共謀罪も憲法改正も、日本会議の実態を明らかにした後に判断しよう
その時、僕はネットで、日本の原子力発電所のテロ対策の記事を眺めていた。日本のテロ対策がいかに脆弱なのかは、随分と前に一度調べていたのだけど、久しぶりに復習をしてみようかという気になったからだ。
数々の記事を読みながら、僕はどんどんと暗澹たる気分になってきた。読めば読むほどその酷さが実感できたからだ。
諸外国と違って、日本では民間の警備会社がなんと“非武装”で原発を警備している。警察の機動隊も警備しているが、常駐しているケースは少ないそうだ。フェンスすら頼りなく、過去には20人以上の民間人が山菜取りの為に原子力施設に入ってしまったという事案も発生しているのだとか。
だから例えば、もし仮に北朝鮮の特殊部隊に乗り込まれでもしたら、簡単に原発は制圧されてしまう可能性が大きい。その上、北朝鮮や中国から比較的狙い易く、普通の原発よりも危険と言われるプルサーマル方式の高浜原発を国は再稼働させてしまった。しかも、よりにもよって、北朝鮮とアメリカの緊迫状態が続いているというタイミングで。
もし、本当にアメリカと北朝鮮が交戦状態になりでもしたら、高浜原発が狙われ、日本という国そのものが人質に取られてしまうという危険性すらある。
もちろん、脅威は北朝鮮だけではない。実はあまり表に出ないだけで、原発がテロの標的にされる事件は世界で何度も起きているという話もあるのだ(信憑性がどれだけ高いのかは分からないのだけども)。
しかしだ。
なのに、何故か政府自民党は法改正を行って、原発を自衛隊が警備できるようにはしない。正直に言って、何を考えているのかが僕には分からない。
何故、自衛隊に守らせないんだろう?
僕は原子力発電所には反対をしている。しかし、それでも稼働させると言うのであれば、まずその前にテロ対策を充分に取るべきだと考えている。これは最低条件だろう。
こういう事を書くと、「自民党批判の為に原発をダシに使っている」だとか言う人がいるので一応書いておくけども、自民党で政調会長まで務める高市早苗議員もテロ対策として自衛隊による警備の必要性を訴えている。
この彼女の主張は正しい。
これから日本は、通常の原発よりも危険なプルサーマル方式の原発を、各地で稼働させようとしている。そうなってしまえば、冗談でも誇張でもなく、ごく小規模のテロ組織にすら日本に致命傷を与えられる状態になる。これを野放しにするのは、いくら何でも国防上、有り得ないからだ。
近年、海外の原子力企業の多くが経営難に陥っているが、その大きな要因の一つに“テロ対策”がある。充分にテロ対策を施そうとすると、あまりにコストがかかり過ぎる為、経営が非常に苦しくなるのだ。
日本は単独では原子力製造技術を有してはおらず、海外の企業と協力しなくては原子力産業は成り立たない。その為、日本が原子力産業を続けるには経営難に陥ったそれら原子力企業を救済しなくてはならないのだが、それをやると東芝程の大企業でも破綻の危機に追い込まれてしまう。つまり、それだけ原発のテロ対策にはコストがかかるのだ。
では、どうして日本では原子力発電所が次々と再稼働し、なおかつ新規の原発まで建設できているのかと言えば、テロ対策を疎かにしているからだ。
こう聞くと、日本がテロ対策を怠けているのは金がかかり過ぎるからだとそう思えるだろう。だがしかし、そればかりが原因だとも思えない。何故なら、自衛隊の警備にはそこまでのコストはかからないからだ。つまり、やろうと思えばできる訳だ。
「やっぱり、国が原発のテロ対策を放置しているのって腑に落ちないよなぁ」
と、そこまでを考えて、僕はそう呟いた。
例えば、仰々しくテロ対策をすると、国民に対して、原発がテロに狙われる危険をアピールしているようなものだから、それを嫌って無視している…… くらいの理屈なら付けられるけど、いくら何でもそれじゃ無責任過ぎるだろう。
「テロに対して国が危機感をそれほど抱いていないって線がやっぱり妥当か」
と、それから僕はそう呟いた。そしてその自分の言葉で、近頃話題になっている“共謀罪”を連想したのだ。
