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94.たとえば終末の鐘、醜い輪舞
街のだれもが寝静まる夜
あなたはわたしを連れ出した
誰も近寄ることのない
森の奥へといざなった
期待は恐怖を飲み込んだ
鼓動は幼子のように速まり
わたしはあなたに手を引かれ
奥へ奥へと入りこんだ
卑怯者は何も言わない
あなたは口を開かない
手のぬくもりには罪はない
目を塞いだのは自分自身
いつまでも
いつまでも
こうして歩いていられたら
心が 足が
痛くても
こうして歩いていられたら
あなたにはこの気持ちはわからない
じらされ続けた終末の鐘
醜い輪舞に加わった一夜
乾いた瞳で見上げた青空
もう二度と満ちることのない月
あなたにはこの気持ちはわからない




