表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旅をする──ドラゴンの少女と巡る異世界  作者: くれは
第六章 大きな雲の一族
42/150

■ トウム・ウル ガイド ■

【トウム・ウル】


 トウム・ウルとは、トウム・ウル・ネイの言葉で「大きな雲」を意味する。この「大きな雲」というのは、空を泳ぐとても大きな生き物のことだ。

 トウム・ウルは、内海に浮かぶ島ほどの大きさもある。それ以上になる個体もいると言う。

 その背中には草が生え、小さな生き物も暮らしている。


 個体はそれぞれに縄張りを持っており、縄張りの中には何頭かのトウム・ウルが暮らしていると言われている。

 トウム・ウルたちが、空の上でどのように縄張りを決めて、認識しているかはわからない。それも含め、その生態にわからないことは多い。




【トウム・ウル・ネイ】


 トウム・ウル・ネイは、そのトウム・ウルの背で暮らしている民族だ。


 トウム・ウル・ネイの人たちは、ルーと呼ばれる生き物を飼い慣らしており、ルーの背に乗って移動する。また、家畜としてアーゴルと呼ばれる鳥を飼っている。


 トウム・ウル・ネイは、トウム・ウルの背を渡り歩いて暮らす。季節によって変わる風や、トウム・ウル個体の調子、その背中の状況を見て、引っ越しを決めるらしい。

 一生のうちに数えきれないほども引っ越すので、彼らはいつでもルーに乗って旅立てるように生活している。


 彼らの言葉で、ネイというのは「氏族」や「一族」を意味する。彼らの神話では実際に、彼らとルーはトウム・ウルから生まれたと語られている。


 世界が生まれたとき、最初に空が生まれて、風が生まれ、雲が生まれた。そして、とても大きな雲から最初のトウム・ウルが生まれた。

 最初のトウム・ウルはとても大きく、太陽を半分食べてしまった。そのせいで、一日の半分は夜になってしまった。

 トウム・ウルが背中から息を吐くと、それは雨になって世界に降り注いだ。それが海になった。

 次にトウム・ウルは、糞をした。大きなトウム・ウルなので、その糞もとても大きいものだった。その糞が海に落ちて、大地になった。

 さらにトウム・ウルは、雲を飲み込んで子供を産んだ。小さなトウム・ウルが生まれた。

 それからまた雲を飲み込んで、今度は人を産んだ。人を小さなトウム・ウルの背中に住まわせた。

 人はトウム・ウルのように空を泳ぐことができなかった。なので、人の良き兄弟として、空を飛ぶルーを産んだ。そうしてルーも、小さなトウム・ウルの背中に住まわせた。


 これが、トウム・ウル・ネイとその兄弟であるルーの始まりだと言われている。




【ルー】


 ルーは、トウム・ウル・ネイが飼い慣らしている空を飛ぶ生き物だ。

 トウム・ウル・ネイの人たちは、ルーをただの家畜ではなく、自分たちの家族に近いものとして、共に暮らしている。


 体は鱗で覆われ、前脚に皮膜を持ち、地面に立つ間は後脚だけで体を支える。個体にもよるが、人を一人か二人乗せて空を飛べる。

 また、非常に賢く、トウム・ウル・ネイの言うことをよく理解して飛ぶ。

 子供の頃から一緒に育ったトウム・ウル・ネイとルーは、それこそ家族のように通じ合うのだと言う。


 ルーの姿は、オージャでのラーゴ、タザーヘル・ガニュンでのクビーラなど、各地の伝承に残る生き物の姿に似ていると言われている。

挿絵(By みてみん)

りずねるさんが描いてくださいました。

https://twitter.com/riznel2484/status/1344101142448357377


景色がとても綺麗で、広い世界が感じられて、すごく嬉しいです。

こんなふうに広い世界が感じられる文章が書けてるなら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