1-1.砂漠のオアシス (1)
蒼天が地平線まで続く。視界下側には白い地平線のみ。
天井には白い太陽が強い日差しを放っていた。
その空を一騎、白鷹が西に向かって飛んでいた。
乾いた風を羽に受け、熱気の立ち上る砂の大地を、ガラスのような黄色い目で見下ろす。
見渡す限りこの乾いた大地に獲物がいるはずもない。
その砂漠の地にわずかに動く影があった。
鷹の目で焦点を合わすと、やせ細ったサンドホーンに跨る小柄な人影が見えた。
騎乗する人物は、黒い大きな日よけの布をかぶり、ぐったりと臥せっているようだ。
白鷹は、甲高く鳴き声を上げると、サンドホーンがわずかに首を向けた。
いったんサンドホーンの目の前に急下降してから、再び上空へ上がる。
騎乗の人物は臥せったままピクリともしない。
くるりといったん旋回してから、一直線に西へ飛ぶ。
サンドホーンはいったん迷ったようだったが、鷹の後を追うようにして、ヨロヨロと歩き出した。
白鷹は迷う様子もなく、一直線に西へ飛ぶ。
やがて正面に、きらりと長く尾を引く光が放たれた。
空と砂地の間に、緑の点が見えてくる。近づくにつれ、緑の点はしみ状に広がり、小さな水辺を縁取る木々であることがわかる。
そこが彼の目指すところ、主のいる場所だ。
さっきのサンドホーンもやがてたどり着けるだろう。