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その22 父さんと４月１日
お父さんはテレビのいうことを真に受ける。
嘘であれ真であれ。
『みなさん知ってましたか～。今夜９時にドラマ○○が当夜限りの復活するんですよ！』
司会者がわざとらしいくらいノリノリでフリップを持ち上げる。
ゲストのタレントたちが懐かしい、見たいと盛り上がる。
「おお、これは！ 頼む、この時間仕事なんだ。録画しといてくれ！」
お父さんもこのドラマにはまっていたクチなので、新聞のテレビ欄とリモコンを私に投げてくる。
機械音痴なので予約は私か兄さん任せだ。
（あれ。ドラマ○○って載ってないよ）
上から下まで番組表を見れば、その時間に書かれているのは『エイプリルフール、あの俳優女優を騙しまくり！ ドッキリ大作戦』だ。
お父さん騙されてるよ！ 真実を言おうとしたが、お父さんはもう革靴に足を突っ込んで玄関を出たあとだった。
お父さんが帰宅後落ち込んだのは言うまでもない。
