表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放聖女と元英雄のはぐれ旅 ~国、家族、仲間、全てを失った二人はどこへ行く?~  作者: 日之影ソラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/50

18.グレア国営大図書館

 宿屋を出る手続きだけ済ませて、私たちは街へ繰り出す。

 ここは大陸の東にあるルーグレアという国。

 主要都市であるグレアの雰囲気は、少しエストワール王国に似ている。

 三階建て以上の高い建物が多くて、近代的な造りをした街並みだ。


「ノアは行きたい所があるんだよね?」

「うん、グレア国営大図書館。この国で一番大きな図書館で、なんと五千万を超える本が貯蔵されているんだよ」


 以前に話を聞いてから、ずっときてみたいと思っていた場所だ。

 私が知らない物語に出会えるかもしれない。

 そう思うと、今からワクワクが止まらないよ。


「はははっ、ノアは本当に本が好きだね」

「うん。特に童話とか冒険記が好き」

「前も聞いた気がするけど、どこがそんなに気にいるのかな? 僕はその辺り疎いしさっぱりだよ」


 街を歩きながら、ユーレアスが尋ねてきた。

 確かに前も似たよな質問をされた記憶がある。


「う~ん、何て言えばいいのかな」


 その時も悩んだっけ。

 好きな理由を聞かれて、すぐに回答できないのも変な話だ。

 上手く言葉に出来ないのは、私がまだまだ若いからなのかな。


「読んでいてワクワクするんだ。自分の知らない場所があって、いろんなことが起きている。登場人物の活躍とか、何を考えてるんだろうーってさ。想像すると楽しくなるよ」

「ふぅ~ん、そういうものか。僕はやっぱり直接見たいと思うけどね」

「それは私もそうだよ」


 五年という短い期間だけど、旅をして気付かされた。

 世界は私が思っている以上に広くて、知らないことがたくさんある。

 七百年も生きているユーレアスですら、まだ見足りないと言うほどに。


「そのうち私も、冒険記とか書いてみたいな」


 ふいに思ったことを口に出していた。

 ユーレアスが頷き言う。


「いいんじゃないかな? 旅には目的がつきものだからね」

「協力してくれる?」

「もちろんだとも。書くのは苦手だけど、感想を言うのは得意だぞ」


 ユーレアスは自信満々にそう言って、自分の胸をトンと叩いた。

 彼のようにユーモア溢れる登場人物がいると、物語も一層晴れやかになりそうだ。


「でも私、物語を書いたことなんてないし」

「それだったら丁度いいじゃないか」

「何が?」

「今向かっている場所は、それを知るのにおあつらえ向きだと思わないかい?」


 彼に言われてはっと気づく。

 我ながらすぐに気づけないなんて恥ずかしい。

 そうだ。

 私たちが向かっているのは、この国で一番たくさんの本が眠る場所。


「お勉強もかねて! いざ本の城へ向かおう」

「うん」


 図書館に行く新しい理由も出来た所で、歩いて五分が経過する。

 目の前にある大きくて立派な建物。

 看板にはでかでかと図書館という文字が刻まれていた。

 想像以上に立派な建物に、思わず感動してしまう。


「さすが五万の本を貯めた蔵だね」

「うん。今まで入った図書館では一番大きいと思う」

「これはこれは期待が出来そうで何よりだ」


 先に一歩を踏み出したのはユーレアスだった。

 私も遅れないように、彼に続いて図書館の中へと入る。

 中へ入ると受付が合って、必要な手続きを済ませたら入館許可証がもらえる。

 滞在時間も決められていた。


「最大三時間です。延長する場合は、再度こちらへお越しください」

「わかりました」


 受付嬢に話を聞いて、了承すると許可証がもらえた。

 許可証を首から下げて奥へと進む。

 すでに見えていたけど、改めて見渡して感動する。

 たくさん並んだ本棚。

 右にも本、左にも本、上を見てもまだ本が視界に入る。

 先へ進めばもっと多い。

 背の高い本棚ばかりで、大人でも梯子なしでは届かない。

 そんな光景を見つめながら、ユーレアスの言葉を思い出す。


「本の城」


 その言葉に相応しい場所だ。


「さぁさぁ、ぼーっと立っている時間が勿体ないよ」

「そうだね。時間は有限だ」

「その通り! お目当ての本たちを探そうじゃないか」


 私たちは本棚の道を歩いていく。

 探しているのは冒険記や旅日記だ。

 いろんな物語が眠っていて、私が知らない話もあるかもしれない。

 ついでに本を書くための参考になればとも思っている。


「この辺りだね」

「改めて見ても凄い数だな。この中から探すのは一苦労だぞ?」

「別に探さなくても良いよ。何となくで見渡して、気になったタイトルの本を取れば良い」

「そういうものか。じゃあこれなんてどうかな?」


 ユーレアスが手を伸ばし、一冊の古い本を取る。


「ヘレン・ウォーカーの旅日記?」

「知っている本だったかな?」

「ううん、初めて見る」


 見た目でもわかるくらい古い本だ。

 タイトルに書かれた名前も知らない。

 ユーレアスも知らない人だという。

 何気なくページをめくると、そこに書かれていたのは著者の旅の模様だった。

 

 ヘレン・ウォーカー。

 彼女は私たちと同じように世界中を巡る旅人だった。

 誰も知らない、見たことがない景色を見たい。

 その想いで旅を始め、旅の模様をこの本に書き記したようだ。


「なんと! この本の作者は、文字通りの世界一周を遂げたようだね」


 ユーレアスは驚いていた。

 永劫を生きる彼ですら、行ったことのない場所がある。

 世界はそれほど広くて果てしない。

 人間の限られた一生の中で、全てを見て回るなんて不可能に等しいはずだ。

 それを彼女は成し遂げていた。

 文字通り生涯をかけて。


「ねぇユーレアス、これ」

「ほうほう。これは興味深いね」


 その中でも、私たちの目に留まったものがある。


ブクマ、評価はモチベーション維持につながります。

少しでも面白いと思ったら、現時点でも良いので評価を頂けると嬉しいです。


☆☆☆☆☆⇒★★★★★


よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