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渡りの仲間(一)
アズムル・クビーラを出発して、最初のラハル・マーで二晩ばかり足止めをくらった。アシフル・アレムじゃない。もっと単純な理由。
ヒブル・ターバルの一人が、慣れないターバルで倒れたからだ。その話を聞いた時、ヒブの誰もが心当たりに苦笑した。
アズムル・クビーラで頼まれてヒブに加えた男女の二人組。話を聞かなくてもジュナブだとわかる色合いだった。ターバルにも慣れていないのが明らかで、だから誰もが、こうなるだろうと思っていた。
それでも誰も文句を言わずに受け入れたのは、遅れた分の水や食べ物をその二人組が出してくれたから。
でもそれだけじゃない。
そもそも遅れるのが嫌ならジュナブを受け入れなければ良い。あるいはヒブから抜けたら良い。それがわかってヒブル・ターバルにいるということは、それを受け入れたということだ。
タバル・アレムで急ぐやつはアバ。ヒブをハミヤにしないやつはタフル・アバ。
つまり、今回のヒブル・ターバルに残っている誰も急いじゃいないし、具合の悪くなったヒブを置いていくようなやつもいないってことだ。