#06
深い緑色の山が邪魔をして、空こそ夕焼けのようだが、太陽はまだそこから見ることはできなかった。
「馬はねぇ、曲がりたいほうのおなかをぐーって押しながら、曲がりたいほうに手綱を引いてやると、曲がるんだ」
屋敷の前で、アレクシアからの口頭による軽い説明を受ける。
ヘンリエッタが馬屋から手綱を引いて連れてきた馬は、よく競馬場や映画で見るようなサラブレッドではない。ちょっとした大型バイクのような、首を立てると百七十程度の修と視線が合うほどのサイズしかない馬だった。
「……思ったよりも小さいんだ」
「鎧着せると、おっきくみえるもんねぇー」
そういう意味ではなかったが、修がよく知る馬のサイズより一回りも二回りも小さい馬がこちらの標準的な馬なのだな、ということに気付く。
「馬具の説明は必要ですか?」
「いや、大丈夫」
少なくとも、細かい名称こそは分からないが、馬に跨るのにはまったく支障がない。修は馬の左側から鐙に足をかける。
「おなかはけらないよーにね。おどろいて、走り出しちゃう」
「わかった」
忠告を受けながら、その背中に勢いよく飛び乗った。アレクシアの口から「おー、いっぱつぅー」という言葉が漏れる。
「……バイクより乗りやすいかもな」
相手はよく訓練された生き物なのだ、むしろ当たり前とも言える。
「歩くときは、両方の足で、かるーく、おなかを押してやるんだ。走るときは蹴るんだけどね」
「止まるときは?」
「手綱を、おもいっきり後ろに引くの」
「分かりやすい」
「のれそ?」
「歩かせるくらいなら」
「そっかそっかー」
アレクシアは満足げにうなづいた。
「ボク、おひめさまみたいに乗ってもだいじょーぶそうで、助かっちゃった」
馬に跨った修に、アレクシアは手を伸ばす。
「手、かして?」
○
サラブレッドのような馬ならば話は別だったかもしれないが、この馬は二人乗りするには少し小さいようだ。二人分の槍を抱え修の前に横乗りしているアレクシアが、狭そうに身じろぎしながら身を寄せるたび、修は妙な気分になってしまう。
「……普通に乗ったほうがよくないか?」
「ボクが横に広い、って意味ー?」
「そうじゃない」
「じゃ、やーだよー」
少なくとも、まるで本当にお姫様抱っこのように抱きかかえているような距離だ。
修はアレクシアの年齢を知らないが、少なくとも若い少女であることには間違いないだろう。そんな相手をこのように抱きかかえる機会に恵まれたことはなかった。
「……もしかしてえっちぃ気分になってる?」
「違う、そうじゃない」
「それはそれで残念だな。まるで、ボクに女の魅力がないって言われてるみたいで」
拗ねるように唇を尖らせる。
――そんな話をしながらしばらくのあいだ馬をトコトコと歩かせていると、石畳でキッチリと舗装されていた道が、少しずつ荒れてきた。
「もう少ししたら、村が見えてくるよ」
そしたら休もう、と。体を摺り寄せながら提案してくる。
「……やっぱり普通に乗らないか?」
「やだ」
「股ぐらい、魔法ででも何でも治せばいいじゃないか」
「ボクの祈祷はそんな便利じゃないやいっ!」
アレクシアは頬を膨らませ、
「すっごく! かゆくなるんだからっ!」
ほぼ密着するような距離で、恥ずかしいでしょっ!? と目で訴えられる。
「……それとも、おさむ、やられてみる?」
「ごめん」
「わかればよろしいっ」
これは、迂闊には怪我ができないな。そんな事を考えながら、真っ直ぐ前を見据えて――はたと、
「人が」
「ほんとだ」
まるで通せんぼでもするように、街道の真ん中に立ちながら、こちらを睨んでいる。
髪の短い、青年と呼ぶのにふさわしい赤毛の男だ。
