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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

勇者様、ご職業は?

作者: モルト

 魔王を倒すべく、千年ぶりに勇者が召喚されることとなった。

 城の中庭にさながら時計の歯車のように精密かつ複雑な魔法陣が描かれ、そこに向かって国中から選りすぐられた腕利きの魔導師たちが膨大な魔力を注ぎ込んでいく。やがて魔法陣は白い輝きを帯び、時空を超えて勇者が現れる。


「おお!」


 召喚に立ちあっていた者たちは、思わず声を上げた。高貴な生まれを思わせる白い肌と筋骨隆々とした逞しい身体。特に腕を中心とした上半身は筋肉で山ができるほど鍛え上げられていて、拳にはその壮絶な鍛錬の証であるかのように包帯が巻かれている。


「勇者様、このたびはいきなりの召喚、失礼いたしました」


「……うん」


 いきなりのことであると言うのに、勇者は特に何も言わなかった。彼は巫女である姫の言葉に「ああ」や「うん」などと実に少ない言葉数で応える。その様子は周りに居た王国の人間たちにとって、まさに驚きであった。召喚と言う非常識な事態であるにもかかわらず、あれほど落ちついているとは――。勇者の大人物ぶりに、否が応でも期待は高まる。


「つまり……俺は、世界を滅ぼそうとする魔王を倒すために、呼ばれたんだね? それで、倒せば元の世界に帰してくれると」


「そういうことです。私の拙い説明でそれだけ理解なさるとは、さすがです」


「前から……想像してたから」


 ――勇者は予知能力を持っていたのか!

 姫は内心で舌を巻いた。もし彼が魔王を倒せたら、その後もずっと王国のために働いてもらおうと思っていたが……それは上手く行かないかもしれない。彼女の中で、勇者の評価がぐぐっと上がる。


「で、では早速ですが王と謁見していただけますか? より詳しい説明はそちらの方で」


「……頼む」


 勇者と姫は連れたって玉座の間へと向かった。するとその途中、彼らは騎士団長の一行と出会う。王国騎士団は勇者に頼らず魔王を討伐すべきだと主張するタカ派の総本山とでも言うべき存在で、中でも騎士団長は反勇者召喚派の急先鋒だった。


「姫、そちらの方はもしや……?」


「ええ、勇者様です。儀式は先ほど無事に終了いたしました」


「ほう、確かになかなか鍛えているようだが……覇気が感じられませんな。このような者に頼ろうとするとは、我が王国ながら情けない!」


 騎士団長は大げさな仕草でそう言うと、そのままスタスタと歩き去って行ってしまった。姫は思わず頬を膨らませる。


「まったく、何て言い草なのでしょう! 勇者様になんて無礼な!」


「大丈夫……気にしてないよ。あれぐらい、受け流せなきゃやってけないから……」


「もしかして勇者様、何か差別でも受けておられたのですか?」


「そんなことはない。ただ、みんなで集まって議論する場所があってね……。そこでよく激しい論争になることがあるんだ……。そ、そういうときは軽く受け流すぐらいの度量がないと、やっていけないんだよ……」


「素晴らしいですわ、御心が広いんですのね」


「いや……大したことないよ」


 またしばらく歩くと、ようやく玉座の間の扉が見えてきた。姫と勇者がそちらに近づいていくと、脇に立っていた衛兵たちがどうぞと扉を押しあける。


「そなたが勇者か。苦しゅうない、顔を上げよ」


「……はい」


「ほほう、わしを前にしてその態度とはなかなかの大物よ。そなた、向こうの世界でもそれなりの立場にあったのか?」


「………………ニートです」


 ニート(壁殴り代行業)が伝説となった瞬間であった。


鍛えあげられた上半身と拳→壁ドン、床ドンの結果

突然のことに動じない態度→人見知りでどもっていただけ

想像してた→異世界行きたいなという妄想

嫌味を言われても平気→某掲示板で鍛えたスルースキル

態度がでかい→マナーがわからないだけ

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― 新着の感想 ―
[一言] 中々、面白かったと思いますが、最後の説明を小説内にて書くべきだと思います。 後書きは、説明じゃありませんので。 そして、文章リズムがしっかりしていないので、途切れ途切れの感情が伝わり難い文…
2013/07/04 20:21 退会済み
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