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54.嵐の夜に
いつだって
その腕の中にいさせて
強い陽光も
槍のような雷光も
今夜のような嵐の夜も
理由は後付けだっていいから
なくてもいいから
一番に私を捕らえに来て
窓を打つ雨の音が
やけに大きくて
暴力的で
現実はけして甘くなくて
そんなことは前から知っていて
でも明日には晴れることも知っていて
なのに不安を消すことはできなくて
子供みたいで
みっともなくて
大丈夫だよって言ってほしくて
言わなくてもいいから抱きしめてほしくて
安心したくて
安心するだけじゃ物足りなくて
ああもう――
こんな夜は
早く私を捕まえて
ツイッターの「#深夜の二時間作詩」に投稿した作品に付け加えたものです。
テーマはタイトルそのものでした。