前をはだけさせたマントからは、四角い革の小札を何枚も繋げて作ったラメラーアーマーを着込み、腰に長い剣を差していることが伺えた。
「……旅人?」
近づいても避けようとする素振りはない。思わず手綱を引いて馬を止め、アレクシアに問いかけた。
「違うんじゃ、ないかなぁ?」
かといって山賊のようにも見えない、と。
「なにか用ですかぁー? 護衛なら間に合ってますけどぉ」
「ああ……? ああ……いや。そういうつもりはない」
男は瞳をぎらつかせる。
「星が導いた。俺より強い男がいる、戦え、と」
青年がそれを口にしたとたん、アレクシアは「あっちゃー……」と、手の平で顔を覆った。この場で意味を理解できていないのは、この世界の人間ではない修ただ一人だ。
「――そこの黒髪の男に、私闘を申し込む!」
「……えっ?」
「盗賊騎士ってやつみたい」
「えっ……?」
盗賊騎士。
私闘という法を悪用し、金銭を巻き上げる者のことだ。このような法の悪用を最初に行ったのが貧困にあえぐ騎士であったとされていることから、実際に騎士でもなんでもなくとも、そう呼ばれるようになった。
「私闘を挑まれたら、基本、ことわれないんだよねぇ……」
理のある人間に天は味方するとされており、この世界では決闘とは神聖不可侵なものとされている。天地神明にかけて争うことから、決闘を行う場合には教会に届け出て、そして司祭が立ち会うほどであり、基本的に挑まれれば断ることができない。
――こういった思想の裁判を神明裁判と言う。
それと同じ形式で決着をつけるということから、私闘は決闘よりも神聖ではないものの、しかし簡易な裁判としての効力がある。
「断るには?」
「おかね」
私闘自体を避けるには金銭を支払うか、戦利品として価値のある品を差し出すかだ。私闘の勝者は同じように金銭か戦利品を請求するので、結果としては自分が折れるということである。
勝者が奪った戦利品は町で換金するか、もしくは敗北を隠したい相手が買い戻そうとするので高値をつけることが多い。故に、金銭目的ならば先祖伝来の品を奪うのがより効果的だ。
盗賊騎士と呼ばれる者たちは、そうして金銭を稼ぐものたちである。
「逃げるのは?」
「ダメ。特に、ボクが一緒だから」
武でもって名を上げたのが騎士ならば、武をもって挑まれれば避けてはならないのも騎士である。
たとえ、挑まれた理由が「自分を試すため」「武を競うため」という、難癖にも近い理由であってもだ。
「悪法も法ってやつか……」
「悪法じゃないよ。神様がちゃんと結果を出してくれるんだし。あんまりひどい事してると、必ず神様が罰を下してくれるんだよ?」
あくまでも神様や宗教が前提として存在して成り立っている法律だ。修には理解できない感覚である。
「……説明は済んだか?」
修は遠い異国から来たという説明で待っていてもらったが、しかし相談が聞こえないほどの距離ではない。
見計らったように男が声を上げた。
「あー、うん、ごめんねぇー?」
アレクシアは、抱えていた槍の片方――十文字槍を修に押し付ける。
「ボクが出よう」
「断る」
「まって、代理人を立てるのは、万人に認められているはずの権利だよ?」
どうしても戦えない人間というのは存在する、そういった人のために存在するのが代理人だ。弁護士のような存在で、腕のいい代理人をたてることができると言うのも、天が味方するからだ、と考えられている。
そういった代理人業務というものは、アレクシアをはじめとした一部の騎士たちにとっての、主な収入源だ。
「挑まれた人間が立会人になることは認められないな」
立会人は、いわば裁判官のようなものだ。実際に決闘が始まるまでは、穏便に済ませるよう仲裁に奔走する。
「それはいなくとも成立するはずだよ」
そして実際に決闘が始まれば、決着を宣言する以外の権限はない。
