#22
「えーっと、改めて。マリー・アンバーこと相葉茉莉です」
そこには修と茉莉、そしてアレクシアしかいない部屋だった。
「あー、賭けに従って、修さんは知識を求めましたので、先生に代わって私から説明させてもらいますね?」
そこにディビットはいない。
歯噛みしながら、彼女の持つという仮定が外に漏れないようにと部屋を用意したのだ。
「で、えーっと……アレクシアさん? は、付き添いってことですよね?」
「そのとーり」
同郷同士とはいえ、修におかしな術をかけられてはたまらない。アレクシアはそうした妨害を食い止めるという名目で、この場に座っていた。
「もちろん、ボクは誓って仮説を口外することはないよ。友人のカタリナにだって言わないよ」
そうアレクシアが口にする。好奇心の強いカタリナが羨ましそうな目をしていたのを思い出して、修は思わず苦笑いを浮かべた。
「あ、ちなみにボクあたま良くないから、言われたところでほとんどわかんないけどね?」
「同い年っぽいし、その感じ、わからないでもないですよ」
「……」
実はアレクシアは茉莉よりも年上なのだと伝えるべきか……修は少しだけ考え込む。
が、実際今言ったところで混乱しかないだろうと、後回しにすることにした。
「で、えーっと……仮説でしたね。私もよくわかんないですけど、とりあえず先生が言うにはですね。世界でも神様でも何でもいいんですが、意思があるものがいる、ってことを前提にして、聞いてください」
「天と地と人を統べる三界の神様のこと?」
「あー……修さん、これってキリスト教ですか?」
「キリスト教は父と子と精霊だよ。これはこっちの宗教だから、よく知らない」
「えっ、しらない?」
「俺たちは異世界から来てるから……違う国で、違う宗教ってあったろう?」
「まぁー、うん」
「世界が違えば宗教も違うさ」
「なるほどぉ」
宗教の話題だったが、わりとアレクシアは柔軟な思考を持っているらしい。そういうものかぁー、とすんなり受け入れる。
「続けていいですか?」
「どうぞ」
「で、あの、いきなりですけど。修さんはよくあるケータイ小説とか、SSとかで、異世界召喚、あるじゃないですか? 世界が滅亡しそうだー、異世界から勇者をー、ってやつ……あれ、どうして一般人なんだろうって、考えたこととかあります?」
普段なら絶対に考えないようなことを、茉莉は真剣な顔で問いかけた。
「えっと、あー……自己投影しやすいから、かな?」
こんな答えを待っているんじゃないということは重々承知していたが、修にはどうしてもその作品が売れるからだとか人気の高いジャンルだからだとか、そうした発想しか思いつかなかった。
「私もそう思います」
「え、えぇー……」
わりと真剣に悩んで、そして的外れな事を言ってしまったと軽く後悔しているさなか、茉莉が真剣にそれを肯定され、修は脱力感を覚えた。
「えっと、現実で起こった場合ですね? やっぱり呼ぶんならすごい人のほうが嬉しいわけじゃないですか。その人にラブしちゃったとかそんな話じゃなかったら、オリンピック選手とか、格闘技の世界チャンピョンとか、ノーベル賞の博士とか」
「あ、うん、わりと元も子もない言い方をすればね?」
危機に瀕しているんだから、当たり前だがすごい人を呼んだほうが助かる可能性が高いわけである。
「それをですね、わざわざ一般人ですよ。わりとのんきだなぁ、とか思っちゃうわけですよ。まぁ、その、説得力みたいなのをつけるために、すごい魔力がー、とか言うじゃないですか?」
「あ、ああ……」
「私そんなないらしいんですね」
「……そうなの?」
おそらくこの中で唯一、魔力について語ることのできるアレクシアに声をかける。
「え? あー、うん、一般人ぐらい?」
「あ、そうなんだ?」
「修さんもそれくらいじゃないですか?」
「おさむのはちょっと……低い、かな? 虚弱体質のひとっぽい感じで」