「これだけ国のテロに対する危機意識が低いのに、“共謀罪はテロ対策だ”って言われて、素直に納得なんかできるはずがないよね。よほどのお人好しでもない限り……」
今現在(2017年6月)、自民党が共謀罪という法案を通そうとしている。これは犯罪を計画しているだけで逮捕が可能というものなのだが、その判断基準が曖昧で、下手すれば物的証拠なしに警察が「犯罪計画を練っている会話を耳にした」と言い張るだけで逮捕ができてしまえる。
普通に判断する限り、どう考えても問題があるのだが、この法案の必要性を自民党はテロ対策の方面から訴えているのだ。
だけど、原発のテロ対策の脆弱性を観る限り、自民党に本当にテロに対する危機意識があるとは思えない。更にこの共謀罪には、そもそも“テロ”の文言すらない。当然、テロ以外の犯罪も対象範囲になる。
「普通に考えて、共謀罪にはテロ対策以外の目的があるとしか思えないんだよね、だから……」
僕がこのように共謀罪を疑うのには、もう一つ理由がある。現在の自民党の黒幕とすら言われている日本会議という右翼系の政治団体があるのだが、この政治団体はその実態が極めて不透明なのだ。
はっきり言ってしまうと、情報を隠しているとしか思えない。
海外の有力紙やテレビなどで「危険な右翼系政治団体」と取り上げられている程なのに、当の日本ではあまり目立っていないのだ。雑誌やネット上で取り上げられることはあっても、テレビで報道されることは滅多にないからだ(珍しく特集を組まれているものがあったので、動画サイトで観てみたのだけど、実態についてはほとんど何も分からないままだった)。
そして、その思想は“戦前回帰”だと考えられていて、非常に偏っている。
しかも、その実態を調査している人達の言葉を信じるのなら、その起源はカルト系の宗教団体で、今現在もカルト系宗教団体の連合体という一面があるらしい。
宗教団体や宗教系の団体が政治に影響力を持ちたがるのは珍しくない。だけど、日本人は宗教団体に対して警戒心を抱く傾向があるから、宗教の名前を出すと、選挙で落選するのでそれは非常に難しい(公明党は特例だ)。
だから宗教団体は、隠れてこっそりと政界に影響力を持とうとするケースが多いと考えられるのだけど、日本会議はその最も成功した事例だと言えるのかもしれない。
日本会議の最大の目的は、憲法改正だと言われている。だが、誰がそれを信じる? 憲法改正だけで満足するとはとても思えない。必ずその先もあるはずだ。そして、彼らの憲法改正案の中の一つには“緊急事態条項”という内閣に凄まじい権限を与えられる…… はっきり言ってしまえば、独裁政権すら可能にする内容が含まれてあるのだ。
この“緊急事態条項”と先の“共謀罪”を組み合わせれば、恐怖政治すらも容易になるだろう。
これでは「不安を覚えるな」という方が無理がある。しかも、まだこの日本会議には、問題点があるのだ……
一般的に、保守層、嫌韓派の人間は自民党を支持する事が多いと言われている。だが、政治に詳しく、日本会議についても知っている嫌韓派の一部の人間達は、自民党を毛嫌いしている。
何故なら、自民党の黒幕の日本会議には統一教会と結びついているという話があるからだ。
“統一教会”というのは、韓国に本部のあるキリスト教系の宗教団体で、しかもカルト系に分類される事が多く、数多くの怪しい噂があり、実際に事件を起こしてもいる。つまりは、社会的に問題アリと警戒されている宗教団体な訳だ。
この統一教会と日本会議の結びつきの話は、単なる噂レベルを超えている。数多くの証拠があるからだ。嫌韓派の人間達が自民党を嫌う理由も分かるだろう。統一教会自体は、親日とも反日とも言われているが、それでも許容はできないはずだ(日本人に対して、韓国優位の洗脳を行っているという噂もある)。
韓国の宗教団体が、右翼と目されている政治団体と結びついているなんて、俄かには信じ難いと思うだろうか? 正直に言えば、僕もかつては信じていなかった。偶々見つけた記事が、いかにも妄想的な陰謀論のようなトンデモ系だったので、直ぐに「本気にしない方が良い」と判断してしまったのだ。
