68/96
68.ロマンチックはいらないの
ひらいた本の一筋に
君との共通点を見つけるように
降り積もる雪の白さに
この恋の尊さを確信する
耳慣れないメロディーに
心躍る未来を期待する
薄く塗られた水彩画に
君の清い心を連想する
何もかもが僕のためにあるのだと
この世の摂理を勘違いする
――全部、勘違いだったのかな
めくるページのどこを見ても
君が存在しないように
咲かない花に水をやりつつ
君を想って涙する
空に見える星を数えて
交わした言葉を思い出す
厚く塗られた油絵に
君の素肌を空想する
何もかもが幻なのだと
やり直せないのだと痛感する
あなたはロマンチックなのね、と君は笑った
でも私は現実的な人の方が好きなの、と君はうつむいた
ツイッターの#深夜の二時間作詩に参加した作品を長くしたものです。
テーマは「ロマンチック」でした。




