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コネクション・ブロー  作者: びたみんC
6/8

コネクション・ブロー(6)

 4人全員で携帯のライトをつけて50mほど進むと待避抗を見つけ、そこに入り込んだ。


「ライトを消せ…!」


 フッ…


 常闇の世界。



 まるで自分の心臓の音が響いて聞こえているんじゃないかと錯覚するほど、特異な空間だった。


(恐いわ…こんなの初めて……)


 みんなそこにいるはずなのに、触れていないと恐くて仕方がない。

 先ほどから震えているのはB子だろう。


 腕にしがみ付いて離れず、ずっとその振動が伝わってくる。


(大丈夫…大丈夫だから、B子)


 安心させるようにB子の腕を握り返すと、トンネルの入り口から男の声が響き渡る。


「トーカちゃん、怖くないから出ておいでー」


(なんで私の名前…!)


「B子ちゃんも痛くしないからおいでー」

「ヒィィ!」


「…そこだね?」


 B子の悲鳴に足音が止まり、男は静止したまま動かない。



 どうする?出て行って戦うか?

 でもさっきの話だと人ならざる者だと言っていたから、殴れるかどうかも分からない。


 待避抗から顔を出せば恐らく太陽光が差し込んでいるから何処にいるかは分かるが、そうすると逆に相手にも知られる諸刃の剣。


 C男の袖口をクイクイッと2度引っ張り合図を送ると、トントンと手を叩いて返事を返してきた。

 恐らく意図を理解しただろう。


 こんな静かなトンネルなら、足音を消して歩くのは不可能。

 もっと近づいてから動くべきであり、その時を待った。



 ジャリ…ジャリ……



 きた!



 ジャリ…ジャリ…ジャリ………


 もう少し。

 あとちょっと…


 近づけば勢いで押し倒して逃げられる!




 ジャリ…



 !?


 こんな時にまたラジオが!



『ジジッ…ザァザァァーー……』











































『……後ろ…』






























「えっ?」



 暗闇に、


 怒った男の…


































 顔












































「「「「ああああああああああああああああああああああ」」」」







 !


「ふぐあぁう!!」



 トンネル…出口イイイイイイイイイイ!


 ハァハァ!ハァハァ!!



 眩しい…はぁはぁ……出た!



「待てこらぁぁぁ!!」



 後ろで押し倒した男が激怒して追いかけてきている。


「何あれ!ねぇ何あれ!?」

「怪奇現象だよ!知らねぇのか!」

「また追ってきてるよぉー!」

「くっ!戦うか!?」



 A郎とC男がトンネルから出てくる男に棒を構え、臨戦態勢をとった。


 私達は邪魔にならないように草むらに隠れたけど、あいつに見えていただろうか?


 てかさっきからこのラジオ何なのよ!

 何が何だか全然訳が分からないじゃない!


『…ダメ!隠れて!!』


「んぐ!ああああああああああああ!!」

「なにがっ!」



 A郎とC男は風も吹いていないのに、突然枯れたダム湖の方へと吹き飛ばされてしまった。



「桃花…怖いよ……」

「大丈夫、きっと大丈夫だから」


 男が茂みの中を探し始めるが、これだけ藪が濃ければ早々見つからないはず…

 そう考えていましたが、甘かったのを痛感しました。


「みぃつっけた!」

「ひっ!」


 ヒュッ!

 バキッ!


 私は持っていた棒きれを振ると、小気味よい風を切る音がして男の頭部めがけて進んだ。

 だがそれは思った結果にならなかった。


 男も藪をかき分けるために木棒を拾い、反撃に備えていたのだ。




 直後世界が反転した。

 地面が上で、空が下。



 かはっ…



 肺から抜けた空気は直ぐに酸素を取り込めない。

 投げられたと理解したのは、苦痛で考えが纏らなくなってからだった。



「君はいい子だね。B子ちゃんかな?」


 パンッ!


 男はB子の頬に平手打ちをすると、唖然として動けないB子の服を無理やり引っ張り引き裂いた。

 そしてB子の胸元は下着の支えを失い、重力に任せるように露わとなる。


 それを見た男の顔は…醜悪の一言。


「やめてぇ!うぅ…何でもしますから……」

「じゃぁ何もしないでね。これが僕からのお願い」



 男は私達を凌辱する目的で襲ってきていたのだ。


 あぁーダメ。

 手放したら私の貞操が終わり……

 でも、意識飛びそう…


『…諦めないで』


 幻聴?

 いや、またラジオから?


 こんな時まで怪奇現象に見舞われて、ほんと来るんじゃなったわ。


 ん?

 ……なにこれ??



 何かの感触を指先に感じ、最後の力を振り絞りそれを握りしめた。

 手に握るそれは木棒のように持ちやすく、軽いくてシックリくる。


 う…


『私の願いを、貴女に…』


 うあ……


「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!」


 ゴンッ!

 痛っっ!!


 ビリビリと痺れる感覚が手を襲う。

 それほどまでに強烈な一撃が変質者の脳天に直撃したのだ。人間であればダメージを受けないはずがない。


 男はその場に倒れ込み、動く気配を見せなかった。



「…B子!大丈夫!?」

「ぁ…あ……桃花!!きゃあああああああ!!」



 B子を抱き起すと突然叫びだし、そして私の視界が真っ暗になった。



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