【第3話】ここ、どこだ
「ガアアアアアア死ぬ死ぬ死ぬイタイイタイイタイアアアアアやめろおおおおお」
「…先輩。ダサすぎて見るに耐えないんで黙ってください。」
「撃たれたあああああ死ぬ死ぬし「いっそ死ね!!」
ゲシッと腹に鈍い痛みが走る。慌てて目を開けると、アリサ一等兵がゴミを見る目を俺に向けていた。奴に腹を蹴られたらしい。
「エド先輩、正気になりましたか?」
「ああ?アリサ後輩か?」鈍る頭に血を送り、辺りを見渡す。「いや、まだ正気じゃないな」
テントで銃殺されたはずの俺は、見慣れぬ森の中に倒れていた。何がおきた?
「アリサが共和国兵を突破して、また森まで逃げてきたのか?」
「ははは、そんな馬鹿な。」だよなあ
「じゃあ、ここはどこだ?」
「知りませんよ。共和国兵に撃たれたと思ったんですが…」
「気づいたらここで倒れてたってことか」
「はい。先輩より30分程早く目覚めました。」なぜかどや顔を向けてくる後輩。くそっ。かわいいぞ
「そういや、さっき俺を蹴ったか?」一応先輩であるはずのこの俺を。
「蹴ってません。」アリサがフイッと目をそらす「記憶が混同してるのでは?」
「そうか」それなら問題ないな。
「とりあえず、現状確認だ」
「それなら大体済ませました」
マジか。はえーよ後輩。
「装備は、我々が殺される寸前まで持っていたものがそのままあります。私を犠牲にして先輩が拾った装備バッグもありました」
なんか、根に持ってるみたいだ。
「情報端末で確認しましたが、ここは我々が作戦行動をとっていた場所からかなり離れている可能性があります」
「何?そういうことだ?」
「端末内に現在地の地図情報が存在しません。また、端末がオンラインネットワークから切り離されています」
ますます分からん。あの状況から我々だけが遠くに飛ばされたということか?
「とりあえず、半径500mの地形を端末にスキャンさせています。まもなく完了するかと」
「そうか。ありがとう」
何が起きたのかはまったく分からんが、装備バッグがあるのはありがたい。これで最低限のサバイバル活動は可能だ。
「その情報端末、確か喋ってたよな」
「喋ってましたね」よかった、俺の幻聴じゃないようだ。
「もう喋らないのか」
「喋りません。何度か話しかけたんですが、うんともすんとも」
一体なんだったんだろう。
「分からないことだらけですけど、まず先輩は体を洗ってきてください。全身血まみれで超不潔です」アリサはいつの間にかきれいな隊服に着替えている。「近くに小川があります。」
「俺の着替えは?」
「装備バッグには着替えが一着しかありませんでした。」
じゃあお前が来てるの俺の隊服じゃねーーーか!!!こいつ本当に後輩か?