虎葉さんの機転とクラスの転機
一行はついに城門を潜り、城の中へと案内された。大きな扉を通り、長い真紅の絨毯の上を歩いて、左右に並ぶ甲冑の間を抜けた先には、体育館程の広さの広間があった。さらに、左右にはズラリと豪華な服を着た美男美女が並んでいた。
ど真中に巨大な椅子が鎮座しており、そこにはこの国、イストレジア国の王がどっしりと構えていた。
「よく呼び出しに答えてくれた。異界からの聖騎士諸君!!私がこの国、イストレジア王国の国王、マンガマ・イストレジアである。突然呼び出された事に混乱しているかも知れないが、我が国は今危機に瀕しているのだ。大神殿で我が子供達が簡単な説明をしただろうが、この国を襲う獣「ガドウ・シック」の勢いが年々苛烈になり、我が国の兵力だけではもたなくなって来てな。国中の名の有る魔術師にどうにか戦力を確保する術が無いか探させていた所、国民に”力“を与えてくれる大神殿にある、「大昔に異界から聖騎士が現れ国を救う」と言う伝説が再現可能かもしれないと分かってな、こうして聖騎士召喚を行ったのだ。」
なんて身勝手なんだ。校長先生みたいに話長いしこっちの都合はお構い無しやんけ!そう思う来人だが今は雰囲気的に喋れないと発言を飲み込む。良く見れば3班の不良グループも何か言いたそうにしていたがさすがに分が悪いと何も言わない様であった。しかしそんな王様の独壇場の様な場所で手を上げる男が一人いた。虎葉だ!
「不敬を承知で、発言してもよろしいですかい?」
そう不敵な笑みを浮かべ手を上げながら周囲を見渡す。一気に緊張感が高まり兵士からピリピリとしたプレッシャーを感じながらもマンガマ王を見上げる。マンガマ王は一言「発言を許す」と言うとどんな言い分なのか身構える。
「自分は虎葉、馬守 虎葉って者でございます。ここに居る聖騎士見習いを運ぶ特別な馬車の御者です。王様はコイツらを一騎当千の猛者に育てる為に呼んだんでしょう?実は、コイツらは既に班と言うかグループを作ってましてね?それぞれお互いの力量や相性の良い様に組ませてるんです。もし、そちらの都合が悪いなら構いませんが………出来ればこっちの世界でやっていたように出来ませんかね?四人一組でそれぞれ1班から6班、どんな戦いになるか分かったモンじゃありませんが、何をやらせるにしてもこの四人一組の班で活動に当たらせて貰えませんかね?」
そこで目を見開いて反論しようとしたのがクラス委員長の「猪井 潮」だ。だが、彼女が何か言う前に、クラス一の生真面目野郎である「竜流 典雄」が咄嗟に引き留める。彼はあらかじめ翔から移動中に「王様の前に着いたら運転手さんがこちらの為に動いてくれるから、そう大人組が話してたから」と根回しを受けており、ルールや約束ごとに自他共に厳しい彼は運転手さんの話は先生の仕込みだとして委員長を抑える。他の班も同様に動揺が広がっていたが、みんな先生と運転手の間に何かやり取りがあったと察してマンガマ王と虎葉を交互にみやる。
「良いだろう。こちらとしても聖騎士召喚でこれ程の人数が一度に出てくるとは思って居なかったが、様子を見るにまだ見習い。さすればまだ異世界の学園に通う生徒であった様だな。」
マンガマ王は納得した様子で隣にいる宰相であるマットに確認を取る。
「マットよ、この国一番の学舎にこの者らを入学させよ。聖騎士としてこの国で活躍して貰うに当たって、この国の状況や常識を知る事や戦う術を身に付けるのにもちょうど良い。」
「ハッ!承知しました。皆様こちらへ………」
そう言って謁見の間からさらに別の部屋に一行が案内された後、宰相は準備があると部屋を出ていき、用意された4人掛けのテーブルにそれぞれ修学旅行時の班でかたまって座り、ようやく召喚されてから一息つく。鬼人率いる3班と流星率いる4班は騒がしくなり大声でここまでの文句をたれる。ユーゴ率いる1班は姫様にユーゴが気に入られたのをからかっているが班員の一人は不安そうにしていた。2班はマジメが取り柄の典雄が率いており、小声で状況確認を行っている。5班にいる来人、翔、昇、歩はそれぞれこの世界から脱出しようと思っていた事にお互い苦笑し、今後の作戦を練り始める。
ただ一班、6班だけは能力強度が低かった4人で構成されており、それぞれ不安から呪詛の言葉をたれ流していた。
やっぱり小説書くの難しいなあ( ;´・ω・`)
まあ、その内慣れるでしょ( ´-ω-)
うん。慣れる様に頑張るよ( ゜Д゜)ゞ