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旅をする──ドラゴンの少女と巡る異世界  作者: くれは
第三章 女神の島々
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■ イオージア・エナ・ニッシ・リァ ガイド ■

【イオージア・エナ・ニッシ・リァ】


 涙の川(フィウ・メ・ラク)を下った先にある海は、内海だ。

 その内海を奥の方に少し進むと、雨の女神の(イオージア・エナ・)島々(ニッシ・リァ)がある。

 その島々の中央には、雨の女神(イオージア・エナ)が住んでいるとされる、雨の家ドーマ・メ・イオージアがある。

 ドーマ・メ・イオージアは、空高くから降り注ぐ雨だ。海の只中に雨が長大な滝のように降り注ぎ、降り注いだ雨によって雲が立ち上り、そしてそれがまた雨になる。近付けば巻き込まれ、戻ってくることはできない。

 このドーマ・メ・イオージアは、アニェーゼがアルミロに夢中になって仕事をせずにいたことに怒った雨の女神が、閉じこもってしまった場所だと言われている。

 ドーマ・メ・イオージアに一番近い腕の島(ニッシ・メ・ラッチ)では、雨の女神に祈るための神殿もある。雨が少なすぎて困る時は、ここで祈りを捧げる。

 祈りを捧げるのは、幼い子供達だ。大人、特に恋人や配偶者がいる人たちは、女神がアニェーゼとアルミロを思い出して更に閉じこもってしまうので、神殿に近付いてはいけないとされている。


 この辺りの島では乾燥に強いポルカリの木がたくさん植えられていて、特産品になっている。




【ニッシ・メ・ラーゴ】


 ドラゴンの島(ニッシ・メ・ラーゴ)は、フィウ・メ・ラクから見ると一番手前の島だ。

 こんもりとした形の高低差の激しい島で、島の中に平らなところは少なく、島の中はどこも階段だらけだ。

 この島は、もともと大きなドラゴン(ラーゴ)だったと言われている。


 ニッシ・メ・ラーゴは、元々はフィウ・メ・ラクの河口で暴れていた大きなドラゴンだった。辺りに暮らす人たちが困っているのを見兼ね、雨の女神がそのドラゴンを捕まえて諭した。

 ドラゴンは、一度目はしおらしい態度でその話を聞いた。けれど、また暴れるようになった。

 二度目は、話を聞こうともしなかった。

 三度目にはついに、女神に向かって自分の力を誇り自分の方が偉いのだと言った。そのため、女神はもうドラゴンを見過ごすことはできなくなった。

 そうして、女神はドラゴンを海の中まで連れてきて、そこで押さえ付けて島にしてしまった。


 それ以降、ドラゴンはここで島として大人しくしているのだという。

 ニッシ・メ・ラーゴは、かつて暴れていたとは信じられないほどに、今は穏やかな島だ。




【ラク・メ・イオージア・エナ】


 この辺りでよく食べられている、ローモスという魚の鱗のことをラク・メ・イオージア・エナと言う。

 この雨の女神の涙という名前は、ローモスが女神の涙から生まれたという伝承に基づいたものだ。


 ローモスの鱗が体のどこかにくっつくのは幸運だと言われていて、もしそういう人を見かけたら「きっと良いことがあるよ」と声を掛ける。

 そうやって見付けてもらったラク・メ・イオージア・エナは、幸運のお守りになる。


 また、ローモスの鱗を持っていると海難を避けられると言われていて、この辺りの船乗りの多くは、体にくっつけたローモスの鱗を誰かに見付けてもらい(・・・・・・・)、それを持って航海に出る。

 もっとも、ローモスはよく食べられているので、その鱗もひどくありふれたものだ。わざわざ手に入れようとしなくても、食卓にローモスが並ぶ時には嫌という程手に入るだろう。

次は『第四章 森と洞窟の国』です。

舞台ががらっと変わります。

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