第一話「誕生」
初投稿です!
稚拙ですが、楽しくやっていこうと思います。
よろしくお願いしますm(_ _"m)
* * *
「・・・」
僕が彼女を見守る。言葉にしなくても気持ちは伝わる。
「はぁ・・・はぁ・・・」
彼女が僕を見つめながら息を漏らす。眼が白く輝いた。僕の気持ちを感じ取ったようだ。
外では強風が吹き、雷雲が空を覆っていた。今にも落ちそうだ。
窓を横目に余所事を考えている私とは違って、彼女は苦しそうだった。
「あぁ・・・もうすぐ・・・」
「先生‼頭が出てきました‼」
そんな声が耳に入った、瞬間───。
窓外で轟音が鳴り響き、遠くの都が燃えていた。
「生まれました‼元気な男の子です‼」
「お母さん、よく頑張りました・・・。あなたのお子さんですよ」
「私の・・・私達の・・・子供・・・」
彼女は笑いながら涙を浮かべていた。
我が子は彼女の腕の中で声をあげている。
声をかけよう。
僕にしかかけられない言葉を。
今まで苦労しか与えてやれなかった僕を戒める言葉でもある声を。
「空・・・晴れたな・・・」
───あぁ・・・
どこまでも僕は〝僕〟だった。彼女はあそこまで変われたというのに・・・。
「・・・」
彼女が僕を見つめる・・・。遂に失望されただろうか。
実の夫が産後、最初にかける声がそれなのか、と。
「・・・名前・・・あなたにつけてほしい」
「・・・え?」
意外な言葉に、僕は少し戸惑った。どうやらまだ嫌われてはいないみたいだ。
「そんなことで嫌いにならないわ」
「“視る”のもいいけど、あまり眼を使わない方がいい。身体に悪いよ・・・」
「あなたが無口なのが悪いのよ」
そう言いながら彼女の眼の色は黒に戻った。
「で、どうするの?」
・・・。
名前・・・名前か・・・。聞いたのは自分だが、そう言われると難しい。
一生付きまとうものだ・・・大袈裟かもしれないが場合によっては翼にも足枷にもなり得る。
慎重にならねば・・・。
「そんな慎重にならなくてもいいのよ?」
また“視た”のか・・・。
「あなた…さっき窓の外を見て〝何か〟考えていたじゃない。それ…私は好きだけどなぁ」
彼女の方を見ると、にこやかに微笑んでいた。
彼女はあえて〝何か〟と伏せているがその内容は恐らくわかっているのだろう。
結局、これでは僕ではなく、ほとんど彼女が決めたようなものだ。
「そんなことないわ」
「わかった‼喋るからもう“視る”のはやめてくれ・・・」
彼女は微笑んだ。
「あの・・・だれと話しているんですか・・・?」
「・・・あぁ、ただの独り言ですよ」
ニコニコしながら彼女は僕の方を見る。女医もこちらを見るが不思議そうな顔をしている。
・・・当たり前だが。
「で、さっき何を考えていたの?」
「・・・その子が生まれると同時に外で雷が落ちた。自然災害でもあり、現に都が燃えた。それなのに僕は何故だか美しいと感じた。それだけだよ・・・」
僕は真実をそのまま・・・いや、少しだけ嘘を言った。なぜ美しく思えたのか、その答えを僕は知っている。
「・・・そう」
彼女は少し考えていた。そして口を開く。
「だったら都の雷…雷都なんてどうかしら?」
随分と単純に決めるんだな・・・
「いいじゃない。皆を導く光。それが私たちの子供よ」
「だから力を使うんじゃない・・・。分かった。君がそう言うならそうしよう」
やはり最終的に決めたのは彼女だ。
いつも僕はどうでもいいことを考えていて、重要なことは彼女に任せっきりだ・・・。
でも・・・
「今日からあなたの名前は雷都。」
余所見も少しは・・・
「私たちの可愛い・・・」
役に立つもんだ。
「息子よ・・・。」
* * *
────────────十五年後────────────。
ある星のある国のある都市のある養成機関のあるお部屋にて・・・
「「「ハッピーバースデー‼」」」
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高頻度で投稿していきたいと思います。