日常的身体格差
暗すぎるためここがピンク色の空間であることは視認できない。私はこの退屈な時間が大嫌いで、いつか王子様が私のことを...とか妄想に耽るばかりだ。
不意に天井が開く。私は「あぁ、またか」...と、気を落とす。私はここからつまみ出されたかと思えば身を削って働かせる。仕事が終わればまた、暗いピンクの空間に閉じ込められてしまうのだ。そんな毎日なので生きるのすらもを拒みたい。
しかし、そんな私にも出会いが訪れる。いつもみたいに天井が開いたのに、私はつまみ出されることはなく、その代わり、フルーツのいい香りで可愛らしい服を纏った女の子がこの空間に優しく置かれた。
夢に見た王子様ではないものの、いつも1人を強いられていた私はそれからの日々はとても楽しいものだった。ここに来る前はどんな場所にいたのかだったり、そこで見た色々なことだったりを聞かせてくれた。逆に私も今までのことを色々話した。こうして、仲を深めた日々は間違いなく充実していた。
だけど私のそんな日々は長くは続かなかった。私は気づいてしまったのだ。私はつまみ出される度に体が小さくなっていくのに彼女はつまみ出されても全く変わらず戻ってくることに。
ある日、私は仕事を終えたのに定位置には戻されず机の上に放置された。すると、彼女もつまみ出され、そのまま私たちの持ち主以外の人の手に渡る。
その時の持ち主の嬉しそうに自慢する表情を私は忘れることが出来なかった。