双方が認めれば、これは必要ない存在である。
「不意打ちは避けたい、そう考えるのは当然だろう? それに」
アレクシアのつま先から頭のてっぺんまでを舐めるように見て、
「女に勝っても自慢にはならないだろう?」
鼻で笑った。
「あ、むかっときた」
アレクシアには騎士としての誇りがある。バカにされて大人しく引き下がれるほど、アレクシアのプライドは安くはない。
しかし、私闘直後に、その私闘に関係していた人間が挑むのは禁止されている。そのことを知っているアレクシアは、
「おさむ、けちょんけちょんにしちゃって!」
修に、戦え、と口にした。
「だから俺は戦えないって!」
「勝ったらおさむのことぎゅってしてあげる!」
恋愛を推奨する騎士としての風習と、そして貴族の子女として与えられる、現状でのアレクシア最大の報酬である。
「えー……?」
もちろん、それをきちんと理解しているのであれば、だが。
「い、いいい、いやそうにするなぁー!」
両手を振り上げて抗議すると、相手の男はけらけらと楽しそうに笑い出した。
「ははは。子供らしい、健気な報酬じゃないか! 負けられなくなったな?」
「ボクは十四だぁー!」
こちらの成人は数えで十五だ。
「えっ?」
まさかそんなに若いとは、と修は声をあげ、
「えっ?」
そんな歳なのにその程度なのか、と男は声を上げる。
「ば、ばかにするなよぉー!?」
槍を振り上げて、そのまま暴れだしそうな勢いだ。
「――おさむっ!」
「はいっ」
「勝って! ってゆーか、勝てぇー! 勝ってその男を跪かせろぉっ!」
気炎を上げて修に命令する。
「えぇー……」
貴族の口から出るその言葉が、どれだけ重いを修は知らない。
「怪我したりさせたりするのはちょっと……」
「今が戦わなきゃいけないときなのっ!」
「……うちの宗教、非暴力主義なんで」
修は宗教に傾倒しているわけではないが、修の言うことはウソではない。
仏教をはじめとした古代インドに起源を発した宗教には、アヒンサーという非暴力の重要な教義があるのだ。
マハトマ・ガンディーの唱えた非暴力不服従はあまりにも有名である。
「じゃーなんでかくとーぎなんてやってたんだよぉー!」
「……自衛?」
「いまが自衛のときじゃないかぁー!」
それもそうだ、修は納得したようにうなづく。
平和で安全な日本では格闘技など日常でまったく使わないのだから、そこに考えが至らなかったのだ。まるで、ちょっととぼけたような反応になってしまい、修はバツが悪そうに「あー……」と唸る。
「……じゃぁ、死なない、死なせない、重篤な怪我を負わせない、って話だったら。ぎりぎりワンチャン」
それならば、まだ柔道の試合と同じだ。
「ようするに、素手ならいい」
「――そっちも、それでいいっ?」
「宗教ならば仕方がない。いいだろう、素手だな?」
そういうと男はマントの影でごそごそとベルトを弄り、マントの影に隠れていた長い剣を、鞘ごとベルトのホルダーからするりと引き抜いた。
それをゆっくりと地面に置くと、ついでマントを止めている首元のベルトをゆるめ、外す。
男の体は、修が想像していたよりも華奢だった。
「おさむ」
アレクシアが険しい顔をして、
「あれ呪術師だ」
見た目と膂力に大きな差があると、そう助言する。しかし赤毛の青年は、その助言に対して特に何も口にしない。
「間違えるな、占星術師だっ」
逆に、赤毛の青年はアレクシアの助言を訂正さえしてしまう。
おそらくは見ただけで分かるからなのだろうか、修にはその違いを見分けることはできない。
「さて、名乗りが遅れたな」
革に鋲を打った篭手を顎の高さまで持ち上げ、左足を引いた。それはボクシングの構えにも似ている。
