42/96
42.蒼き咲き人
『いづくよりかはじまる 長き春日の
証のごとき燃えて 散るも惜しまず』
それが君の願いと分かっていても
共鳴する痛みに泣きたくなった
いつかは花開いて
紅 染まるでしょう
たとえ蒼くても
咲くと
咲いてみせると
誓う君のその声が
忘れられない
『真幸くあらば この枝また 還り見む』
あの日君が結んだ松の緑は
褪せることなく今も焼き付いている
潮風にこごえても去りがたかった
情が解けないまま
紅 染まっても
たとえ蒼くても
咲くと
天翔た日の
空も海も君も ああ
すべてが遠い
ありつつも君を待たむ
天のしぐれの
流らふ見れば ああ
うらさぶる情 さまねし
ひさかたの 君が白く朧に霞み
消えてしまいそうで――
たとえ蒼くても
咲くと
咲いてみせると
誓う君のその声が
忘れられない
情が解けないままに
春は訪れ
嘆けども
ああ 嘆けども
君は還らず
こちらは同タイトルの曲に私が作詞したもので、内容はほぼ同じです。
万葉集から引用しています。




