■ タルミ・ウシ ガイド ■
【タルミ・ウシ】
シャビマは水が多く動植物も豊かだ。気候も比較的穏やかで過ごしやすいが、雪の季節は過酷なものとなる。
家が埋もれるほどの雪が積もり、最も寒い時期には吹雪が何日も続く。雪は次の太陽の季節まで残るため、この地域の人々は雪の季節には家にこもって過ごす。
シャビマの人たちは太陽の季節の間にたくさん働き、歌い踊り、騒いで過ごすが、それは雪の季節への備えの期間でもある。冬の間に薪を切らさないか、食べ物が足りるか、暖かく過ごせるか、それらは全て太陽の季節の間の働きにかかっている。
また、シャビマでは雪の季節の備えは、家族の人数よりもじゅうぶんな余裕を持って用意される。それは結果的には雪が長引くなど不測の事態への備えになっているが、人々はそれを「小人への贈り物」と呼んでいる。
小人というのはその名前の通り小さい人のことだ。人の手に乗るほどの大きさで、頭にはウペラのような角がある。普段は動物の巣の中や人の家の隙間などに間借りして暮らしていると言われている。
小人が人の家の隙間に暮らす場合、人がいない間にこっそりとチーズのかけらやジャムだとか、あるいは残っていたイスパやトゥやイラカだとか、そういった食べ物を盗んでゆく。
それでもシャビマの人たちは小人に気付いても何も言わない。小人は食べ物と暖かい家のお礼に、その家を悪いものから守ってくれると言われている。
長い雪の季節が暇なのは小人も変わらない。夜中に賑やかな歌声が聞こえて不思議に思い家の中を見て回ったら、ジャムの瓶を囲んで小人が歌い踊っているのを見付けた、という民話も残っている。
その民話を聞いて小人を探そうという子供たちもたくさんいたことだろうと思う。しかし、そういう時には小人はその小さな体でどこかに隠れてしまうので、見付けることはできない。
小人が登場する民話は他にもたくさんあり、その姿を模した人形はお守りにもなっている。シャビマでは愛されている存在だ。
【ルミ・リト】
ルミ・リトは、雪が降る頃にやってくる鳥だ。太陽の季節の頃には、レキウレシュラの山の向こうに飛び立ってゆく。
目立たない灰色の鳥だが、風切羽根は鮮やかに白い。羽を広げて飛ぶと見えるその色は雪の色だと言われている。雪鳥という名前は、その風切羽根の色から名付けられたとも言われている。
その飛ぶ姿はシャビマの雪の季節の象徴でもある。
雪と共に旅をする雪鳥の歌が古くからシャビマに伝わっているが、この歌は元々レキウレシュラから伝わったものだ。レキウレシュラの歌がシャビマに伝わり、それがシャビマではレキウレシュラからシャビマにやってくる雪鳥の歌になったものだと言われている。
他には、いたずら好きの小人がうっかり旅立つ雪鳥の背に乗ってレキウレシュラの向こうまで飛んでいってしまう、という昔話も残っている。
小人と共に、愛されている存在だと言える。
【シェニア】
きのこは、森に覆われたシャビマでは身近なものだ。
スープの具にしたり、トゥの具にしたり、あるいはそのまま火で炙って食べることもある。また、乾燥させたきのこは雪の季節の間の保存食にもする。
森に入れば様々に見かけることができるが、中には毒を持つものもあるので、何も知らずに森できのこを口にするのはお勧めしない。
小人の椅子と呼ばれるころんとしたきのこは、特によく見かける。森で迷った人が小人に助けられる民話があるが、その時に小人が座っていたきのこが、この小人の椅子だと言われている。
また小人は決して毒きのこには座らないとも言われている。もし森の中で小人を見付けることができれば、食べられるきのこも見付けることができる。もっとも、きのこを見分けるよりも小人と出会う方がずっと難しいだろう。