「俺はアレックス――占星術師アレクサンドロス・バクスター! 俺はスクリーヴァ領バクスター村の"金剛無双"! 俺は星の導きによって私闘を挑む者っ!」
「……」
「…………」
「………………あっ、おさむ、こーじょー、こーじょー!」
「えっ」
「おい」
教えたんじゃないのか、そうアレックスが睨む。
こういった礼儀は当たり前すぎて、すっかり頭から抜け落ちていたらしい。アレクシアは「あっちゃー」と顔を抑えた。
「おさむ、名乗るの、礼儀なんだ」
「えっと……名前だけ?」
「生まれとか、流派とか、なんでもいいからっ」
「えー……?」
「はやくはやくっ!」
せかすアレクシアを尻目に、修はしばし悩む。
社会的地位が高い人間なら、もしかすればこういったことにさっと対応することが出来たかもしれない。しかし修はそれほどスピーチなどが得意というわけではなかった。
「……佐村修。講道館柔道、二段。日本の、どこにでもいる会社員です。よろしくお願いします」
いっそ中二病的な口上をでっち上げてもよかったが、ベッドの中でゴロゴロと転げまわるようなことを避けたかった修は、実に無難な一言で済ませ、軽く頭を下げて礼をする。
「……おい、なんだこのマヌケな男は? もしかして僧侶か?」
「ボクに聞かないでよ」
今まさに私闘が始まろうとするこの瞬間にまったくそぐわない修の行動に、アレックスは毒気を抜かれたようにマヌケな声を上げた。
「この私闘、このボク、アレクシア――アレクサンドラ・アンドリューが立ち合う。天と地と人を統べる三界の神が、この私闘に正しき裁決を下すことを見届けることを誓う。"薔薇騎士"の名誉にかけて、この戦いに私情を挟むことをしないことを誓う。神の下した裁定に異を唱えることをしないことを誓う」
立会人としての口上――立会人としての誓いを、朗々と告げた。
「そしてボクは立会人として、決着を詰むまでであることを望む。否はありや?」
「怪我がないなら」
「異存なし」
「同意は得られた。ボクは理ある者に勝利あることを祈る――!」
その言葉と同時に、修の正面五メートルほどの距離に対立するアレックスが改めて拳を固めて顎の位置に持ち上げた。
あわせるように、修も両手を相手の襟の位置に開いて持ち上げる。
「――はじめっ」
「しゃぁあっ!」
修の、相手を威圧する気迫に満ちた声がアレックスにぶつかる。しかしスポーツの延長線上にしかない修の叫び声は、気迫はあれど殺気はない。
決闘が裁判であるこの世界でそれは、見掛け倒しに過ぎない。むしろ拍子抜けしたような気分になりながらも、アレックスは身を低くして突進する。
「レスリングごときで――っ!」
手を開いた構えで組み技だと判断したアレックスの判断は間違いではない。だからこそアレックスは体を低くして迫ることで、修の足を狙ったタックルを封じ、蹴りと、上から首を取られて押しつぶされることにさえ警戒すればいい状態にしたのだ。
カウンターで、体全体のバネを使って顎を打ち抜けばそれでお終いだと確信を持って、開始位置からほぼ微動だにしていない修の懐に一歩踏み込み、
「せぇえ――!」
全力で拳を突き上げ、
「そいっ」
修がそれを受け流し、
「――えええええええっ!?」
そしてその場では修以外にはまったく理解の及ばない原理でもって、修はアレックスを投げ飛ばした。
すぐさま、どん、と石畳に背中から叩き落ちる音が響く。なのに、アレックスはまったく痛みを感じていなかった。
「……えっ?」
ただ、ぽかんとした表情で、何が起こったのかを立会人――アレクシアに求めるように視線を投げかける。
「…………えっ?」
アレクシアから見れば、それこそ魔法のように、だった。
