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その14 兄さんとナゾナゾ
兄さんは雑学本が好きだ。
マンガだけでなく、豆知識の本を家のいたるところに置いている。
ある日の夕方、兄さんはバイトから帰ってくるなりナゾナゾ本を取り出し、胸を張る。
「この本後輩から借りたんだ。難しいからお前には解けないだろうなぁ」
「へー」
怒るのもめんどくさい。気のない返事をしてソファーに寝転がり、ゲーセンで取ってきたネコのぬいぐるみを枕にする。
「トラックに積み荷が乗っている。トマトなす南瓜、急カーブで落ちたのは!」
頼んでないのに出題し始めた。
「スピード」
私はあくびしながらDVDのリモコンで再生を押す。
「くそ! 次だ次! 風邪ひき、胃炎、骨折、病院の待ち合い室が空いてなかった人は!」
「風邪」
「次こそ解けないだろ」
リモコンを奪われ、兄さんがまた厳選したナゾナゾを出す。
その後一時間、兄さんが納得するまで一人ナゾナゾ大会に付き合わされた。