「あ、そうなんだ」
「こー、気配を消すのがクセになった暗殺者……的な?」
「え、ちょ、まって?」
「つぎいってみよー!」
「えっ、えぇー……?」
追求を許さないよう、アレクシアは茉莉に対して話を進めるよう催促する。
「えーっと……それでですね? 生まれつきそんなのあったところで、使わないわけですよね? いつ訓練するんだよ、と。まぁそれはおいといて。そんなものがあっても、やっぱり一体でも多く敵を駆逐してほしいわけですから、とっくに訓練している人のほうがいいんです。軍人とか」
「本当に元も子もない話だなぁ……」
「はい、それでですね。ここからがようやく本題の、仮説なんです」
茉莉はティーカップに注がれた緑茶で軽く喉を湿らせて、
「……神様でも世界でも、とりあえず彼らはよそから干渉されるのがすごく嫌いな性格をしている、というものなんです」
「はぁ……それは、どういう?」
「んー……修さんってすごい頭いいですよね? オセロの説明とかすごかったですし」
「それほど賢いつもりはないけど……」
「またまた」
「たまたま。ゼミで数学関係の研究やったりしてただけだから」
「そういうことにしておきますが……修さんの知識がどれだけ危険かとか分かってます?」
茉莉が首をかしげて聞いてくる。そのしぐさこそ雰囲気を重くしすぎないような可愛らしいものであったが、内容は、非常に重大なことであった。
「まぁ……すごい危険なことは分かってる」
「たとえば?」
「アレクシアにこれから教えるのって、まぁ、オギノ式なんだけど……これ悪用すると正室に子供を産ませないようにするとかそういうのできちゃうんだよね」
元は十九世紀日本で不妊治療として考案されたものだが、現在では避妊法として有名である。
だからこそ修は「妊娠する確率を上下させる方法」と言ったのだ。
「ほんと、こわいですねー。大奥ですよ、大奥。大河ドラマでドロドロですよ」
茉莉はわりとなげやりな感想を言う。
「ま、私じゃ思いつかないようなえげつないこと教えてるんだと思いますが……これがノーベル賞の博士とかだったらもっとすごいことになっちゃいますよね、核とか」
「核兵器はさすがに……」
せいぜい細菌兵器どまりだろうと言いそうになり、しかし、アレクシアが近くにいるのだと気付いて口を抑えた。
「なんかすごい武器だってことはわかったけど、それボクの近くで言わないでね? 聞いたらボクいろんなところに報告しなきゃならないし……ボク、おさむのクビを刎ねたくないなぁ」
「気をつける」
この世界、危険な武器を開発することのできる人間は基本、飼い殺しか皆殺しの二択だ。
――なお魔術師は危険物扱いなので、遠くに隔離である。
「ええっと、ラブラブなのはおいといて」
「そういう仲じゃないから」
「おいといてー。干渉されたくないから、すごい人は呼びたくないのです。というのが先生の考えた仮説ですね」
茉莉は両手の人差し指を立てて、ぴくぴくと動かしながら「勇者欲しいんだけど?」「うるせぇこっちくるな!」と一人芝居を始める。
「あと有名人なんて呼んじゃったら大事件です」
「…………」
確かに大事件である。
しかし当たり前すぎて、茉莉の言っている意味がいまいち理解できなかった。
「あ、なんですかその顔。これって割と重要なんですよ?」
ぷんすかという擬音が似合う怒りかたをして、
「大事件になっちゃうと、もしかすると異世界にいく方法が見つかっちゃうかもしれないんですよ?」
「……そうなの?」
「そこまで科学力あったかなぁ……?」
「ほら、仮説だけどタイムマシンが出来たじゃないですか」
「あー……あの、ちょっと話題になった」
「はい、それだと思います」
修が思い出したのは、光の速さで回転する云々といった系統のタイムマシンだ。本当にそれが可能かどうかはさて置くとして、理論は既に用意されているのだ。
