聖騎士?の相談
大神殿から出た一行は兵士に両脇を堅められながら、王城まで歩く。大神殿は王城の裏手にあり、王城には(公式には)裏口など存在しないので街と王城を仕切る城壁沿いに歩くのだが、なにぶん王城が大きいのでかなりの距離を歩かされていた。
(おい、来人!翔!歩!話が有るんだ。聞いてくれ!城の中じゃあ何処に耳が有るか分からないし、今なら兵士の鎧と足音でガシャガシャうるさいから気付かれにくいはずだからな。)
昇は大神殿の言葉を班員の三人と共有する為に話しかけた。
(昇?どうしたんだ?言い考えでも浮かんだのか?)
(離れろ!日向司令官が爆発する!)
(バカは黙ってて!それで?昇、アンタは何か目的があるの?)
三者三葉の言葉が返ってくる。翔は自分がかなり緊張しているのを誤魔化そうとボケているが。
(翔ェ……まあ、そんな感じだ。先生……いや運転手さんに言って添乗員さんに、「彼らは既に互いを補い合うチームを既に組んでるから、運用するならまずはそれで行ってはどうか」的な)
(何故に?6班の奴らがあからさまに差を付けられるぞ?)
来人はあからさまに強度が低かった四人を心配していた。兵士の対応を見るに追放とかガチでされそうな上、彼らはあまり人好きのするタイプでは無いのだから。
(だからだよ。この国の奴らがした事は即戦力が欲しいブラック人事が学生を強制採用したってなもんだからな。思ってたのと違う奴らは明らかに違う対応を受けるだろう。だから一ヶ所に固めてこれから何かあった時に庇い易くする……のも有るけど本題は別にある。俺の能力が「相互理解」ってのは見てたよな。心を読むなんてチートとは少し違ってな?どうやら「相手の言い分を誤解せずに理解出来、こっちの言い分を誤解無く相手に理解させる」って能力みたいなんだ。)
(チート乙。)
(遠回しの示唆や隠語が無効的な感じなの?)
(せやろな歩たん。いやいや、人脈チートは無理だろ常考。コイツを利用しようとしてる奴らからしたら、腹芸メタってレベルじゃないし粛清対象かな?)
(本題は別に有ると言ってるんですがそれは。早い話が、この能力は会話可能なら何にでも適用されるみたいなんだ。)
(およ?インテリジェンスウェポンの声が聞こえたとか?神の左手かな?)
(万物の声が聞こえるなら海賊王じゃないの?)
(ケ○ちゃんみたいに関西弁の使い魔と漫才したいなぁ)
(本題!大神殿が申し訳なさそうに謝罪しながら協力を提案してきた。)
(大神殿ってさっきまで居たあの?)
(そう。たぶん何か凄い魔術か何かで自意識とか芽生えてるんじゃない?)
(うわ、フワッフワしてる。アンタの力に目につけて、大神殿を語って自分の陣営に引き込もうとしてるんじゃない?)
(だから、それなら相手が引き込もうとしてる事まで俺は察する事が出来るんだよ。相手は間違いなく、大神殿本殿だったよ。)
(で?奴は何と?)
(大神殿はホントーに申し訳なさそうに協力をすると言ってくれた。あの場所で会話なんてできず、こちらからは頷くくらいしか返事出来なかったんだが、会ったときにどんな協力を取り付けるか、お前らと相談しておきたくてな。)
「キミ達、何ボソボソ会話してるか知らないけど、もう正門前だよ?」
長い道のりを相談しながら歩いていた四人は後ろを歩いていた虎葉に呼び止められる。しめた!渡りに船だと昇は虎葉に提案をする。
「虎葉さん……ですよね。自分は日向 昇と言います。咄嗟に添乗員さんをエラい人っぽく仕立てて上手くやりましたね。それを見込んで頼みが………」
「紹佳ちゃんに修学旅行の班員でチームを組ませると良いとアイツらに提案しろと?ん?なんだこれは………そう言う事、なのか。」
「はい。そう言う事です。自分の能力は相互理解。相互に発動しますからね。相手も自分の言いたい事を無理無く無駄無く察する。ウソつけない代わりにウソつけさせないんです。能力の発動には言葉を交わす必要が有りますが。」
「ヨシ乗った。ワシに任しとけ!大神殿にはワシの大切な大切なカワイコちゃんを置き去りにしてるからな。それもどうにかできそうなら協力するぜ!」
そう言って虎葉は頼もしげに頷いた。
大神殿ちゃんへの提案とは!
いかにも追放フラグを立てている四人はどんな扱いを受けるのか!
そして、無茶振りされる添乗員さんの明日は!どっちだ!
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