表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

純文学・その他

獲物

電車の中、俺は今日もターゲットを探す。

なるべくおとなしそうな女がいい。

たとえ気付かれても、声を上げないような女が……。

――いた。

上品そうなワンピースを着て気の弱そうな顔をした三つ編みの女の後ろに、俺は立った。

女は吊革に掴まっている。

俺は、左手で吊革がぶら下がっている金属の棒に掴まり、右手でスマホを持って、ネットニュースを読んでいる振りをし始めた。

そうして、女の尻に、俺の俺をそっと触れさせる。

ポイントは、いきなり強く押しつけないことだ。

女に気付かれないように、あるいはもし気付かれたとしても、勘違いかもしれないと思われるくらいの力加減が大事なのだ。

柔らかいがプリッとした弾力もある感触が心地好く、少し硬くなるのを感じる。

同時に、流し見していてちゃんと読んでいなかったネットニュースの記事の一つに、目が引きつけられた。


「ラブホテルで、局部を切り取られた男の死体が発見」

「男には性犯罪の前科が」


うわ、怖……。

俺は思わず身震いした。

その瞬間、線路がカーブした場所で電車が揺れ、俺は女の方へ少し倒れてしまった。

女の身体がピクッと反応する。

気付かれたか……!?

しかし、女は特に声を上げるでもない。

何かを耐えるようにやや俯いて、微かに震えているようにも見える。

俺は少し大胆になって、腰をゆっくりと上下に動かしてみた。

だがやはり女は黙っている。

ポシェットと言うには少し大きめのショルダーバッグの紐をぎゅっと握りしめ、何かに耐えているようだ。

――いいぞ。

興奮が高まり、勃ってきたのが分かる。


最近は生意気な女が増えた。

「何すんのよ!?」

などとキーキー騒いだり、こっちの顔写真を撮ろうとしてきたりするのだ。

その点、今日の女は優秀だ。

逃げるように少し腰を横にひねったりするところが、むしろ俺の嗜虐心を煽る。

――この瞬間が堪らない。

それから電車を降りるまで、俺は女の尻や太ももの感触を楽しんだ。



電車を降り、帰り道をしばらく歩いたところで、後ろから声をかけられた。

「あの……。あの、すみません」

振り返ると、知り合いではない女が立っていた。

少し考え、思い出す。

先程の、電車の女だ。

――俺の後をつけてきたのか? 金でも要求するつもりか?

俺はとても嫌な気持ちになった。

だが、

「すみません、あの、あなたにお願いがあるんです」

と言う女の様子を見れば、どうやらそうではないようだ。

少しだけ話を聞く気になった。

「何だ?」

「あの……、一度だけでいいんです。私と……寝てくれませんか?」

「は?」

――何だ? 欲求不満か?

俺が触っている間、女は嫌がっているように見えたが、実は密かに喜んでいたということか?

興醒めだ。

俺は深く溜め息をついた。

「あの、うち、色々厳しくて……。私、その……まだ処女なんです。でも友達はみんな彼氏がいるし、私だけ話に入れないことがあって。だから、その……そういうことも、一回は経験してみたいっていうか……」

「俺には関係ない」

「え?」

女は呆然とした。

断られるとは夢にも思っていなかったようだ。

舐めてもらっては困る。

俺は誰かの思い通りに動くような男ではない。

「あ……、そう……ですか……。……じゃあ、他の人を探してみます……」

女は肩を落として、俺に背を向けた。

――だが、あの尻は悪くなかったな……。

「待て」

俺は女を呼び止めた。

先日、妻は娘を連れて実家へ帰ってしまった。

家に帰って一人で過ごすのも飽きてきたところだ。

軽く遊んでやってもいいだろう。

「来いよ。少しだけなら付き合ってやる」


「あの、ゴムは付けてもらえますか?」

寝室の隅にバッグを置いた女が、こちらに背を向けてバッグを漁りながら言った。

「はあ? んなもん着けたら気持ち良さが減るだろ」

俺は手っ取り早く女のスカートをめくり、ストッキングと下着をまとめて引き下ろした。

後ろから女を抱きしめ、服の上から女の胸を揉む……ブラジャーの感触が邪魔だ。

「あ……、嫌……やめ……」

女が身をよじる。

もっと優しくしてもらえるとでも思っていたのか? 馬鹿が。

「こ、子供ができたらどうするの!? 責任取って結婚でもしてくれるわけ!?」

キャンキャン喚く女は好きじゃない。

「そんなヘマはしない。中に出さなきゃいいんだろ」

服に手を入れ、ブラのホックを外す。

「ちょ、ちょっと……! じゃあ、せめてあなたもズボンを脱いでください。私だけ脱がされるの、恥ずかしい」

「はあ?」

妙なところを気にするんだな、とは思ったが、元々脱ぐつもりではあったので、わざとゆっくり脱いでやった。

顔を上げると、女がこちらを向いていた。

顔が近い。

キスをしてやろうとした時、下半身に違和感があった。

慌てて見ると、女がゴム手袋をした左手で俺のを握っている。

――何だ? ゴムのことを何か勘違いでもしてるのか?

そう思った次の瞬間、女は左手にギュッと力を入れてきた。

「いっ……てえ! 何するんだ!」

俺は女の顔を睨んだ。

女は俺を見返し、フッと鼻で笑った。

直後、腹が爆発したかと思うような激痛が走った。

「……!?」

声も出せない激痛のなか、俺はじっとしていられなくて転げながらのたうち回る。

ジョボジョボと水の流れる音がして、赤い液体が辺りにどんどん広がっていった。

――一体何が起きたんだ?

暗くなっていく視界の中、女が無表情に俺を見下ろしていた。

その右手には、いかにも重そうな黒い大鋏があった。

そして左手に握られていたのは、俺の…………

ちょっと触るくらいなら許されるなどと思っている男の局部など、全て潰れてしまえば良い。(個人の感想です)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