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1-2.遭難者 (1)
気が付くと、真っ暗闇の中で一人で佇んでいた。
上下左右もあいまいで、自分一人では、どうすればいいのか全く解らなかった。
すると暗闇の中にポッと光が現われた。
光がだんだん近づいてくる。するとそれは少年のようだと気が付いた。
サンドベージュの肌に美しい金の髪、真っ青な明るい宙色の瞳。
彼は手を差し伸べ自分に近づいてくる。
近づくにつれ、その少年の額に痣か刺青のような法印が刻まれているのを見た。
あぁ、この手を取るべきだ。だけど私は怖い。きっとこの人は大きな力を持っている。
だから「私」が手を取っていいのか…とても不安になる。
彼は辛抱強く、手を差し伸べたまま優し気な笑みを浮かべて待っている。
やがて、私も意を決して手を取ろうと腕を伸ばした。
二人の指先が触れ、
そのとたん、彼は砂になって暗闇に溶けた。