12/96
12.無様に身悶える君にいつか会いたい
確かに数学とか物理とか、ある種の側面においては正しさと過ちが交わる領域なんてない。
白と黒、晴れと雨、過去と未来、空と海。
そんなふうにきっぱりと区別できるのってなんだかいやらしい。
けれど君は違う。
やることなすこと適当だ。
昨日好きだと言った桜餅を今日は食べたくないとそっぽむくし、
ふわふわのかわいいスカートをもう着たくないと捨ててしまうし、
丁寧にブラシをかけていた黒髪をばっさり切ってしまうんだから。
――だからこそ君の純粋さがまぶしい。
もっと頑なになっていいんだ。
冷たく突き放したっていいんだ。
誰にだっていやらしさはあるものなんだから。
無様に身悶える君に
いつか会いたい。




