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■ オール・ディエン ガイド ■

【オール・ディエン】


 ルキエーの森(ルキエー・オール)には、森の蛇(オール・ランチュル)という名の大きな川が流れている。その川を遡ってゆくと、森の層を上へ下へと行き来することになる。

 そうやって辿った先にあるのが、森の底(オール・ディエン)と呼ばれる巨大な地底湖だ。


 森の底(オール・ディエン)はとても広く、周囲を一周するのに何日かかかると言われている。

 湖岸に近いところは浅いが、少し進めば底は非常に深い。底がないとも言われている。沈めば、その体が戻ってくることは決してないだろう。


 その深いところには、一体の精霊が沈んでいると言われている。

 その精霊は、蛇の姿を借りていた。木々の間を這って朝露を飲んでいるうちに、地上に出た。地上では、雨が降っていた。

 精霊は喜んで、雨を飲んだ。たくさん飲んだ。雨は三日三晩降り続け、蛇も三日三晩雨を飲んだ。飲みすぎて、体がまん丸に膨らんでしまった。

 体がまん丸になった蛇は、転がって森の中を落ちていった。自分では止まることができずに、とうとう森の底まで落ちてしまった。

 そこで、落ちた弾みに、飲んだ水を全部吐き出してしまった。精霊が吐き出す水は尽きず、それはやがて流れ出して、蛇の姿の川になった。

 精霊は今も、森の底(オール・ディエン)の一番深いところで水を吐き出し続けているという。


 それほど大きな湖ではあるが、近隣の村の人たちは湖岸に近い浅い部分に潜って、ドゥールッシュやチチュアーといった魚、それから真珠(ミジャア)貝などを獲っている。




【ミジャア】


 真珠(ミジャア)は、森の底(オール・ディエン)の特産品だ。


 真珠(ミジャア)だけではない。その貝の殻は、内側に独特の輝きを持っており、近隣の村ではこれを加工して装飾品に使う。ニシャッタから作った(トゥッカル)真珠(ミジャア)貝の殻の光沢のある部分を砕いて混ぜて固めたものは貝殻真珠ボックニィズ・ミジャアと呼ばれている。


 近隣の村では、女性の森の真似(オール・アクィト)に、よく真珠(ミジャア)貝殻真珠ボックニィズ・ミジャアが使われる。

 ルキエーの人たちは、森の底(オール・ディエン)もまた森の一部だと考えている。なので、真珠(ミジャア)貝殻真珠ボックニィズ・ミジャアも森のものだと考えられているようだ。


 また、真珠(ミジャア)を獲った後の貝柱は食用だ。

 貝柱は火を通しても美味しいが、近隣の村では獲ってすぐのものを生で食べる。未加工の貝柱はあっという間に腐ってしまうので、生の貝柱は森の底(オール・ディエン)周辺でのみ楽しむことができる味だ。




【ターシュ・クル・ピチュメ】


 石で(ターシュ・クル)焼く(ピチェメ)は、ルキエーでよく見られる調理法だ。特に森の底(オール・ディエン)周辺では、日常的に見かける調理法だ。


 まずは焚き火を熾し、その周囲に石を積んで台を作る。その台に渡すように、平べったい石を乗せて、石を熱する。

 その熱くなった石の上に食材を乗せて、焼く。名前の通りの調理法だ。


 森の底(オール・ディエン)周辺では、湖で獲った魚をその場で捌いて、焚き火で水に入った後の体を温めながら、その火でターシュ・クル・ピチュメをしていたりする。


 この調理法は、森の底(オール・ディエン)の向こうからやってきた旅人(シャーフィ)が伝えたものだとされている。

 その旅人(シャーフィ)の名前は残念ながら残っていない。どこから伝えられたものかも、判明していない。

 調理法だけが今も残り、使われている。



えるさんが、ユーヤとシルを書いてくださいました。

挿絵(By みてみん)

https://twitter.com/azure_kitten/status/1332455910149562370

シルが可愛いし、ユーヤがかっこいい!

ありがとうございます!!


えるさんの『傍に空 feat.少年錬金術師は竜と微笑う』

https://ncode.syosetu.com/n4972fz/




『出来損ないの精霊の子』という短編を公開しました。

https://ncode.syosetu.com/n1689gr/


『出来損ないの精霊の子』は、第四章と第五章に出てきたルキエーが舞台で、ラーロウが語り手になっています。時系列的には第五章の後。

短編として成立させることを優先したので、ユーヤもシルも出てきませんし、それについての言及もほとんどありません。

また、文章の雰囲気も、テーマもかなり違って、あまりほのぼのとしたお話ではありません。

それでも良いよ、気になるよ、読んでみようかな、という方がもしいらしたら、読んでいただけたら嬉しいです。


ラーロウはこんな世界で生きていて、だからこそユーヤと話すのが楽しかったんだろうな、と思って書きました。

短編でユーヤとシルについて言及がないのは、説明を省くという作者の事情を優先したためで、ラーロウはユーヤとシルと旅をすることをちゃんと楽しく感じていたんですよ、というのはここで言わせてください。


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