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一兵卒でも建国したい!  作者: とんび
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【第2話】燃える帝国軍

駐屯地に戻った俺が見たのは、ごうごうと燃える帝国軍のテントと、帝国兵を撃ち殺して回る共和国軍の姿だった。


「くそっ。なんだってこんなことに」


「敵陣から1キロなら迫撃砲の射程内。まんまとやられましたね」


なんでこいつは自軍が壊滅してるのに冷静なんだ。


敵兵に見つからないよう隠れながら帰ってきたため、二人ともボロボロへとへとだ。


森に身を隠しているが、いつ見つかってもおかしくない。


「武器は何がある?」


「属性弾各種10発。気絶弾10発。アサルトライフルが200発。」


「多くね?」任務は夜間警邏だぞ。


「今は褒められるべきでしょ」


たしかに。


俺は電撃弾5発。アサルトライフル100発。ソニックグレネード2つ。


「さすがに無理です。」だよなあ「陣地奪還なんて命じないでくださいよ」


こいつ冷静すぎるだろ。俺はちょっと絶望してるし、割りと泣きそうなのに。


「駐屯地および当初の任務は放棄。主力の戦車部隊との合流を第一目標とする。」当初の計画では戦車擁する主力部隊と、森を抜いた我々との挟撃を行う作戦であった。


「おお、ちょっと軍属っぽいです。」おめーも軍属だよ


「いや、無理でしょう。どうやって合流するんですか。」


「主力の進路は情報端末でわかる。あとは予備バッテリーさえあれば徒歩でも合流できるだろう」残りのバッテリーではとても合流まで持たない。あわよくば軽量発電機も確保したい。


「つまりはあの燃える我が軍からバッテリーをとってくるのが最優先任務ですね?」


「そうなるな」タバコもとりに行きたいと言ったら怒るろうなー。


幸いまだ共和国兵は帝国兵と交戦中だ。いまから帝国兵が押し返せるとはとても思えないが、まだ、帝国兵に注意が向いている。


今ならこっそり自分のテントに近づくことは可能だろう。目当ての装備は全て俺の装備バッグの中だ。


「森に隠れつつ、迂回して俺のテントに近づく。ついてこい」


絶え間ない銃声により、多少の移動音はかき消える。あとは姿を見られぬよう、ゆっくり急いでテントへ近づく。


次々数を減らしていく帝国兵に内心めちゃ焦りながら、何とかテントに入ることができた。まだテントが燃えずにいてくれた幸運と、敵兵をひきつけてくれた同胞に感謝する。


「アリサは出入口の確保を頼む」


「了解!」


勝手知ったる自分のテントだ。すぐに装備バッグを確保できた。


「ダダダダダ!」しかし、順調なのはそこまでだった。「キャアアア!」


「動くな」後頭部に銃口の気配を感じる。


「テントの壁を背にこちらを向け。手は頭の後ろだ。」


言われた通りにする。武装解除されないのはまもなく殺すからだろう。


共和国兵はフル装備のが3人。武装があってもとても突破できるとは思えない。


アリサも俺の隣に連れてこられた。足を打たれているようで、立てずにいる。


「情報端末のロックを解除しろ」なるほど。あれには我が軍の極秘情報てんこ盛りだ。


「解除すれば楽に殺してやる。」


そこは命だけは助けてやる、だろ!


共和国軍ってこんな血も涙もないやつばっかりなのか!?


「パンッ」共和国兵がアリサに発砲した。「ウグッ」


「時間をかけるならまず女を苦しめて殺す。」


「待て待て待て。わかった。解除する」こいつらやべえ、野蛮すぎる。


情報端末は生体認証だ。俺みたいな下っ端の端末じゃ大したことはわからんと思うが、言われた通りに解除する。


「エド…先輩ッ…」彼女が痛みに顔をしかめながらこちらを見る。その表情が感謝のものなのか、それとも非難のものなのか、俺には想像する時間もなかった。


【所有者情報を確認しました。】ロックを解除された端末が突然しゃべりだした。【所有者:エドウィン・ハルバード。階級:伍長】


【付近にアリサ・グレイスフィールドの生体反応を確認。階級:一等兵、脈拍低下。要治療】


隣のアリサのことも分かるらしいが、こんな機能は聞いたことがない。いつもなら端末の操作が可能になるだけでしゃべったりはしない。なんだこれは?


共和国兵も想定を超えていたようで小声で相談している。


その間も端末は喋り続ける。


【アリサ・グレイスフィールドの情報が不足しています。生体情報を追加してください。】


そういうと、端末は指紋認証の画面に切り替わった。


今がチャンスだ。生き残るにはどうすばいい?ライフルを使うか?いや奴らは銃を手にしたままだ。背中のライフルを使うには時間が足りない。端末の言うことをきくか?あいつらと交渉?喋る端末の使い方とかでハッタリかますか?


「ありがとう。もう十分だ。」だめだ。共和国兵がこちらに銃口を向けた。「では、死ね」


ヤバイヤバイヤバイヤバイ。迷う時間はない。俺はアリサの手をつかんで端末に叩きつけた。「アアアアッ」後輩が痛みに声をあげる。アリサの手は自身の血に濡れており、端末に血が塗られる。


頼むぞ情報端末なんとかしてくれ。何年も軍に奉公したんだ。たまには軍支給設備に救われても文句はないだろ!


【アリサ・グレイスフィールドの生体情報を確認しました。これより2名を対象に人格保護プログラ「ダダダダッ」


端末の声をかき消すように銃声が鳴り響き、俺の視界は一面真っ赤に染まった。


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