「あとは実行するのみ、っていう理論って結構あるっぽいんですよね? で、実は私達の世界でも異世界にいけちゃう、でもそれを見つけてほしくなーい! っていうのが先生の仮説ですね」
「……異世界にいって、なにかメリットあるの? おさむ」
「俺の国の人口は一億超してるから」
「い、いちおっ……!?」
ああやっぱりそれで驚くんだ? とばかりに、開いた口が塞がらないアレクシアを見ながらそんな事を考える。
「驚くことですかね?」
「市場見た限りは食糧事情安定してるっぽいし、さすがにこっちにも七千万人ぐらいの人口はいるんじゃないかな? 中世ヨーロッパがそれくらいって、どこかで見たような気がするし」
「そんなにいないよっ!?」
「あれ、そうなんだ?」
記憶って当てにならないなぁ、と呟く。
「まぁ……これだけ人数多いし、移民とか侵略戦争とか、色々考えられるよ」
「日本は戦争放棄してますけどね」
「それでもぜったいにみつけられたくないねっ!」
人間の数は純粋な戦力である。
戦争でマンパワーの恐ろしさを侮ってはいけないのだ。
「異世界って夢とロマンがありますよね。という話なだけですよ」
「おさむ! なんかこの子怖いんだけどっ!?」
「大丈夫、俺も怖い」
茉莉は「むぅ」と頬を膨らませる。
「ま、怖い怖いだから見つけられたくない。あと、せっかく作った自分の世界に干渉されてメチャクチャにされたくないから、一般人を選んじゃうんですね」
「なるほど」
「で、それだと召喚した勇者として役立たずだから、チートをポンって」
「あー……」
なんとなく北欧系の神様を思い浮かべて、修は思わず納得したように声を上げた。
「特に気まぐれにヤバい能力与えるあたりが神様っぽいわ」
「ですよね」
「おさむたちの神様ってそんなにいい加減なのっ!?」
「ええっと……そのへん、どうなんですかね?」
「八百万っていうからなぁ、おかしな性格の神様がいてもおかしくはないだろう」
なお、日本の神様の大半は祟り神や荒神である。
だからお祭りでその気勢を鎮めることが多く、日本人がお祭り好きとして認識される要因でもあるのだ。
「日本人はたいがい無宗教ですけどねぇ」
正確には都合のいいときに都合のいい神様にお祈りするという無節操な宗教だ。別に無神論者のように神様なんていないと言っているわけではないのである。
「ま――ここまで仮説ですけどね」
茉莉はひと段落ついたようにティーカップに口をつけた。
「あ、質問とかあります? 答えられませんけど」
「答えられないんじゃあ、質問するだけ無駄かな」
「楽チンでいいですねー」
彼女は紫の巾着袋をテーブルの上に置いた。
「で、ですね。修さんって頭いいですし、察してくれてると思いますけど。帰る方法ってすごく簡単なんですね、仮説どおりなら」
「簡単?」
「はい」
巾着の中から、彼女は一組の札束を取り出した。
タロットカードだ。
「やることやったらポイされちゃいます」
「えっ」
「仮説ですけどね」
茉莉はタロットカードをテーブルの上にバラバラにするように広げて、それをぐるぐると両手で混ぜ合わせ始める。
「こっちきてから占いが怖いくらい当たるようになっちゃって。ほんとうはこんなことしなくたって、なぜか正位置とか逆位置とか出るようになっちゃったんですよ」
さらりと怖い事を言う。
「じゃ、何で占います? スリーカード? ダイヤスプレッド? ケルト十字?」
「どれも知らないから、簡単なので」
「じゃぁ、スリーカードですね」
茉莉は上から三枚のカードを、真ん中、左、右の順番で並べていく。
「まずは現在の状況です」
茉莉がめくった真ん中のカードは、木にさかさまにされて吊るされている男。
「吊るされた男の正位置ですね。試練、身動きできない状況」
「あー……」
「必要な行動は」
左のカードをめくる。
山羊頭でボロボロのローブを着た半人半獣と、一組の男女が描かれたおどろおどしい絵柄のタロットが現れる。
