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旅をする──ドラゴンの少女と巡る異世界  作者: くれは
第十四章 巨人の湖
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■ タルミ・ウシ ガイド ■

【タルミ・ウシ】


 シャビマは水が多く動植物も豊かだ。気候も比較的穏やかで過ごしやすいが、雪の季節(タルミ・ウシ)は過酷なものとなる。

 家が埋もれるほどの(ルミ)が積もり、最も寒い時期には吹雪(ルミルーシュ)が何日も続く。(ルミ)は次の太陽の季節(カサミ・ウシ)まで残るため、この地域の人々は雪の季節(タルミ・ウシ)には家にこもって過ごす。

 シャビマの人たちは太陽の季節(カサミ・ウシ)の間にたくさん働き、歌い踊り、騒いで過ごすが、それは雪の季節(タルミ・ウシ)への備えの期間でもある。冬の間に薪を切らさないか、食べ物が足りるか、暖かく過ごせるか、それらは全て太陽の季節(カサミ・ウシ)の間の働きにかかっている。

 また、シャビマでは雪の季節(タルミ・ウシ)の備えは、家族の人数よりもじゅうぶんな余裕を持って用意される。それは結果的には(ルミ)が長引くなど不測の事態への備えになっているが、人々はそれを「小人への贈り物(ラフヤ・イェミネゥレ)」と呼んでいる。

 小人(イェミネ)というのはその名前の通り小さい(イェー)(ミネ)のことだ。(ミネ)の手に乗るほどの大きさで、頭にはウペラのような(セア)がある。普段は動物の巣の中や人の家の隙間などに間借りして暮らしていると言われている。

 小人(イェミネ)が人の家の隙間に暮らす場合、人がいない間にこっそりとチーズ(ジュスタ)のかけらやジャム(イロ)だとか、あるいは残っていたイスパやトゥやイラカだとか、そういった食べ物を盗んでゆく。

 それでもシャビマの人たちは小人(イェミネ)に気付いても何も言わない。小人(イェミネ)は食べ物と暖かい家のお礼に、その家を悪いものから守ってくれると言われている。

 長い雪の季節(タルミ・ウシ)が暇なのは小人(イェミネ)も変わらない。夜中に賑やかな歌声が聞こえて不思議に思い家の中を見て回ったら、ジャム(イロ)の瓶を囲んで小人(イェミネ)が歌い踊っているのを見付けた、という民話も残っている。

 その民話を聞いて小人(イェミネ)を探そうという子供たちもたくさんいたことだろうと思う。しかし、そういう時には小人(イェミネ)はその小さな体でどこかに隠れてしまうので、見付けることはできない。

 小人(イェミネ)が登場する民話は他にもたくさんあり、その姿を模した人形はお守りにもなっている。シャビマでは愛されている存在だ。




【ルミ・リト】


 ルミ・リトは、(ルミ)が降る頃にやってくる(リト)だ。太陽の季節(カサミ・ウシ)の頃には、レキウレシュラの山の向こうに飛び立ってゆく。

 目立たない灰色の鳥だが、風切羽根は鮮やかに白い。羽を広げて飛ぶと見えるその色は(ルミ)の色だと言われている。雪鳥(ルミ・リト)という名前は、その風切羽根の色から名付けられたとも言われている。

 その飛ぶ姿はシャビマの雪の季節(タルミ・ウシ)の象徴でもある。

 (ルミ)と共に旅をする雪鳥(ルミ・リト)の歌が古くからシャビマに伝わっているが、この歌は元々レキウレシュラから伝わったものだ。レキウレシュラの歌がシャビマに伝わり、それがシャビマではレキウレシュラからシャビマにやってくる雪鳥(ルミ・リト)の歌になったものだと言われている。

 他には、いたずら好きの小人(イェミネ)がうっかり旅立つ雪鳥(ルミ・リト)の背に乗ってレキウレシュラの向こうまで飛んでいってしまう、という昔話も残っている。

 小人(イェミネ)と共に、愛されている存在だと言える。




【シェニア】


 きのこ(シェニア)は、森に覆われたシャビマでは身近なものだ。

 スープの具にしたり、トゥの具にしたり、あるいはそのまま火で炙って食べることもある。また、乾燥させたきのこ(シェニア)雪の季節(タルミ・ウシ)の間の保存食にもする。

 森に入れば様々に見かけることができるが、中には毒を持つものもあるので、何も知らずに森できのこを口にするのはお勧めしない。

 小人の椅子(イェミネ・トウリ)と呼ばれるころんとしたきのこは、特によく見かける。森で迷った人が小人(イェミネ)に助けられる民話があるが、その時に小人(イェミネ)が座っていたきのこが、この小人の椅子(イェミネ・トウリ)だと言われている。

 また小人(イェミネ)は決して毒きのこには座らないとも言われている。もし森の中で小人(イェミネ)を見付けることができれば、食べられるきのこも見付けることができる。もっとも、きのこを見分けるよりも小人(イェミネ)と出会う方がずっと難しいだろう。


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