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その2

 「まぁ、そういうわけであのゲームの内容が聞きたいわけよ」


 「なるほどね! 君のお兄ちゃん面白いこと言うじゃん! いいよー、何でもドンとこいです!」


 あの後、私はトマトと二十分ほど格闘し、見事勝利収めた。そして、に学校に行く前にこの昔からハイテンションな幼馴染の親友と合流したわけである。


 彼女と私は何時も私の家からちょっと歩いたところにある公園で待ち合わせをしている。二人一緒にすっごく長い通学路を歩かないといけないのだ。毎朝辛くて仕方がない。


 こういう時、いつも空が飛べたらいいのになと思う。空を飛べないわが身を呪う。空を自由に飛びたいなーとつぶやいてみると、彼女がそうだね! と言ってくれた。望んでいたのはそれではない。


 親友としゃべる時間だと思うとそこまで捨てたものでもないかもしれない。他の奴等との会話は結構めんどくさいと思うのに不思議なことだ。ちなみにお兄ちゃんはその他の奴の仲には入っていない。なんだかんだ、信頼し合っているのだ。


 一緒に学校へ歩いている最中に今朝の話をした。いわゆる、赫赫然然(かくかくしかじか)と呼ばれるあれである。


 「ううんとねー、何から話そうかー」


 「なんでもいいわ、好きに喋ってちょうだい」


 「それが、一番困るんだって! 方針決めてほしいから、聞いてるのであって、何でもいいじゃあ、聞いた意味がないじゃん!」


 「うーん、じゃあ、ジャンルは一体なんなの?」


 「うっ、それも結構答え辛い質問だね!」


 ジャンルが答えずらい? 一体どういうことなのだろう。


 「そんな顔をしないでよ! このゲームはできることが多すぎて一概にこれだ!ってジャンルは存在しないんだよ! それでもあえて言うならスコアアタック系のゲームかな! あー、でもクリエイト系のゲームでもあるかも。とにかく自由度がすごいんだよ、ミニゲームも豊富だし」


 ほう。なんとも面白そうなゲームである。発言に困るぐらいに自由度の高いゲームなのか。そうだ、今の私に求めていたものは自由度だ。レールを歩かされるゲームにはもう飽きていたところだった。たまには空を飛ぶような開放感に満ち溢れたゲームをしてみたいと日ごろ思っていた。このゲームならその欲求を満たすことができるのか? 私の期待と同じ位、いやそれ以上のゲームなのか?


 胸が高まっていく。むせあがりそうだ。心臓の血液がすべて顔の皮下に来たような、熱い熱を感じる。いかん、いかん。私のゲーマー魂は概要を聴いただけでここまで暴れるものなのか。落ち着け私。


 「とても、面白そうだわ。皮肉抜きで。純粋に」


 「でしょ! 実際に面白いのよ! でも、このゲームちょっと人によって評価が分かれるかな。熱狂的なファンもいるんだけど……」


 彼女はちょっと自信なさげな顔をした。何か言い辛いことがあるのだろうか。


 「有名なゲームにはアンチが大量にいるのはしかないことよ。ちょっと、自分の好みに合わないからってすぐ製作者に文句を言う。ほんと、救いようのない奴等だわ。あんたはそんなやつになっちゃだめよ」


 「も~わかってるってー。でもこのゲームの場合はねちょっと違うと思う」


 「どういうこと?」


 「好みが合う合わない、以前に難易度の触れ幅がすごいことになってるの。それも好みのひとつかもしれないけど。たとえば、ゲームを始めたら何もできずに二十分でゲームオーバーになることもあれば、何の苦労もせずにハイスコアをたたき出したり」


 「なによそれー、でもそれぐらいなら別にいいわ」


 これぐらいではがっかりしない。むしろ燃え上がってくる。難易度が高いほどやりたくなってくるのがゲーマの性なのだ。


 「いや、これの一番の問題は、このゲームがオンラインゲームだってことなんだ。だから不平不満が溜まりやすくて」


 「それぐらいで、不満を言うやつはゲーマじゃないわ、素人よ」


 「ふふ、君はやってもないのにたいした自信だね! でも私もそう思うよ! そもそもこのゲームはスコアにこだわらずにやっていればすごく楽しいし、失敗してもリセットしたらいいだけだしね!」


 彼女は何時もの笑顔でそういった。


 「だよねー、最近の素人ゲーマーはこれだからだめなんだわ」


 ふと、脳内に違和感が残った。いったいなんなんだこの違和感の正体は……


 記憶の道筋をたどる。


 リセット? 彼女さっきリセットって言った? リトライじゃなくてリセット? 別にたいした違いじゃないけど、私の脳内に一抹の不安が芽生えた。もしそうだとしたら……


 神様、どうか私の考えが間違っていますように。


 「ねぇ、ちょっと聞きたいんだけど。そのゲームってセーブあるの?」


 「ふふ、面白いこというね!」


 ああ、どうやら杞憂だったようだ。神よ感謝しま――


 「無いに決まってるジャン!」

 「完っっ全にクソゲーじゃないの!! あほか! なんで、いまどきセーブもできないのよ! 不満が溜まって当然だわ! クリエイト系のゲームでセーブができないって、もうなんか矛盾を感じるし! 意味わかんないわよ! 製作者は一体何を考えてるの、頭の中覗きたいわ! 絶対どっかに欠陥があるとしか思えない!私のトキメキを返せ!」


 「やってもないのにアンチになってる……」


 「なってないわよ!!」


 嗚呼、神よ。何ゆえ私の心を弄ぶのでしょうか。


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