修がアレックスの腕を取って、軽くひねったかのように見えた次の瞬間、アレックスが自分から飛び上がったようにしか見えなかったのだ。
――講道館柔道投げの形手技、浮き落とし。
足を引っ掛けることなく、腕の動きや重心の崩しだけで投げ飛ばしてしまう、柔よく剛を制すの一言をよく表した技だ。
「ん、一本、かな?」
修はのんきに、そんなことを宣言する。
「……あっ、まだ終わってないよ!?」
綺麗な投げは、むしろ宙に浮いたような錯覚さえあるほどに気持ちがいい。そしてスポーツとしてではない、礼儀を重点的に教える柔道はできるだけ相手を傷つけないような、綺麗な投げ技を指導される。
修の柔道は、まさしくソレだった。
「――はっ!?」
おそらくその一言がなければ、アレックスはいつまでも、まったく痛くない投げ技と不思議な感覚に、ぽかんとしていただろう。
「マジかっ!?」
そして修は、そう言われるまで柔道のような感覚で、まさか寝技までする必要はないだろうと暢気に審判の裁定を待っていただろう。
「くそっ!」
――アレックスはすぐさま立ち上がろうとする。
こちらのレスリングは戦場で相手にトドメを差すためでしかない、そのため寝技はさして発達していない。逆を言えば、いつでもトドメを刺せる形は多くないのだから、立ち上がることさえできれば詰みにはならない。
「ああもう!」
しかし柔道は逆だ。畳というクッションの上で行われ、相手を捕縛する技にかけてはおそらく格闘技随一の技術体系であり、そして中高は基本的に寝技で勝つ格闘技だ。
「くそっ!」
修は、両手をついて立ち上がろうとしているアレックスの腕を取りながら後ろから素早く覆いかぶり、
「離――っ!」
ガラ空きの首と、わきの下に腕を回しながら襟を掴み、巧みに足を絡めながら自分ごとひっくり返った。
「――降参しろ」
修の両足はアレックスの足を完璧に捕らえて固めてあり、腕を脇の下から回されて耳に密着するような状態で抑えられ、そして頚動脈が服の襟で軽く締められている。
「ぐ、ぐぬぅ……っ!」
おそらく、修がこれまでの人生の中でもっとも綺麗に入った締めの体勢だ。関節技でもなんでもないが、しかしアレックスはまったく身動きが取れない。
修が軽く力を込めて首を絞めれば、すぐさま頚動脈洞性失神が起こるだろう。アレックスがじっとりと脂汗を流しながら恐怖に顔を引きつらせ、
「――やめやめっ! すとーっぷ! おさむ、チェックメイトっ!」
アレクシアが顔を真っ青にして、慌てて止めた。
「お、お前……」
修の締め技から開放され、首をさする。アレックスは、死の恐怖から逃れたとばかりに、その場にへたり込んでいた。
「暗殺者だったのか……っ!」
「ちがうっ!」
レスリングはあくまでも、相手を押し倒して短剣で突き殺すところからはじまった技術である。
素手で首を絞め、声を出せないような状態にして殺すことができる。武器を持ち込めない場所でも殺すことができる。薬や魔法を使わないで殺すことができる――そんな技術を持っているのは、それこそ暗殺者しかいないのだ。
アレックスがそう口にするのも仕方がないことである。
「えっと……きょーかいの、あんぶ?」
「なんでそうなるっ?」
後ろ暗い政治家かテロ屋でなければ、暗殺者の存在する場所は教会だ。そうした人間は異教徒のトップを殺すために存在する。
修の「殺さない、怪我をさせない、血を流さない」という要求はまさしく宗教家のそれであり、しかし手馴れた動きでアレックスの首を絞めたその暗殺者のような動き……アレクシアがそのように思ってしまうのも、また仕方のないことである。
「ごく、ふつうの、会社員っ!」
「あー……うん、わかった。そういうことにしておくね?」
「俺の国のこと、この国基準で考えるのやめろ。ほんとに」