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その20 父さんとメール
お父さんは機械音痴だ。
居間にあるブルーレイプレーヤーの再生の仕方もあまりわかっていない。
そんなお父さんが、会社の人と連絡を取るのにメッセージアプリを使えるようになりたいと言い出した。
「これが送信ボタンか?」
「いや、それ改行。送信ボタンは右向きの三角矢印」
「ならこれは?」
「それはスタンプ」
宿題中なのにいろいろ使い方を聞かれ、私が教えることになった。
兄さんは例によってゲームでひと狩りしてるから頼りにならない。
二時間かけて使い方をレクチャーし、完璧に使えるようになったとお父さんが息巻く。
次の日、早速お父さんがメッセージを送ってきた。
かつこかえりたまこかてきて(#`皿´)ヾ
(ウワァ、濁点打ててないし顔文字の使い方間違ってるし! スタンプの指下向いてるし!)
あの二時間の努力はなんだったんだ。
私はまたお父さんの練習に付き合わなければならなそうだ。




