32/32
最終話 オンリーワンなわが家
ある日の仕事帰り、駅の待ち合い室にチラシが設置されていた。
スキー旅行家族パック。ウェアと板レンタル込み! と書かれている。
これは、家族揃って行ったら絶対楽しい。
早速チラシを持ち帰り、次の休みはみんなでスキーに行こうと提案した。
「スキーねぇ。何年もやってないから滑れるかしら」
妻はチラシを読みながら唸る。
「行ってらっしゃい」
息子はゲームから目を逸らさず、言外に行きたくないと言う。
「お前は行きたいよな」
「いいんじゃない?」
娘からは普段通りの冷めた声が返ってきた。年のわりに冷静すぎて心配になる。
「よし決まりだ! みんな、来週は家族でスキーだぞ!」
息子は嫌と言いつつ最後にはついてくるのだ。
来るスキー当日、結局みんなは好き勝手に動く。
なんのために一緒にきたのか。
まあ、これがわが家なのかもしれない。
End
ほのぼの家族の物語はこれにて完結。
ありがとうございました!




