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アニェーゼとアルミロ(五)
もしかしたら、あの二人はアニェーゼとアルミロだったんじゃないだろうか、などと馬鹿げたことを考えたりもする。
ただ、こんな言い方をしてはユーヤには申し訳ないが、ユーヤの印象はアルミロとは掛け離れている。アルミロは精霊のアニェーゼが一目惚れするほどの逞しい美男子だ。
けれど、どれだけ頼りなく見えても、言葉のわからない土地で慣れていない旅を続けられるほどには強いのだろう。それに、時折ふとどこか遠くを見詰めているユーヤのその心細いような視線の向こうに、何か人と違うものが見えているのではないかと感じることがある。
シルもそうだ。シルはなんというかティローディとでもいうか、地に足がついてないようで、今にもどこかに飛んでいって消えてしまいそうだった。見ているだけで、ユーヤが心配になってあれこれ世話をする気持ちがわかるように思う。
二人がそんなだから、馬鹿げていると思いつつも、ついあれこれと考えてしまう。