十七話 mbti
今日もいつものようにソラはハヌルの隣に座っている。しかし、まだハヌルとは何の会話もできなかった。
ソラがこの公園に着いたのはわずか二分前だが、ソラが着いた前からずっと携帯を触っていた。最初はゲームでもやっているのかと思ったが、画面と持ち方を見ると、ゲームではないと思う。
ハヌルの携帯画面をちらっと見たところ、韓国語みたいなものが書かれていた。
このままじゃ会話ところか、顔さえ見られない、とソラは思って先に話しかけた。
「李さん〜、今何やってるんですか」
「あ、ソラさん、ちょっとお待ちください。もうすぐ終わるので」
ハヌルは顔すらソラに向けずに携帯に夢中していた。ソラはとりあえずハヌルの言うことに従い、一旦待つことにした。
そうして少し後、
「やっと終わった」
ハヌルがやっと携帯から目を離した。そして、すぐソラに顔を向けた。
「ソラさんもこれ一緒に見ますか」
ハヌルが自分の携帯を指し示した。画面には韓国語だらけでソラには読みにくかった。でも中には英語もあったので、英語だけでも読んでみると、
「mbti?」
と書かれていた。初めて見る英単語だった。ソラがこれ何、という目でハヌルを見上げた。すると、ハヌルが微笑んだ。
「これmbtiっていう性格累計検査です。これが〇年前から韓国でめちゃ流行ってて、今も初めて会う人とのアイスブレーキングとかネタによく使います」
「そうなんだ。ところで、なんで今そのmbtiというものを。確か私といる時はスマホ触らないことにしましたよね?」
「あ、ごめんなさい。久々に思い出してやってみたかったです」
ハヌルがすぐ謝った。ソラはゲームをやったわけではないので、すぐ許してくれた。
「その、もしソラさんも興味あるなら、一度やってみませんか」
「え、そのmbtiっていうものを? 無理ですよ、私、韓国語全然読めませんから」
「そこら辺は心配しなくてもいいですよ。これ日本語もあるから、もしないなら僕が翻訳してあげます」
「なら私も一度やってみましょうか」
韓国ではこれがネタになる話にソラも少し興味ができた。これでハヌルと会話するつもりだった。
「それじゃますスマホを取り出してインターネットを・・・・・」
ソラはハヌルの指示に従ってmbti検査サイトに入った。幸い日本語バージョンもあって大きな問題なく検査できた。
約五分後、検査が終わったソラがハヌルの肩を叩いた。
「李さん、終わりました。このInfj? これが結果ですか」
ソラが自分の携帯の画面をハヌルに見せた。ハヌルがソラの携帯を覗き込んだ。
「あ、単にいうと内向的で普段想像の多い、感傷的で計画して行動する人ですね、ソラさんはどう思うですか」
「ある程度は合ってると思いますけど、李さん、これ全部覚えていますか」
ソラはびっくりした。infj、これだけ見ただけのに何が何を意味しているのか完全に知っていた。
しかし、ハヌルはこのくらい普通と笑みで語った。
「周りの人たちのせいで思わず覚えちゃいました。最初は僕も全然興味なかったんですよ」
「じゃ、李さんはなんで」
「知り合いの姉さんが何度もやってみてとうるさく言ったので、仕方なく」
「知り合いの姉さん? 一体誰ですか」
ソラはひょっとして新たなライバルが現れたではないかと不安になった。
「もし彼女ではないですよね? 本当にただの知り合いですよね」
「彼女? いやいやいや、絶対違うから、絶対違うから、冗談でもあんなこと言わないでください」
ハヌルがこんなに激しい反応を見せるのは初めてだった。少し驚いたソラはその勢いに「はい」と小さく返事した。
ハヌルは少し落ち着き、えへんと関原いをした。
「どころで、ソラさんは僕のmbtiは気になりませんか」
「めーーっちゃ気になりますよ。教えてください」
「わかりました。僕はinfpですよ」
ハヌルが自分の携帯を見せた。
「infp? 私の結果とほぼ同じですね、この最後の一個だけ違います。このpは何ですか」
「あ、このpは計画よりは何かを即興的にやる人です。例えば旅行へ行く際、計画なしにあちこち歩き回るのです」
「うむ、ちょっと理解しました」
ソラがゆっくり頷いた。そして、明るい表情をハヌルの結果を並んだ。
「それじゃ李さんは内向的で普段想像の多いで感傷的で無計画な人ですね」
「その無計画より即興的な人だと言ってくれませんか」
「ま、そんなことより李さん想像力が豊か人だったんですね、ちょっと意外です」
「そうですか、僕の周りの人たちには全部fよりはtみたいと言われるんですけど」
「t?」
また知らないものが出てソラが首を捻った。その姿にハヌルが「아 맞다 맞다(あ、そうだそうだ)」と言い、説明してあげた。
「tはfとは正反対で、感情より理性を優先する人のことです」
「そうなんだ。つまり李さんは周りの人たちに理性的な人に見えるということですね。いいことでは」
「いいえ、ただ感情のない、冷たい人だと言うだけですから、全然いいことじゃないですよ」
ハヌルがちょっとムカついたように言った。
ソラがそんなハヌルの手を掴んだ。
「でも私はそう思いません。だって李さんは心が温かい人ですから」
「心が温かい、いや、そんな」
「私は知ってますよ。私が泣いてる時、その涙を拭ってくれた李さんの優しさを」
「ちょっ」
「あと、私が辛い時や嬉しい時、一緒にいてくれるほんと優しい人なんですもん。だから私が知る人の中で一番心が温かいっ」
「ちょっ、ちょっと待ってください!」
「は、はい?」
突然の叫びにソラがびっくりしてハヌルを見上げた。もし怒ったんじゃないかと思って少し不安になったが、ハヌルの顔を見る瞬間、その不安はすぐ消えた。
「あの、李さん、顔が赤いですけど、大丈夫ですか」
「いっ、いや、これはだから」
「もしかして、照れ臭いんですか。私が心が温かい人だと言ってたから?」
ソラの言葉にハヌルの頬がさらに赤くなった。これはすなわち肯定の意味だった。
ハヌルが目を横にそらして、照れくさそうな顔をした。
「僕は決して心が温かい人ではないから、その、心が温かい人というのはやめてくれませんか」
「はい、わかりました。では優しい人で」
「そ、それも」
ハヌルがさらに赤くなった顔を横にそらした。ソラの目にはその姿がな何となく可愛く見えた。それで、もっといじめたくなった。
「え、いやです。だって私が知ってる人の中で一番心優しい人ですから」
「うああっ、だから違うって」
「いえ、李さんは優しい人なんです、それも人の涙を拭うほどの優しいっ」
「僕、今日はもう帰りますね」
ハヌルが逃げるようにベンチから立ち上がって走り出した。すると、ソラもハヌルの後を追って走りながら大声を上げた。
「李さんってとっても優しい人、心が温かい人なんです!」
「だから、違うって!」
ハヌルが両手で自分の耳を塞いでソラから全力で逃げた。これにソラももっとスピードを上げてハヌルの後を追いながら「李さんは優しい人、李さんは心が温かい人」と大声を上げ続けた。
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