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旅をする──ドラゴンの少女と巡る異世界  作者: くれは
第七章 偉大なるガニュン
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■ タザーヘル・ガニュン ガイド ■

【タザーヘル・ガニュン】


 タザーヘル・ガニュンは、内海の入り口に近いところにある国だ。雨は少なく、乾燥しており、その国土のほとんどは砂漠で覆われている。街は、海沿い、川沿い、あるいは砂漠の中にところどころ存在するオアシス(ラハル・マー)のいずれかにある。

 日中は非常に暑く、逆に太陽が沈んでからは冷える。人々は暑さを避けて、昼間は家の中に篭って眠る。外に出歩くのは夜の間だけだ。

 泥で作った厚い壁の家は、昼は暑さを和らげ、夜は寒さから人を守る。


 ガニュンというのは、この世界を作った精霊(ルーハ)の名前だ。世界で最初に生まれた精霊(ルーハ)として、偉大なる(タザーヘル)・ガニュンの名前を持つ。この国で使われている言葉も、ガニュンが人に教えたものだという。


 タザーヘル・ガニュンは、自らの後に二柱の精霊(ルーハ)を生み出した。火の精霊(ルハル・ナー)水の精霊(ルハル・マー)だ。

 火の精霊(ルハル・ナー)水の精霊(ルハル・マー)はたくさんの精霊を生み出した。精霊たちは、それぞれ自分の姿に似た生き物を生み出した。

 ある時水の精霊(ルハル・マー)は、(アッサブ)の言葉に騙されてしまう。(アッサブ)をかわいそうに思った水の精霊(ルハル・マー)は、(アッサブ)にだけ決められた量よりもたくさんの水を与えてしまう。

 そして、生き物たちに与えるはずの水が、足りなくなってしまった。

 足りない水を補うために、水の精霊(ルハル・マー)は自らの体を水に変えた。水の精霊(ルハル・マー)がいなくなったことに気付いた火の精霊(ルハル・ナー)は、大地を燃やして水の精霊(ルハル・マー)を探したけれど、後に残ったのは砂漠だけだった。

 タザーヘル・ガニュンはこのことを悲しんだ。

 大地を燃やした火の精霊(ルハル・ナー)を大地から遠ざけ、太陽に住まわせた。そのために、太陽の光は生き物を焼くようになってしまった。

 水になってしまった水の精霊(ルハル・マー)の体をかき集め、太陽のない夜の空にばら撒いた。そうして、水の精霊(ルハル・マー)の体は輝く星々になった。

 自らの水を得るために水の精霊(ルハル・マー)を騙した(アッサブ)は、砂漠に住まわせた。そして、水を探しても水が見付からず、代わりに水の幻(マーシャフ)を見て永遠に砂漠を彷徨い続けるという呪いを与えた。

 火の精霊(ルハル・ナー)によって燃えた土地を良くするため、タザーヘル・ガニュンは自らの姿に似た人を産み、これも砂漠に住まわせた。人には、自らの言葉と、知恵、それから泥を与えた。


 これが、タザーヘル・ガニュンという国の始まりだ。




【ルハル・ナー】


 ルハル・ナーと言えば火の精霊のことだが、食べ物の名前でもある。

 肉などの食材を串に通して、火の味(スダル・ナー)と呼ばれる調味液に漬け込み、火で炙る。火の味(スダル・ナー)は各家庭で味が違うが、基本的には香辛料がふんだんに使われており非常に(から)い。

 その辛さは、火の精霊(ルハル・ナー)が大地を燃やして砂漠にした際の火に例えられる。

 食べれば火の精霊(ルハル・ナー)のように火を出すことが出来ると言われ、そのためこの料理はルハル・ナーと呼ばれている。


 ルハル・ナーは辛ければ辛いほど美味しいとされ、どこの店も競うように辛くする。

 あまりの辛さに、一口食べて完食を諦める旅行者も多い。そのため、最近では旅行者向けに香辛料を控えめにしたあまり辛くないルハル・ナーを売っている店もある。

 ルハル・ナーを初めて食べる時には、そういった旅行者向けの店で食べた方が良いだろう。


 タザーヘル・ガニュンでは、ルハル・ナー以外にも香辛料を多く使った辛い料理が多い。それは、この暑い地域で食材を傷みにくくする知恵でもある。




【タフル・クビーラ】


 タフル・クビーラはトカゲの一種で、砂漠で良く見かける。タザーヘル・ガニュンではお馴染みの生き物だ。


 ドラゴン(クビーラ)というのは、火の精霊(ルハル・ナー)水の精霊(ルハル・マー)が生み出した精霊の中の一柱だ。ドラゴンの子(タフル・クビーラ)は、そのドラゴン(クビーラ)が生み出した生き物だと言われている。

 伝承に残るドラゴン(クビーラ)には羽があるが、ドラゴンの子(タフル・クビーラ)にはその羽は受け継がれなかったようだ。


 食材としてもお馴染みで、その肉は癖が少なく淡白で食べやすい。

 火の味(スダル・ナー)に漬け込んで、ルハル・ナーにするのが定番だ。それ以外では、ルサータムで煮込むのも良く見かける。

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