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アニェーゼとアルミロ(一)
彼らに最初に出会ったのは山道だった。そもそも、彼らがどうしてあんなところにいたのか、私は今でも知らないままだ。
一人は、男だった。子供というには大きい。年頃の、と言っても差し支えなさそうだけれど、それにしてはどこか幼げに見えた。オージャの顔立ちとは少し違うようだったけれど、黒い髪は珍しいものではないし、人混みの中にはすぐに紛れてしまいそうな、そんな男だった。
もう一人は、女だ。この辺りでは珍しい銀髪だ。どこか遠い国の出身だろうかと思う。体付きを見れば男と同い年くらいかと思うが、これが男に輪をかけて幼く見えた。ほとんど喋らず、ぼんやりと男の後をついてゆくだけ。
彼らにどういう事情があったのかも、わからずじまいだった。何者だったのかも。
男の方は「ユーヤ」と名乗った。女は自分では名乗らなかったが、きっと「シル」という名前なのだろう。ユーヤが教えてくれた。
この辺りではあまり聞かない名前だったので、やはりどこか知らない国の出身なのだろうなと思った。