「悪魔の正位置ですね。これ、悪い意味の言葉がたくさんあるんですよ」
「え、たとえば?」
「裏切りとか、嫉妬とか。あとエッチな事」
「おさむに必要な行動はえっちなことなんだ!?」
「俺にどうしろと!?」
意味が分からない、と。修はそんな結果を出した茉莉を恨めしそうに睨む。
「冗談です」
「冗談でもやめて」
「あ、はい。じゃぁ真面目に読み解きますと……私たちの聖書とかだと、悪魔って知恵と火を授けたってことになってるじゃないですか。それで、悪魔のカードには科学とか、知恵とか、そういう意味もあるんです。逆位置だと、思い切った行動、とか」
「へぇー……」
「つまり、おさむはもっとかがくチートしろってことだねっ!」
「正位置ですから思い切って科学チートしろって言ってるわけじゃないですけどね」
茉莉が真面目に釘を刺す。
「最後のカードはその結果です。世界が出たら大団円ですけど」
茉莉が最後のカードをめくる。
「……あー」
「えっ、なに」
「死神の正位置です」
大きな鎌を持ったガイコツの絵柄を見せられて、修は顔をしかめる。
「ねぇ、悪いカードなの? 死神、っていうくらいだし……」
「悪くはないですよ? これは終わりを表すカードです。それは別に命だけってわけじゃなくて……ええっと、いい事も悪いことも、突然終わっちゃう、って意味ですね」
「えっと……おさむ、急に帰っちゃうってこと?」
「ですね。先生の仮説どおりなら、やることやったら、いきなり元の世界、なんてありうるってことですね……私たちが、来たときみたいに」
「……そっかー」
それはそれで寂しいなぁ、と。アレクシアはすこしだけ、悲しそうな顔をした。
「あ、でもこれ心変わりって意味もあるので、帰るのやめちゃうって可能性も」
「だいなしだよっ!?」
「だいなしでいいんです」
茉莉は三枚のカードをまとめて、束の一番上に置く。
「タロットなんて解釈でいろいろ変わっちゃいますもん。いいほうに考えておいたほうがずっといいんですよ」
そして一番上のカードをめくって見せる。
「ほら、タロットも言ってます」
太陽の正位置を見せ付ける。
「……あれ、さっき一番上に、死神、置かなかったっけ?」
「ふしぎですよねーまほうのせかいー」
茉莉は何もかもを諦めたかのような虚ろな瞳をして、そううそぶいた。
「ところで、茉莉さんはこれからどうするんですか?」
「あ、そうですね」
茉莉はタロットを十字に並べる。
「これがダイヤスプレッドです」
下のカードをめくる――恋人の正位置。
「私には今、二つの道がありますね」
左のカードをめくる――節制の逆位置
「問題になるのは感情のコントロール。あと、知恵」
右のカードをめくる――吊るされた男の正位置。
「このカードは私へのアドバイスですが……吊るされた男は、ボランティアとか、相手に尽くす、と言う意味もあります」
最後の一枚、頂点のカードは――審判の正位置。
「その結果として、解放されるようです。再出発かな?」
一人だけ納得したようにうなづく茉莉。
「……つまり、どういうこと?」
セリフだけでは全てを推察することができない、タロットの事をまったく知らない修は、その結果がどういうことなのかを問いかけた。
「修さんに尽くせば、この世界から解放されるんでしょうね。ディビット様か、私の先生に尽くしたら、この世界で再出発するってことなんでしょう」
彼女はカードをまとめる。
「知恵がたりないっていうのは、たぶん、この世界の常識とかです。私、保護されてからはずっと占いだけやってて、外に出たことないんですよ」
「なるほど……」
最近の小学生は頭がいいなぁ、と。
「あ、アレクサンドラさんも占ってみます?」
「アレクシアでいいよ? あと、ボクは別にいいかなぁー? 困ってるわけじゃないし」
「ですかー。じゃぁ修さんをもう一回だけ占いましょう」
「えっ?」
「恋愛運をっ!」
