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65.君が僕に響くこともないだろう -fog-
雨がやもうと
星が流れようと
雪が降ろうと
朝がこようと
どうでもよくなってしまった
だから ごめん
君が僕に響くことも ないだろう
昨日に溺れ
今日を捧げ
明日を売り払い
それでもいいと思えたほどの
尊き炎は 二度と巡ってこない
このまま深い霧に 包まれていたい
このまま孤独に 老いていきたい
だから ごめん
君が僕に響くことは ないだろう
どうしたらいいんだろう
さっきから君が泣いている
ほろほろと涙を流している
でもね
君がどれほど泣いても
怒っても
取り乱しても
打ちひしがれても
僕にはまったく 響かないんだ
優しくしてやりたいと思えない
同情する気もおこらない
君も 君の熱情も
今すぐ消えてしまえばいい
ほんと ごめん
でも さよなら
64話の「君が僕に響くこともないだろう」に副題としてfireをつけました。
そして副題をfogとした本作では、前半の途中のみを変更しています。
fireでは僕が何かしらに夢中になっているがゆえに、fogでは僕がそれを失ったが故の虚無感によって、君の想いは僕に伝わりません。
皆さんはどちらがお好みでしょうか?