ところが、そういった偏見は捨てた方が良いと反省し、改めて調べてみると、理性的な内容でしかも確りとした証拠と共に日本会議と統一教会の繋がりを訴えたものも数多くあった。
例えば、世界日報という統一教会の出している雑誌の表紙を何度も安倍首相が飾ったり、日本会議の前進組織に統一教会の関係者がいたりと、枚挙に暇がない(嘘だと思うのなら、『日本会議 統一教会』で検索してみると良い。簡単にヒットする)。
もちろん、それら証拠の全てが捏造や勘違いである可能性もあると言われれば、完全には否定し切れない。少なくとも僕にはそれら証拠は信頼のおけるものであるように思えたけど、“事実は小説より奇なり”だ。世の中、何が起こるか分からない。
だから、こう提案する。
「共謀罪も憲法改正も、日本会議の実態を明らかにした後に判断しよう」
冷静になって考えてみて欲しい。
政治家に外国人が献金しているだけで大問題になるのに、政府与党の黒幕と言われる政治団体が極めて不透明で、本体もカルト系宗教団体である疑いが強いばかりか、反日と言われている韓国の、社会的に問題のあるカルト系の宗教団体と繋がりがあるという疑惑があり、しかもその政治団体が独裁政権すら可能にする憲法や法律を制定しようとしているのだ。
僕は別に差別主義者のつもりはないし、韓国とだって少なくとも喧嘩はしない方が良いと考えているけど、それでもこれは大問題だとしか思えない。
そもそも、政策に強い影響力を持っていて、憲法改正を主導すると言われている政治団体の実態が不透明というのは、それだけで問題なのだけど。
これで事実を明らかにしないで良いはずがない。
だから、その為に日本会議に、いや、この社会全体に対して「日本会議の実態をオープンにしよう」と訴えるべきだと僕は思うのだ。
強調しておくけど、僕はただ単に「実態をオープンにしてくれ」と言っているだけだ。民間団体とはいえ、公の場に影響力を持つ団体ならば、情報公開の義務はあるはずだし、もし本当に健全な団体だと言うのならできなくてはおかしい。
こーいう事を書くと、直ぐに「“自民党批判”をしている」と、過敏に反応する人がいるから一応断っておくけど、日本会議問題は一部の政党だけの問題じゃない。多くの野党議員達も日本会議に所属しているし、その集会にも集まっている。
例えば、民進党の有力議員で日本会議に所属している人もいるし、だからなのか民進党には改憲派も多い。
つまり、仮に自民党が政権を離れたとしてもそれでこの“日本会議問題”が解決するとは限らないのだ。逆に言えば、自民党政権のままであったとしても、自民党が日本会議と手を切るか、日本会議が健全な団体であると分かれば自民党政権のままでも何ら問題はないという事になる。
これは“政党の問題”ではなく、“日本会議”の問題なのだ。
「ん~。やっぱり、国が原発のテロ対策を放置しているのって腑に落ちないよなぁ」
僕は日本の原発テロ対策の脆弱性を説明したサイトを観ながら、そのあまりの酷さに思わずまたそう呟いてしまった。
“まさか、日本を憎む韓国の宗教団体が、襲わせて日本を潰す為に、敢えて原発にテロ対策をさせていないとかないよね?”
なんて、その後で思う。
“いやいや、流石にそれはないか”
しかし、と、その後で僕は慌ててその考えを打ち消した。こんなトンデモ系な想像をついしてしまうのも、日本会議がその実態を隠しているからだろう。
できる限り早く、日本会議の実態が明らかになる事を僕は心から願う。
作中に書いた、珍しくテレビで取り上げられた日本会議の報道特集は↓で観られます。
http://www.dailymotion.com/video/x53n40j
作中で書いた通り、実態は分かりませんが、それでも隠蔽体質と宗教団体っぽさは分かります。
もう一つ、↓は討論番組です。
http://www.dailymotion.com/video/x4mqz6r
こっちの方が宗教団体の繋がりとか詳しく説明されています。
ただ、視聴者はかなり少なそうですが。