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6.翼と冠を有するあなたへ
私がどれだけ自由でも不自由でもいいじゃないですか、とあなたが言うものだから、朝が来なくなりそうで怖いです。
あなたとこうして逢えている時間はあなたが抱えるそのどうでもいいもののおこぼれなわけで、子供がぽろぽろとお菓子のくずをこぼしながら歩くように、私は君の後ろをついて回る他ないんです。
でないと、とるに足らない私はあなたをすぐに見失ってしまいます。
あなたは自由の翼を生やしているからスキップしたりジャンプしたりできるんです。
でも不自由の冠をかぶっているからここから逃げ出すことはできない。
その反復によってあなたの口元からぽろぽろとこぼれ落ちるもの、それを目印に私はあなたに逢いに行くのです。
甘い香りとリズムがなければ、私はあなたを見失ってしまいます。