「小学生かっ!」
「小学生ですよ」
もう、しょうがないなぁー。と茉莉は笑う。
「修さんを見ていると、なんとなく、感じるんです……あ、これ恋愛運すごく面白いことになってるぞ、って」
「面白半分かよっ!」
「占いってそこから始まると思うんですよねー」
よくシャッフルしてもいないタロットを並べていく。それも、異様に、複雑に。
「ケルト十字です、これ、すごく詳しく分かるんですよ」
「アレクシアからもなにか――!」
「いーんじゃなぁい? ボクも興味あるなぁー」
助けを求めたはずのアレクシアも、にやにやと。
「――味方はいないのかっ!」
修は思わず天を仰ぐ。
「ええっと……現在の状況はですねー、愚者です」
「おさむはバカなの?」
「愚者はバカって意味じゃないんですよ。はじまりって意味ですね。たくさんの可能性があるっていう……あ、変わりやすい状況みたいですね。月が出ました」
「おー、まだ決まってないってコト?」
「ですね。それで今の感情はー……隠者? 一人になりたいんですかね?」
「今まさしくそうだよ」
「おさむ、おさむ。ひとりになったところで、占いはつづくよ?」
「分かってるよちくしょう!」
「修さんの分かってない感情は……隠者ですね」
「君のタロットには隠者が二枚はいってるのっ!?」
「まほうのせかいでふしぎはっけん……っと、これはプラトニックラブですね。心当たりあるんじゃないですかー?」
「ないよ」
「えー? アレクシアさんと抱き合ったりしちゃったりして満足するようなこととか……」
「……ないよっ!」
茉莉はちらりとアレクシアを見る。
アレクシアはただ、にやり、と笑みを浮かべた。
「なるほどぉー!」
「ちがうからー!」
残念ながら修に否定する権利はなかった。
「で、近しい過去に……運命の輪ですか。ターニングポイントですから、こっちに来たことでしょうね……近しい未来に、恋人、選択を迫られるでしょう。二股かな」
「甲斐性あるなら何人囲ってもいいとおもうよー?」
「さすが中世ファンタジー!」
「やめてっ!?」
「正妻と妾はきちんと選択しないとねぇー?」
アレクシアはにやにやしながら修に忠告した。
「赤毛の占いでも女難がでたしねぇー? みっつも」
「わぁー! すごいですねぇー!」
「もう……勘弁してくれ……!」
「じゃぁ好きにしちゃいますね。ええっと、現在の立場は……吊るされた男ですね、これはさっきと同じです。次は周りの人、というかたぶんこれアレクシアさんの事になるんだと思うんですけど……」
「えっ?」
修をいじって楽しんでいるところで、急に自分に矛先が向けられたことに思わず素っ頓狂な声を上げる。
「力――勇気や力です。ヒーローとか」
「ほっ……」
「と一息つくのは早いですねー? 激しい愛情という意味もあります」
「ええっ!?」
「手なずけるとか」
「あ、そっちは納得」
「納得しちゃだめだろ!?」
だが、アレクシアに手なずけられていないと否定はできない……あまり突きつけられたくはない事実であった。
「この状況での修さんの望みはー……あっ悪魔」
「……へぇー」
「ふぅーん」
「ニヤニヤしながら俺を見るなぁー!?」
「ま、それはそれとして。最終的に修さんはどうすればいいのかってことなんですが……星、夜明けは近いようです。問題点を一つ一つ挙げて、その共通点を北極星みたいに、目印にするのがいいでしょう」
「さ、最後はまともだな……」
「だれもいじわるな結果を出したくありませんよ。占いって言うのは、これからどうすればいいかっていう相談みたいなものなんですし」
ただ、と。
「問題点を解決できないと、いつか後ろから刺されちゃいますよ?」
無造作にめくったタロットカード――死神の正位置を修に見せつけながら、そんなアドバイスを送った。
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