膝枕をされたい博士と助手の話
「うぅー、もう疲れたよ。」
僕と博士しかいないこの研究室では、博士の情けのない声が響く。
「そうですね……、たくさん実験をしましたから。それじゃあ、ちょっと休憩をしましょうか。」
「そうだな、そうしよう。」
そうして、僕は少し離れたソファーに座る。
すると、何故か博士は僕の膝に頭をのせてくる。
「……一体何をしているんですか。」
「えっ?見たら分かるだろ。膝枕だよ。」
「それぐらい見たら分かりますよ。僕が言っているのはなぜあなたが僕の膝を枕にしているかって言う事です。」
「そこに君の膝があったからだよ!」
「そんなどこぞの登山家のような事を言ってないで、ちょっとどいてくださいよ。」
「どうして。」
「どうしてって、邪魔だからですよ。」
「邪魔ってそんなストレートに言わないでよ。私泣いちゃうよ?」
「泣いても良いですから、どいてください。」
「むぅ、釣れないな。はぁ、仕方ないか。」
「やっとどきますか。」
「……」
「なんでどかないんですか。」
「……あんまり寝心地は良くないな。」
「……勝手に人の膝を枕にしときながらその言いよう。それに男の膝枕に寝心地を期待しないでくださいよ。不満ならちゃんと枕を使って寝てください。」
「それは嫌だ。ここで寝る。」
「……なんでそんなに頑なにここからどかないんだろう。はぁ、……何分になったら起こしたらいいですか。」
「ここで寝ていいのか!」
「えぇ、というかそもそもあなた起きる気無いでしょうが。」
「それはそう。じゃあ、40分になったら起こしてくれ。」
「はいはい、分かりました。」
「じゃあ、おやすみ。」
「はい、おやすみなさい。」
そうして、僕は博士が起きるまでここから動くことが出来なくなってしまうのだった。
……なんか、こういう事、前にもなかったっけ?
皆さんこんにちわ 御厨カイトです。
今回は「膝枕をされたい博士と助手の話」を読んでいただきありがとうございます。
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