十六話 友達
月曜日の公園、ハヌルがいつものようにベンチに座って風景をぼーっと眺めている。暖かい風に草は揺れる音が耳に聞こえてきた。そしてその中から、
「李さん〜」
ソラの声が聞こえてきた。ハヌルは自然に声がした方へ顔を向けた。すると、こっちに向けて手を振りながら走ってくるソラの姿がハヌルの目には映った。
ソラはいつものようにハヌルの前に立ち止まった。そして、自然にハヌルの隣に座り、ハヌルに話しかけた。
「おはいようございます。今日もいい天気ですね」
「そうですね。今日も暖かくて気持ちいい天気ですね」
ハヌルが明るい笑顔で挨拶した。
「あと昨日は本当に素敵でした。昨日は本当にタレントみたいでした」
「いや、本当にタレントなんですって」
「それであの番組はいつテレビに出るんですか。僕必ず見ます」
「多分、今週の金曜日に出ると思います」
「そうなんだ」
ハヌルが携帯を取り出してノートにメモした。
「っていうか、李さん、私が言った映画とドラマは全部見ましたか」
「いいえ、まだ一個も・・・。最近ちょっと忙しくて」
ハヌルの声がどんどん小さくなった。ソラがハヌルを鋭く睨んで、ハヌルがすぐソラから目を逸らした。
「今無職の方が何がそんなに忙しいのかとーっても気になりますね」
ソラは前屈みになってハヌルの目をまっすぐ見た。すると、ハヌルはまた目を逸らした。
「仕事のせいで少し」
「前には今仕事しないって言ったじゃないですか」
「その、仕事っていうのは職業に限ったことでは」
「じゃあ、あなたが言う仕事ってなんですか」
「・・・べント」
ハヌルが小さな声でなんとつぶやいた。これにソラは「はい?」と聞き返すと、ハヌルが深いため息をついてやっと口を開いた。
「ゲームのイベントですよ」
「ゲームのイベントォ?! ゲームのイベントで忙しかったってことですよね?」
「はい」
「こ、この」
ソラは呆れて言葉が上手く出なかった。
「つつまりゲームのイベントのせいで忙しくて私が出た映画とドラマは全然見てなかったということですよね? そうですよね?」
「はい、その通りです。ゲームのせいでドラマと映画を観る時間がなくて」
「あ〜、つまりゲームに使う時間はあるけど、私が出る映画とドラマに使う時間はないということですよね?」
「いっ、いや、そういう意味じゃ」
ハヌルがなんとか言い訳しようとしたが、言い訳すればするほど逆効果だった。結局、これ以上の言い訳は無駄だと思ったハヌルはソラに両手を上げて素直に謝ることにした。
「ごめんなさい、今月中には必ず観ますから、許してください」
「今月中? 今週までは無理ですか」
「・・・実はまだイベントが終わってなくてまだやることが山ほど」
「だから、ゲームの代わりに私が出る映画を見ればいいじゃないですか。それともゲームをやりながら見る方法も」
「それは嫌です」
ハヌルがすぐ断った。すると、ソラが「やっぱりただ見たくないんですよね!」と叫んだ。ハヌルはただ微笑んで「そういうことじゃないです」と言った。
そうしてハヌルが公園の風景に視線を移ってまた口を開いた。
「僕はソラさんが出るものをそんな風に見たくないです。知り合いが出るものはちゃんと集中して観たいからまだ見てないんですよ」
「李さん・・・」
ソラがハヌルの横顔をゆっくり見上げた。ハヌルは我ながらよく言ったように誇らしげな表情をしていた。
ソラは深く息を吐き、大声を上げた。
「だからゲームなんかやる時間に私が出る映画を見ろって!」
「うわあっ!」
突然の大声にびっくりしたハヌルは反射的に顔をソラに向けた。ソラが腕組みをして頬を膨らませてハヌルをめっちゃ睨んでいた。
「あのソラさん」
「なんですか」
いつもより冷たい言い方だった。その姿にハヌルは思わず笑いが出した。
「ひょっとして拗ねたんですか、僕がまだ見てないから?」
「・・・はい、そうですよ」
「僕がが悪かったですよ。もう機嫌直してください」
「・・・・・・」
ソラはじっとハヌルを見上げた。
「じゃあ、今日観ますか」
「えっ、きょ今日? 今日はちょっと、来週までは必ず見ますから、もう機嫌直してください」
「・・・来週?」
ハヌルの話にソラがさっきとは違う雰囲気でハヌルを見上げた。ハヌルはこれを逃さず話を続けた。
「はい、来週まではどんなことがあっても必ず見ますから、もう機嫌直してください」
「・・・来週まで見るんですよね?」
「はい」
「どんなことがあっても、必ず」
「はい、必ず見ます」
ソラは満足しそうに腕組みを解いた。その姿にハヌルがやっと安心できて、安堵のため息をついた。
「あ、あと李さん」
ソラが急にハヌルに言った。ハヌルは自分が他に何か悪いことをしたと思って緊張した。
「私と李さんってまだ知り合いの関係ですか」
「はい?」
ソラの質問を理解できなかったハヌルは首を捻った。
「さっき李さんが言ったでしょう、知り合いが出るものは集中して見たいと」
「はい、そう言いましたけど」
「それが、私はまだ李さんとただ知り合いの関係かなちょっと気になって」
ソラは少し照れくて指で髪をくるくるした。ハヌルはまだソラが何を言いたいかさっぱりわからなかった。結局、ソラは勇気を持って言いたいことを口にしようと決心した。
深呼吸をして口を開いた。
「私、李さんと知り合いよりもっと深い関係になりたいです」
「深い関係? たとえば?」
「その・・・友たちとか」
ソラが目を逸らした。照れ臭くて真っ直ぐにハヌルの顔を見る勇気がなかった。きっと今、頬も赤くなっているだろう。でも、せっかく勇気を出して言ったから、ソラは逃げずにハヌルの返事を待った。
「いいですよ。友だちになりましょう」
ソラが反射的にハヌルに顔を向けた。ハヌルが頬を掻いていた。
「っていうか、友達ってこういう風になるもんだったっけ」
「本当ですか」
ソラの声にハヌルの手が止まった。
「本当に私と友だちになってくれるんですか」
「もちろんですよ。僕、ソラさんには嘘つかないから」
ハヌルがばつが悪そうに微笑んだ。
ハヌルの返事にソラは飛び上がるほどに嬉しかった。これでやっと計画の第一段階を完了しただけだが、それでも嬉しいのは嬉しいことだった。
読んでいただき、ありがとうございます。
よろしければ、ブックマックの追加と下のポイント評価もしていただけると嬉しいです。(とっても励みになります)
どうぞよろしくお願いします!
少し遅れました、申し訳ありません




