聖騎士の誕生
「僕の名はボラコ・イストレジア。王国は狙われている。そしてこのままではガドウ・シックの奴らによって大きな被害が我が祖国にもたらされます。ですから我々はこの大神殿で祈りを捧げ、憎きガドウ・シックがもたらす闇と狂乱を払う聖騎士、その素質のある者を探し、ここに来て頂いたのです。」
そう目の前の王子が語るのを絶望的な気分で聞いていた教四郎は、ひとまず大人達で話を整理するべくバス運転手の「馬守
虎葉」と添乗員の「天上院 紹佳」の二人を呼びバスの昇降口で顔を見合わせる。
「先生ェよぉ、俺のバスは確かに何かに引き寄せられてガードレールを突き破ったんだよ。だからこの状況はドッキリみたいなチャチなモンじゃあねぇって事は分かる。だがな?ありゃなんだ?王子とかトチ狂ってやがるのか?」
「私に聞かれても……」
「私もただの添乗員ですし……」
と、状況が飲み込みきれず話が進まない中、クラスのリーダーで圧倒的カリスマを誇る「光道 勇吾」がバスの外に出てきてボラコ王子に歩み寄る。
「やあ、僕は光道 勇吾、あの車の中の皆は突然の事にとても驚いて居るんだ。もし出来るならば皆を休める場所に案内してくれないかな?」
そう言い終わるや否や、王子のすぐ隣の兵士に突然取り押さえられる勇吾。
「あくまで貴殿方は、聖騎士の素質を持つ者であって聖騎士その方では無い。王子に案内をさせるなど不敬であるぞ!」
「ユーゴになにするッ!やめろッ!」
その瞬間、バスから勇吾の親友でありクラスのNo.2の「藤林 賢二」が飛び出して来て兵士に掴み掛かろうとするが、他の兵士から剣を突き付けられて大人しくなる。
「くっ……どうなってやがんだ……」
すると王子の後ろから輝く様な美しさの王子に何処か似た少女が現れる。
「貴方様はユーゴ様と言うのですか?兵がぶしつけな対応で申し訳ありません。私はリンケー、リンケー・イストレジアと申します。どうかお願いです。この国を救う為立ち上がってくれませんか?ユーゴ様……」
「さっきから戦ってくれと言ったって俺達はただの学生だよ戦うなんて……」
「大丈夫です。術式に反応したということは、あなた方には戦う力が備わっています。その力を引き出す方法は私どもにありますので心配なさらず、馬車の中の方々にも出てきて頂いて下さい。この大神殿の奥にある石板に触れる事でこの世界の戦う力、何かを“使う”ための力が備わります。そして光った石板の文字数でおおよその“力”の大きさ、強度が、分かるのです。」
そう言うとバスの停まっている所から奥を指し巨大な石板へとユーゴと賢二を促し、まだバスの中にいる生徒に呼びかけるためにリンケー姫は手から光の珠を浮かび上がらせ告げる。
「皆様も話は聞こえていたでしょう?我が祖国を救うためその力を開花させて下さい。」
そう言うと、
「よっしゃ!良く分からないがその板に触れば超能力をくれるんだろ!あんたの手が光ってるみたいな!俺ァやるぜ!」
そして茶髪のチャラチャラした少年が出てきたのを皮切りに全員がしぶしぶといった様子でバスから降りてくる。中には怯えている者や、ついさっきまで寝ていた様子の者もいた。
「おいおい、お前達何を言ってるんだ!戦うなんt「いや、先生さんよォ生徒達の言うとおりにした方が良さそうですぜ。ここでゴネても話は進まないだろうし……見なよあの王子さんと姫さんの後ろの兵士。」
「しかし……」
「俺達全員、神隠しにでも逢ったんでしょうな。噂話や昔話にはあるけど自分が体験するとはいやはや、年は取りたくないですな。」
そう言って既に石板へ列を作っていた生徒に加わる虎葉に苦笑する。しかし、確かにその通りだなと教四郎はそれに続くと行列の先頭から歓声が上がる。
「ユーゴ様が聖剣使い!これは運命ですわ!さらに石板の文字列も十八行全てが輝いています!なんということでしょう貴方が聖騎士だったのですね!」
勢いでの二話投稿!
出来れば毎日投稿したいなぁと思っております。
あと、サブ主人公としての格好いいオッサン要素の運転手さんが割りと書いてて気に入りました。(小並感)