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その25 父さんと思い出記録
お父さんは機械音痴だ。
メッセージアプリを使い始めて3ヶ月はたとうというのに、まだ絵文字を間違えて使っている。
ただ、苦手なわりに機械が好きなのだ。
日差しも暑くなってきた本日、お父さんは電気屋の店員の口車にのせられてあるものを買ってきた。
「見てくれ。初心者にも使いやすいデジカメだ。来週のキャンプはこれで撮ろう」
「あらいいわね。もうカメラ屋に現像をお願いしなくてもよくなるわ」
お父さんだけでなく、お母さんも初のデジカメに心踊らせている。
箱を開ける前から末路がわかっているため、私のテンションは低い。
兄さんは攻略本と携帯ゲームを持って部屋に逃げた。
私も宿題を口実に逃げようと通学鞄を抱える。
「おーい、このデジカメ壊れてるぞ。シャッターを押しても画面が暗くなる」
父さんはデジカメの電源ボタンを押しながら文句をいう。
こうして三十分に渡るデジカメ使用法説明会が始まるのであった。




