他人に伝わらない時の悲しさ
今日の文芸部には昨日休んだ同級生の新崎万桜がいます。
万桜は私より背は低くて、髪色が少し明るいです。あと胸が大きいです。しかし偉い人は言いました、貧乳はステータスだと。
それといつも通り、馬越鈴鹿部長がいます。
部長は話さなければ美人なんですけどね。話し始めたら訳の分からない人です。
言い忘れてましたけど、万桜もかわいいですよ……喋らなければですけどね。
「なんか咲希ちゃん疲れてるナッシー!」
そう、万桜は毎日語尾を変えてくるのです。今までで驚かされたのはティラノ剣山の~ザウルスですけど、今日もなかなか著作権的に危なさそうです。
「まあ、扱いにくいのが約二名いるし」
「間違えないナッシー!」
「じゃあやめろよお前の語尾のテンション疲れるんだよ!」
「咲希、落ち着きなよ、ここは文芸部なんだから……私のミステリー小説を読め」
「あんたはいい加減SF書けよ、何でその設定から他のこと始めるんだよ」
「他人と被るじゃん」
「それが他人と被らないのは、プロットの段階で面白くない事が理解できるからだよ!なろうファンタジーじゃないんだから、ミステリーとか恋愛なんだから、もうちょっと考えろよ、とってつけた様なオリジナルじゃなくてしっかり設定練れよ」
「なるほどナッシー!部長の本が面白くない理由が分かったナッシー!」
「まあ、万桜とりあえず一回読んでみて、ミステリー好きなんでしょ」
五分後
「ゲロ以下の臭いがプンプンするナッシー!」
「ネタにネタを混ぜるな!わけがわからない事になるから」
「それじゃあ、普通のSF書きますか」
ようやく部長もやる気になったらしい。
五分後
「あああああああ」
部長がパソコンを持ち上げたので私が止めます。
「キーボードクラッシャーになるつもりですか」
「何も出てこなくって、というか銀河英雄伝説ってどうやって書いてるの、細かすぎるって」
「銀河英雄伝説は諦めましょう」
「というか、リメイク版のヤンウェンリーなんか二枚目感というかおじさん感がなくなってて悲しいんだけど」
私の背中を叩きながら私に語ります、今思いましたが、今どきの女子高生の大半は旧銀河英雄伝説なんて知らないでしょうね。
「それに、DVDも段々擦り切れてて、変な音がなるし、時々止まるしーーーー」
なんで私は先輩の愚痴を聞かないといけないのでしょうか。
まあ、いつも通りの文芸部ですけど。