読んだソラはドラマに集中している莉里(りり)にもう話しかけなかった。ただ黙って一緒にドラマを観た。

 そうして数分後、


「ただいま」


 リビングのドアから退勤した(ゆい)が入ってきた。ソラと莉里(りり)が同時に首を向けて「おかえり」と言った。

 (ゆい)は鞄をリビングの床に置いてソファー前の椅子に座った。


「何観てたんだ」

「ドラマ」

「初めて見るけど、これ面白い?」

「最近流行ってるドラマらしい」

「ふむ、そっか」

「姉たち、うるさいからちょっと静かに」

「「わかった、ごめん」」


 莉里(りり)の怒鳴りに(ゆい)とソラが同時に謝った。これでやっと静かになると思ったが、五分も経たないうちにソラがまた口を開いた。


「そういや、(ゆい)姉さん、mbtiって知ってる?」

「mbti? 初めて聞いたけど何」

「やはり姉さんもやったことないな。ほら、莉里(りり)、私以外にもやったことない人が」


 ソラは浮かれて莉里(りり)の肩を叩いながら呼んだが、莉里(りり)の冷たい眼差しに言葉を濁した。ソラは莉里(りり)に「ごめん」と言い、囁く声で言い続けた。


「性格類型検査なんだ。とりあえず、スマホ出してみて」

「スマホ? わかった」


 (ゆい)がソラの言う通り携帯を取り出した。ソラはすぐ(ゆい)の携帯を奪い、今日ハヌルに教わった通りにサイトを探して入った。


「ここの質問に素直にチェックして」

「質問が多いけど、とりあえずわかった」


 (ゆい)は面倒だったが、ソラの浮かれた姿を見て断れなかった。それで、ソラの言葉に従って質問にチェックし始めた。

 数分後、


「全部やったよ」


 (ゆい)が携帯をソラに見せた。


「これが結果なの、このistjが?」

「どれどれ、あ、そうだよ。istjは内向的でsは何だろう。ね、莉里(りり)ちゃんは知っている?」


 ソラがテレビに夢中になっている莉里(りり)の肩を叩いた。すると、莉里(りり)が面倒臭いというため息をつき、「感覚型」短く返事した。


「だって」

「ソラ、お前、これがどんな型なのか知っているんだよね?」

「もちろんだよ。(ゆい)姉さんは黙って聞けばいいのよ。えーと、次はtか。tは()さんに言われたところ冷たい人だって」

「え? 冷たい人? わたくしが?」


 (ゆい)がかなりショックを受けた顔で自分を指した。横からは爆笑した。


「ソラ姉の彼氏って人、正確に知ってるね。mbti専門家といってもおかしくないくらいだよ」

「私もそう思うよ」

「お前ら冗談はやめて、もう本当のことを言え、tって何だ」


 (ゆい)が楽しそうに笑っているソラと莉里(りり)に言った。これに莉里(りり)が代わりに教えてあげた。


「tは理性的な人だよ。例え、もし(ゆい)姉は友人に『私昨日憂鬱でパンを買った』と言われたら何て言うの」

「何と言うこともなく、そもそも憂鬱とパンって関係ある? どう考えても無駄遣いとしか思えないのに」

「はい、紛れもないtでした」

「え? これが理性的なの? どう考えても憂鬱とパンは」

「じゃ、ソラ姉は何て言うの?」


 莉里(りり)(ゆい)の話を遮ってソラに目を逸らした。突然の問いにソラはしばし悩み、そして口を開いた。


「私なら多分、大丈夫? 何かあった? 私が聞いてやるから言ってみな、と言うと思うよ」


 ソラの返事に満足した莉里(りり)(ゆい)に視線を移った。


「聞いた? これがfの返事だよ。パンと憂鬱との関係よりその人に共感してやる、これがfだよ」

「いや、全然パンと憂鬱は全然関係ないだろ。わたくしはむしろなぜパンと買ったのか、その理由が聞きたいよ」

「だから、tは冷たい人と言うんだよ。確かパンと憂鬱は何の関係もないよ。だが、その人が憂鬱だと言ったのは、私憂鬱だから慰めてほしいというのと同じだから」

「は、意味わからないな。そんなに共感が慰めてほしいなら、最初から直接慰めてほしいと言えばいいじゅないか」

「それを言わないとわからないの? パッと見てわかるもんじゃない?」

「普通、話さないとわからないよ。むしろ・・・・・・」


 (ゆい)莉里(りり)の会話はいつの間にか言い争いになってしまった。ソラは遅れて気付き、喧嘩をやめさせようとした。

 だが、


「その莉里(りり)、この辺にして、ドラマを見る方が」

「もう終わったから、邪魔しないで」

「その(ゆい)姉、さっき退勤して疲れたでしょう? お風呂でも」

「お風呂よりこれが大事なの」

「でも、二人ともいつまでこれで」

「「邪魔だから、黙って!」」


 莉里(りり)(ゆい)の怒鳴りに、ソラはこれ以上何も言えなかった。ソラ一人でこの喧嘩を喧嘩を止めるのは力不足だった。ソラはこの終わりが見えないこの言い争いを見て、二度と家でmbtiの話は切り出すのはやめよう、と誓い、また誓った。

読んでいただき、本当にありがとうございます。

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